日本画家・絵本画家 後藤 仁

日本画家・絵本画家 後藤 仁

1968年赤穂市生まれ。東京藝術大学日本画卒、後藤純男に師事。日本画家として「アジアの美人画」をテーマに作品を描き、国内外で展覧会を開催。近年は絵本の原画制作に力を入れる。絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』福音館書店、『犬になった王子 チベットの民話』岩波書店、国際推薦児童図書選定。東京造形大学 絵本講師。金唐革紙保存会主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)理事。日本中国文化交流協会会員。

@JINGOTO

さんの書評2017/01/28

君島久子の文、後藤 仁の絵によって、岩波書店から出版されたチベット民話の絵本

 君島久子先生の文、後藤 仁の絵によって、岩波書店から出版された絵本です。2013年11月15日発行。英語名は、"The Prince who became a Dog - Inu ni natta oji. Chibetto no minwa (An Old Tibetan Tale/A Tibetan folk legend) " Iwanami Shoten Publishers, Inc (これは、岩波書店が正式発表した英語名ではありません。)
 この絵本の出版は、岩波書店創業100周年、岩波の子どもの本創刊60周年を記念する出版事業の一環となります。再話は、中国文学・民話研究の第一人者である君島久子先生(国立民族学博物館名誉教授)によって過去に訳された「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』所収、1964年、岩波書店)を、先生が絵本用に書き直されたもの。中国の少数民族・チベット族に伝わる民話を元にしており、原話の題名は「青稞(チンコウ)種子的来歴(青稞种子的来历、青稞种籽的由来)」です。
 絵本制作は、約10か月の原話選択・資料集め・原案作成・ラフスケッチ(ダミー)制作と、20日間の現地取材(中国青海省、チベット自治区、四川省)と、1年1か月の本画制作をへて、合計2年あまりをかけてようやく完成しました。
 本画制作では、日本の伝統画法の「日本画」を用いて、丹念に描き上げました。和紙・墨・岩絵の具・金箔などを用いる、1000年以上前から伝わる描き方で、 描きこなすには永い経験と高い技術が求められます。日本画の魅力は、日本人の感性に合った落ち着いた色調の美しさや、墨による線描きの表現などが挙げられます。今回は、場面ごとの描き分けや、人物の心理描写を特に工夫しました。
 現在の混迷する世界情勢の中、このような昔から語り継がれてきた民話の中に、未来への希望が託されているように私は感じます。ぜひ、今の日本や中国や世界中の子供達・大人達に、この絵本を見ていただきたいと、切に願っています。 Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館「The White Ravens 2014 ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定。(小学校中学年~大人 向け)

【絵本のあらすじ】
 穀物のない国の勇敢で心の優しい王子が、美しくて思いやりのある娘ゴマンの愛によって救われ、苦難 の旅を乗り越え麦のタネを手に入れるまでを描く、壮大な冒険物語です。犬になった王子の姿は、気高くもかわいらしいです。宮崎 駿「シュナの旅」(徳間書店/ 後にスタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原案になる)の原話にもなった名作を初絵本化。チベット族(チベット・中国四川省)の民話。

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