sugar

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昼間はサラリーマン

さんの書評2017/11/11

医学常識はウソだらけ(図解版)

医学常識はウソだらけ(図解版)

健康の重要な要素、病気の予防はこの著者三石巌によれば①高タンパク質 ②メガビタミン ③スカベンジャーである。
個人的には納得できる部分もある。
現在の医学は対処療法であり、実際にはその副作用も多く、高血圧やコレステロール値による未病の提示など曖昧な表現を嫌う著者はバランスが良い食事などを避けつつ、どのようにすればよいのかを記載している。
実際に薬学を勉強してきたのでこれらの部分に対する著者の主張は良くわかる。
また①についてもその通りであると思う。活性酸素の除去がベースになるものよくわかる。
但し、②は良くわからない。
どのような状態がメガビタミンなのか?まさに曖昧である。
ビタミンについては水溶性、脂溶性があり中毒症もあることはこの著者であれば存じているはずだがそれについての記述は見当たらなった。(図解版だからか?)
ビタミン至上主義者はビタミンの効用について、どのように実験された結果なのかを知らないのでその点は論じるべきだと思った。
例えば、ビタミンCの抗酸化作用を発揮した実験はすべてin vitro(つまり、人体ではなくシャーレの上)でありが、実際、ビタミンCが効力を発揮するのはミトコンドリア内においてであり、そこに至って初めて抗酸化作用(活性酸素除去)を示す。
しかし、経口摂取したビタミンCがそのままミトコンドリアに取り込まれている証拠は現在、ない。ビタミンEについても同様である。
また③スカベンジャーとした抗酸化作用を有する食品に含まれる抗酸化物質も同様である。ワインは身体に良いとした論文はすべて西洋人を使用した実験(しかも、統計学的に結論されたもの)であり、スカベンジャーの効用もin vitroである。
それらを奨励するのはあまり関心はしない。
また分子量が大きいこれらの抗酸化物質を分解したものを摂取するように勧めているが、それでは抗酸化を示すのであろうか?
大筋は納得できるが、細部に疑問を抱くものであった。

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さんの書評2017/11/11

東京五輪後の日本経済

東京五輪後の日本経済

元日銀審議委員である白井さゆり著書
日銀総裁黒田氏が進めている経済施策「異次元緩和」、俗にいう「黒田砲」に市場が沸き、円安、株価の続伸が引き起こされた。
当時、民主党のハトポッポに始まった市場の冷え込みに対して、これらの施策により現在の日本経済は良くなったと思われる。
ただ市井の者にとって、何が異次元なのか?なぜ、株価の上昇に伴った実生活への実感が少ないのか?を丁寧に説明されている。
その中で「デフレマインド」と言われている日本特有と思われる曖昧な言葉の定義と、そこから導き出されるデフレマインドの意味が非常にわかりやすい。
そして、異次元緩和がどれほど異次元なのか?何が異次元なのか?が非常にわかりやすい。
世界的に見ても日本株式市場がどれだけ異常か?本当に異次元と化しているのか?読後に心底ぞっとした。
それは日銀のバランスシートなど普段は見ることはない実際の数字を用いた客観的なもので東京五輪後と銘打っているが、その前後に起こるであろう可能性はこの本を読むまで漠然とした不安であったが、確信へと変わる銘書である。
また日本だけでなく、中国、アメリカ、EUについても丁寧に書かれている。
ブレグジットが起こった時、なぜイギリスのシティが微動だにしなかったのかも説明されている。
それらは独自の視点だけでなく、海外の要人や専門家たちの意見も含めてあり偏りが少ないもののように感じる。
更にヘリコプターマネー、シムズ理論なども紹介しており、どのように日本経済を救うのか?についても論じられている。
以下、この本の中で気になった部分を抜粋する。

東京五輪後、再び金融危機はやってくるのか?
これまで起こったのと同じパターンの金融危機は、二度と起こりません。
但し、新たに金融危機が起こる場合、そのパターンはこれまでに見られなった「予期せぬもの」になる。
東京五輪後の不動産価格は日本の人口減少も伴い、決して明るいものではない。
2013年頃から不動産価格が上昇に転じたのは、日本銀行の大規模な金融緩和政策と東京五輪開催決定が重なったからです。
東京五輪後に、これに代わる好材料が現れなかったとすれば、その後何年にもわたって不動産価格が低迷し続けたとしても、不思議ではないのです。

日本の株価が「実力ベース」となるとき
企業のコストカットの努力にも当然限界があります。また、為替については、東京五輪開催前後にかけて、いったんは円高方向に触れる可能性があります。
こうなると、日本の株価には「日銀の退場」「企業のコストカット努力の限界」「円高」という「三重苦」が襲うことになります。
つまり、為替相場は近い将来、「インフレ率の差」「経常収支の差」に「日銀の退場」という円高圧力の要因も加わり、ここでも「三重苦」に襲われる可能性が高い。
2030年には政府債務は対GDP比で300%を、2040年には400%を超える。
この時、懸念されるのが「円の大暴落」という事態です。
しかし、それは少なくとも今すぐには「起こりにくい」と考えています。
なぜなら、日本人はきわめて「ホームデバイス」(資産を日本円、あるいは円建ての資産形成している)からです。

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さんの書評2017/10/14

梅干しと日本刀

梅干しと日本刀
モーニングサテライトの「リーダーの栞」で紹介されていたのを観てこの本にであった。
過去を否定するのではなく、日本人の特性から生まれた伝統を振り返り、西洋文化が流れ込んできた明治以降、現在に至るまでに失われた隠れた風土、経験に根差した科学を礼賛する本である。
過去を礼賛する本は過去、谷崎潤一郎「陰翳礼賛」を読んでおり、その淀みのない文体と着眼点に甚く感動したためこの本にも期待していた。
しかし、前書きにも書かれているがこの本は基本的に口述紙であり、その結論に至った引用文献や科学的な裏付けが非常に弱い。
例えば、現在の日本において人間関係は希薄になっており、隣人の死を知らずに放置している事件が頻発しているとこの本では紹介されている。
確かに隣人との交友関係は現在、希薄であり、隣人はどのような人かを知らずに生活しており、田舎の方がその点、接点が多く、町もしくは集落単位で相互に人の目が行き届いており、隣人の死に気づくことも多かったはずである。
しかし、隣人の死の放置は本当に多くなったのであろうか?
現在であればインターネット、テレビがあり、過去は新聞が、その前は口伝が主な連絡手段であり、情報の伝達スピードがそもそも異なっており、耳に入る事件の量もスピードも異なる。つまり、事件の発生頻度自体の違いではなく、肌感覚で多く感じているだけではないのではないか?
せっかくの復刊版であるのでいくつかの点について引用文献などを調査するなどして精査することは可能であったので非常に残念である。
このような部分は多々あり、日本語の日常用語が世界一多いなどは調査すれば間違いであることはすぐに判明でき、注意書きなどできたはずである。
また文章の結びの殆どが「~と思う。」、「~であろう。」で終わるのは、筆者が考古学者という科学者を謳うならば落第点を押されても仕方がない。

一方、日本の城郭は堀であり、西洋の城の城壁とは異なる理由の考察などは非常に面白い。しかしその点に関しても、もっと地政学的な違いなどの説明があればより深い洞察が出来たのではないかと感じる。
礼賛することにより、過去を美化し、現在に一石を投じることは良いことではあるが、ただ無条件に礼賛するのではなく、もう一歩進んだ洞察、提案などがあれば良かったと感じる本であった。

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さんの書評2017/10/07

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった

Twitter発「140文字の文学者」とも呼ばれる燃え殻さんの作品
うだつの上がらない若者が20代前半で自身の仕事の激しい変化の中で、心身を疲弊していく中で、一服のオアシス的な存在である”ブスな彼女”に安らぎを求めるが、ついには別れてしまうも東京のしっかりと受け入れられる。
しかし、ある日facebookで結婚した彼女を見つけてしまい、間違って友達申請してしまう。
これを機に昔の思い出に浸りながら、その空気、肌感を回想する話である。
140文字の制約があるためかとても平易な文体であるが、その描写は質感を伴うもので読者としてはその刺激を皮膚で感じるためノスタルジックな描写に映る。
駐車場の金網に大きな意味もないのに、よじ登った時に指に食い込むその痛み。よじ登りながら語る相手との言葉。
全てに大きな意味はないが、そこに若さの喜び、大人、都会への反感をより歳をとって自分に感じ、共感を生む。
失ったものへの羨望を読者に隆起する。

ただ個人的にはその質感には共感は出来るが、深さを感じるものではない。
質感から心身への影響、更にはその結果遷移する自身の変化や成長、彼女とのすれ違いなどは描かれていないため物足りない。
それは別れの理由が書かれていない部分にも繋がっており、全体的にまさにゴールデン街で飲みながらトクトクと語るような作品に感じる理由であろう。
男は過去を、女は未来を見据える生き物である。と仮定すると男はこの甘酸っぱい回想に共感を憶え、自らの心に問いかけるきっかけにはなると思う。
その点で言えば、日本人の約半分には批判はあれど受け入れられるものであろう。
一方、女性にとっては「男って勝手に自分を評価してめんどくさい生き物だ。」と思われるであろう。
つまり、全ては独りよがりの本になってしまっている。
但し、独りよがりだから、この本が悪いという結論になるわけではない。
元々のタイトルから考えれば、独りよがりは織り込み済みなのであるから問題はない。
しかし、叙情詩としてリアルではあるが、個人的には少し物足りなさを感じる作品であった。

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さんの書評2017/09/26

ダイエットの科学(The Diet Myth)

ダイエットの科学(The Diet Myth)
名門ロンドン大学の遺伝疫学教授が現在、世の中で一般的に知られているダイエット法について科学的な検証を基にその内容の真贋をメタ解析など公平な分析方法を用いてまとめている。
その内容からこの本の結論は「太るのは体質であり、その体質というのは腸内環境(腸内フローラ)に左右される。したがって、腸内細菌を育み、改善するために多種多様な食品をバランス良く食べよう。」である。
腸内フローラは近年の医学界における大きなトレンドの一つで、身体的、精神的な病気の原因になり得るということが徐々に判明しており、健康の重要なファクターとされている。

以下、本に書かれていた内容の中で重要と感じた部分を抜粋する。

カロリー
体が食べ物からエネルギーを生み出すプロセスは、その食物源や、咀嚼した回数、消化しやすさ、食べ合わせなどによってかなり違ってくる。ある研究では白米はスプーンで食べるより箸で食べたほうが、血糖値の上昇と、それによるインスリンの分泌速度(GI)を大幅に抑えられることがわかっている。
多くの研究者が、このGI値は体重を調整するうえで重要だと考えているがヒトを対象とする数少ない比較臨床研究では、今のところ、GI値の多寡は体重や心臓疾患のリスク要因に違いは見つかっていない。

倹約遺伝子仮説(来る不作時期に向けて、ヒトは基本的に太るように遺伝子がコードされている)に対して、浮動遺伝子仮説がある。
これは200万年前まで体脂肪に関するヒトの遺伝子とその蓄積メカニズムは今よりも厳しく抑制されており、過度に太っていると生き延びるうえで大きな問題になったという説である。
ヒトの祖先であるアウストラロピテクスの骨格からは、腹を空かせた肉食動物に食べられるのは日常的な出来事だったという証拠が数多く見つかっている。当時は、体重が120キロもあって、サーベルタイガーの仲間の獲物とされていた。太っていると逃げ遅れるし、筋張ったヒトよりもお良かったことだろう。この二つの理由で、遠い過去に存在した肥満遺伝子は負の自然選択を受け、人の脂肪の最大量が抑えられることになった。
とはいえやはり、やせすぎても不利になった。ふつうは食べ物が豊富にあったが、冷蔵庫も冷凍庫もない当時は、だれもが非常用の脂肪を蓄えておく必要があった。つまり、極端に痩せていたり、逆に極端に太っていたりすると、遺伝子がひそかに、その中間に押し戻すメカニズムを動かしていたのである。
その後、自然界に捕食者が徐々に姿を消すにつれて、素早く逃げる必要もなくなったので、体脂肪が上限を超えないように制限する遺伝子の働きは、それ以前よりも緩やかになっていった。もちろん、体脂肪が増えないようにする遺伝子をたまたま持ち続けた人もいたが、それ以外の人では、その遺伝子の効果は弱まって、体脂肪の上限は上がった。その結果、上限まで体脂肪が増え続ける人たちがいる一方で、人口のおよそ三分の一に相当する人たちは食べ物に囲まれていても痩せたまま、という状況になったという。痩せ形の遺伝子を持つ人には、運動習慣の多さと関連する遺伝子もあることを考えれば、この説も筋が通ていると言えるだろう。

人工甘味料および保存料
誰もがダイエット飲料を好きなわけではない。味蕾が鋭すぎたり、ある種の遺伝子バリアントがある人は、その人工的な味が強烈すぎて不快に感じる、後味が嫌いだという人もいる。越した嫌悪感の原因としては、そうした飲み物に含まれている、佐藤の味を真似しようとしている化学物質の舌触りや構造に、私たちが極めて敏感だということもあるだろう。炭酸もまた別の要因で、脳をだまして、その飲料が実際よりも甘くないと思わせることが出来る。気の抜けたコーラはたいてい、飲めたものではない。
確かに、ダイエットコーラのグループの方が、体重の増え方が通常のコーラを飲んだグループよりも少なかったが、劇的に少ないわけではなかった、ダイエットコーラグループの体重増加を平均してみると、予想以上に多く、がっかりさせられる結果だった。一方、通常のコーラを飲んだグループと比べて、満腹感の違いもわずかしかなかった。
アスパルテームは脳の視床下部の細胞に影響することがあり、理論的には、食欲調節経路を混乱させる可能性もあるからだ。

ビタミン
マルチビタミンについて実施された信頼性の高い大規模な無作為化試験の結果、はっきり示されたのは、有効性は一切ないということである。むしろベータカロチンやビタミンE、更に高用量のビタミンAを含む各種サプリメントは、明らかに体に害があるというのだ、ほかの抗酸化ビタミン、葉酸、ビタミンB群を含むサプリメントにも、マルチビタミンサプリメントやミネラルのサプリメント同様に死亡率や、主要な慢性疾患の罹患率を下げる効果は見られなかった。
またオメガ3は、子供の認知機能や知能指数、注意欠陥障害には全く効果はなく、心臓疾患のリスクを下げることは出来なかった。
またビタミンCサプリメントには、風邪や、がんなどの病気を予防する効果はないという。亜鉛サプリメントなどには、前もって服用すれば風邪の回復を半日はやめられる可能性があることを示す研究がいくつかあるが、オレンジやブロッコリーにも同じ効果がありそうだ。
ビタミンD不足の解消には日の当たるところに1日10~15分座って、顔や腕に太陽光を当てる、あるいはそれが難しい場合は、脂肪の多い魚を食べると良い。
太陽光はメラノーマの「原因」だといわれるのを耳にする。しかしメラノーマの研究が示していたのは、日常的な強い日焼けと、メラノーマのリスクのわずか50%の増加に関連性があるということに過ぎない。つまり、太陽光の浴びすぎで説明できるのは、メラノーマの症例のうちのせいぜい4分の1足らずなのだ。こうした比較的穏やかなリスクは遺伝子によって決まる肌の色のタイプ違いを考慮すれば、見えなくなってしまう。実のところ、メラノーマの主な原因は遺伝子と不運であり、太陽光のせいではないのである。
またビタミンDのサプリメントを摂取した軽9万5000人以上の被験者を分析したところ、サプリメントが死亡率や骨折の発生を抑えていることを明確に示すエビデンスは見つからなかった。

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さんの書評2017/06/24

失敗の科学

失敗の科学
失敗を失敗のままにしない仕組みを精緻に組んでいる航空業界とその対岸に位置するとされる医療業界を中心に失敗を多くの事例を示しながら、科学的に平易な言葉で簡潔にまとめ上げられている良書であった。
特に成長するためには失敗を称賛する環境を作り、文化とする土壌が必要であることが重要である。
個人を攻撃するのではなく、失敗を成長の糧と捉え、適切なフィードバックを行い集団として改善を進めるべきであることがこの本には事細かに記載されている。

以下、著書から引用する。
クローズド・ループ現象のほとんどは、失敗を認めなかったり、言い逃れをしたりすることが原因で起こる。
疑似科学の世界では、問題はもっと構造的だ。つまり、故意にしろ偶然にしろ、失敗することが不可能な仕組みになっている、だからこそ理論は完璧に見え、信奉者は虜になる。しかし、あらゆるものが当てはまるということは、何からも学べないことに等しい。

いわゆる「一万時間ルール」(才能が開花するまでには1万時間の訓練が必要という法則)だ。もちろん誰でも世界チャンピオンになれるわけではないが、たいていの人は努力によって熟達できる。
しかし、全く異なる研究結果も出ている。職種によっては、訓練や経験が何の影響ももたらさないことが多いという。例えば、心理療法士を対象にしたある調査では免許を持つ「プロ」と研修生との間に治療成果の差はみられなかった。なぜか?
ゴルフに例えると練習場で的に向かって打つときは1回1回集中し、的の中心に近づくように少しずつ角度やストロークを調整していく。
しかし全く同じ練習を暗闇の中でやっていたとしたらどうだろう?10年頑張ろうと100年続けようと、上達することはない。試行錯誤が不可能なのだから。
心理療法士の仕事は患者の精神機能を改善することだ。しかし治療が上手くいっているかどうかは、何を基準に判断しているのか?フィードバックはどこにあるのか?実は心理療法士のほとんどは、治療に対する患者の反応を、客観的なデータではなく、クリニックでの観察によって判断している、しかしその信憑性は、甚だ低い。患者が心理療法士に気を使って、状態が良くなっていると誇張する傾向があることは、心理療法の問題としてよく知られている。
心理療法士は、治療によが成功した患者の精神機能がそのあとも良好かどうか、あるいは結局失敗に終わったかどうか、全く知らない。つまり、治療の長期的な影響に関するフィードバックが全くないのだ。
こうした新弾力や判断力を高めたいときに大事なのは、熱意やモチベーションだけではない。暗闇に明かりをつける方法を探すことが肝心だ。間違いを教えてくれるフィードバックがなければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない。

自分の失敗を隠す「内因」が認知的不調和(自尊心や保身による内発的な動機付け、言い訳、バイアス)だとしたら、「外因」とも言えるのが、非難というプレッシャーだ。非難の衝動は、組織内に強力な負のエネルギーを生む。
何かミスが起こった時に、「担当者の不注意だ!」「怠慢だ!」と真っ先に非難が始まる環境は、だれでも失敗を隠したくなる。しかし、もし「失敗は学習のチャンス」と捉えられる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何が起こったのかを詳しく調査しようという意思が働くだろう。
適切な調査を行えば、ふたつのチャンスがもたらされる。ひとつは貴重な学習のチャンス。失敗から学んで潜在的な問題を解決できれば、組織の進化につながる。もうひとつは、オープンな組織文化を構築するチャンス。ミスを犯しても不当に非難されなければ、当事者は自分の偶発的なミスや、それにかかわる重要な情報を進んで報告するようになる、するとさらに進化の勢いは増していく。

成長型マインドセットは「合理的に」諦める。
成長型マインドセットの人ほど、諦める判断を合理的に下す。成長型マインドセットの人にとって『自分にはこの問題の解決に必要なスキルが足りない』という判断を阻むものは何もない。彼らは自分の”血管”を晒すことを恐れたり恥じたりすることなく、自由に飽きられることができる。
つまりそれは引き際を見極めてほかのことに挑戦するのも、やる抜くのも、どちらも成長なのだ。そして、我々が最も早く進化を遂げる方法は、失敗に真正面から向き合い、そこから学ぶことなのだ。

互いの挑戦を称え合おう。実験や検証をするもの、根気強くやり遂げようとするもの、勇敢に批判を受け止めようとするもの、自分の仮説を過信せずに真実を見つけ出そうとするものを、我々は賞賛すべきだ。
「正解」を出したものだけを褒めていたら、完璧ばかりを求めていたら、「一度も失敗せずに成功を手に入れることができる」という間違った認識を植え付けかねない。
自分の考えや行動が間違っていると指摘されるほどありがたいものはない。そのおかげで間違いが大きければ大きいほど、大きな進歩を遂げられるのだから。批判を歓迎し、それに対して行動を起こす者は、友情よりもそうした指摘を尊ぶといっていい。己の地位に固執して批判を拒絶する者に成長は訪れない。

データとフィードバックは有意義な進化への舞台に「明かり」を灯す。ポイントは、判断力を養える環境を作ることだ、有意義なフィードバックなしに改善は望めない。間違いを警告してくれる「信号」をシステムの中に取り入れることが肝心だ。

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さんの書評2017/05/25

生産性―マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
働き方改革と声高に言われる昨今、どのようにすればライフワークバランスを良くできるのか?は経営陣だけでなく現場の上司にも求められる部分が多くある。
実際、管理職になった自分にとっては考えなくてはならない事項である。
ただ何をどうすれば生産性が高くなるのか?
仕事を素早く終わらせることだけが生産性向上に寄与しているのか?
部下に何を指示すればそれらを向上させられるのか?などの課題解決のためにこの本を参考にした。

この本によれば、最終目標を考えどのようにすれば最短距離を通れるのか?を常に意識すべきであることがわかる。
自分に置き換えて考えれば、最終目標(つまり、効率よく採用率を上げる)である。
やるべきこととやらないことの取捨選択
その根源としてこの本には以下のように断言されている。
管理職の仕事とは、「チームの生産性向上のためのリーダーシップを発揮すること」
ここで大事なのは生産性向上を個々人に指導するのではなく、リーダーシップを発揮することである部分である。
つまり、自分で畑を耕し部下に種を蒔かせ収穫してもらうだけではなく、みんなにどのようにすればもっと効率的に畑が耕せ、種から収穫できるのかを考えさせる土壌を醸成する意識を持たせるのか?である。
多忙で部下の育成に時間が使えないのは管理職失格である。
目の前の成果を上げるために自分でやる方が早いでは何も変わらない。
忙しいのであれば、逆に部下のスキル向上を促しチームの生産性を上げたほうが結果的にチーム全体の成果も上がる。
また掲げるべきゴールも記載されている。
『常に三割と三%という二つの生産性向上を目指す』
三割 → イノベーション(改革)
三% → インプルーブメント(改善)
現場のスタッフが単独でできる三%の改善とは異なり、三割もの生産性改善を実現するには、管理職の強い意志とリーダーシップが必要で、実施期間も一年を超え、長期的な視野や計画性、リスクをとっての判断も求められます。

結論が出なかった会議 → なぜ今日の会議では結論が出せなかったのか?を記録し、改善を促す。
会議とは「決めるべき結論を決める」のが会議である。
それを基にすれば、ブレストなどで集まる会議には意味は存在しない。

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さんの書評2017/04/16

教える技術 ーチームリーダー編ー

教える技術 ーチームリーダー編ー
リーダーに必要なものは、部下からの信頼である。
ではどうすればよいか、それは、部下の行動をすぐにほめる事である。
そのことにより非金銭的報酬を積極的に提供し、この仕事をやってよかったとやりがいを与える。

トータルリワード(非金銭的報酬)の6要素
1.承認(感謝すること)
2.均衡(ワークライフバランスへの配慮)
3.文化(連帯感があり、のびのびと働ける職場風土)
4.成長(成長機会の提供)
5.環境(居心地のよい職場づくり)
6.骨組み(具体的ン指示や指導)


行動科学マネジメントによると、例え部下の報告が悪いものであっても、報告自体をほめる事で、部下は進んで、報告するようになり、大事になる前に対処できる。

金銭的報酬以外のもの、達成感や、成長感を与えてあげるのが、リーダの役割。
このチームでよかったと思え、メンバーが、自発的、積極的に動ける環境を作ることである。

成果が出る行動の定着
1.成果が出る行動が何なのかを見つけ出すこと
2.部下が実際に成果が出る行動を繰り返しているかどうかの確認
3.成果が出る行動を継続させる工夫

1.望ましい行動の決定
その業務で成果を上げている人の行動を細かく書き出し、成果を上げている人だけが実践している行動を洗い出す。そして、望ましい行動の候補を部下と話し合い、どの望ましい行動をするか決めていく。
2.チェック(行動の実践を回数で確認)
特にグラフ化して客観的なものとして提示する。
3.フィードバック(さらに行動を増やすために)
報告を受けたら、そのこと(行動)自体を評価(ほめる)
ABCモデル(A:選考条件:行動の直前の環境→B:行動、発言、ふるまい→C:結果:行動した直後に起きた環境の変化)
ショートミーティングに応用すると…
1回目:望ましい行動を二人で決める。
部下は①望ましい行動の実践②できた回数を記録
2回目:結果を聞いて(チェック)フィードバックする(強化)
部下は①望ましい行動の実践②できた回数の記録
3回目:2度の実践の結果を踏まえて行動の修正を行う。

報連相は部下を管理するためのものではない。
報連相は上記、ABCサイクルを廻し、部下に望ましい行動を定着させるための行動であり、部署の戦略と現場の状況のすり合わせの場である。
つまり、現場に立っている部下が集めた情報をトップに提案するなど部署の戦略とすり合わせ、新たな指示を出す。他部署と連携する。さらに上に提案するなどの行動を起こしてあげて、部下にメリットを感じてもらう。
その際の指示はとことん具体的に(日時や頻度、回数など具体的な数値を提示→誰がやっても同じ行動ができるようにシステムを組む)
また報連相の制度をアップするために、その仕事が部署の戦略上、どのように影響しているのか仕事の全体像を提示してあげる。

会議をする際は会議の内容を以下の3つに分類して、重なっているものやあいまいなな会議は削除
1.トップダウン型(情報は上から下へ)
リーダーからの指示命令、意思伝達、連絡、会社が掲げたミッションの開設、プロジェクトの趣旨説明など
注意点
①抽象的な表現やあいまいな言葉はダメ
②1回の会議で伝えるポイントは3つまで
③聞き手の頭の中にフレームを作ってから話し始める。
思いついた順にダラダラ話すのではなく、「今日は例のプロジェクトに関する”期日の件”、”他部署との連携について”、そして”提案時の注意点”の3点について伝えます。

2.ボトムアップ型(情報は下から下からの報告、進捗状況の確認、マーケットの現状の報告など、現場で起きていることをリーダーが把握するための会議
注意点
①報告には必ずフィードバック
②マイナスの報告にはアドバイスを
③求めている報告内容を事前に示す。
3.全員参加型(情報を全員で共有し検討)
問題解決、意見交換、情報分析、ブレインストーミングなど、上司・部下の枠を取り払い、全員がフラットな状態で自由に発言するタイプの会議
①会議のゴールを全員で共有
②否定的なことは口にしない
③事前に遮那で情報を共有しておくとスムーズになる。

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さんの書評2017/04/08

マチネの終わりに

マチネの終わりに
孤独というのは、つまりは、この世界への影響力の欠如の意識だった。自分の存在が、他者に対して、まったく影響を持ちえないということ。持ち得なったと知ること。-同時代にする水平的な影響力だけでなく、次の時代への時間的な、垂直的な影響力、それが、他者の存在のどこを探ってみても、見いだせないこということ。

自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ。自分には、何かが出来るはずだと、人間は信じる必要がある。しかし、だからこそ、過去に対しては悔恨となる。何か出来るはずではなかったか、と。運命論の方が、慰めになることもある。

グローバル化されたこの世界の巨大なシステムは、人間の不確定性を出来るだけ縮減して、予測的に織り込みながら、ただ、遅延なく機能し続けることだけを目的にしている。紛争でさえ、当然起きることとして前提としながら。前項にせよ、悪行にせよ、人間一人の影響力が、社会全体の中で、一体何になるって。

その本の作者 平野 啓一郎さんの過去の著書「私とは何か――「個人」から「分人」へ」を図らずも読んでおり、そこに書かれた分人化という概念、つまり自分は他者を映した人格である。相手により自分が形成され、その他人を触媒にした自分。結局、自分も他人を触媒にした人格を映し出す触媒である。という考え方を踏まえたうえでこの物語は考察する必要があると考える。
主人公である蒔野は天才バイオリニストであり、ヒロインの洋子は3か国語を操る才女でジャーナリストの二人が織りなす、悲劇的な運命劇である。つまりは性格劇ではない物語が非常に綺麗な日本語でうまく描き出されている。
この本にも記載されているが、「古典悲劇が運命劇であるに対して、近代の悲劇は性格劇である」というものを表したもので、古典悲劇への回顧とも考えられる。
つまり、蒔野のバックグランドが天才バイオリニストであることを始まりとしていない。
洋子も才女である必要はなかった。
しかし、大人になってから多くのものが感じる恋愛に対する考えやいつの間に内に芽生えた過去への悔恨を抉り出し、他者を映す触媒としてこの物語を紡ぎ、運命劇を作り出すためにはどうしても平凡な人物では不足が生じてしまうため、やむ得ずそのような人物として描き出した必然を感じた。
上記に示した文章をどれだけの人が考え、言葉にできるのか?それはそれなりのバックグランドを時代が要求するであろう。
またこの物語で語られる「大人の恋愛」、つまり相手の容姿に対する満足などを超えた「自然と同じ目線」であることの居心地の良さ。自分を他者に映したときに過不足を感ずることのない分人としての相手、それは何よりも尊いものに映り、愛しむものとなる。
過去に自分にも同じような恋愛を体験していたため、蒔野の気持ちが痛いほど心に染み入り、修復した思い、考えないようにしていた心に綻びを生じさせるものであった。
もう二度と手に入らないのだろうかと悩んだ日々も懐かしみながらも、内より染み出す抑えられない感情は如何ともしがたいもので、前を向かなければならない重い頭を持て余してしまう。
但し、この物語でも描かれていたが蒔野は洋子でなくても蒔野であり続けたことは周りの視点からすればそれはそれで蒔野であり、必ずしも悲劇ではない。むしろ悲劇には決して映らない。
最後に再会する二人は何を語り、何をお互いを触媒にして見るのであろうか
最後まで十分に読み応えのある心に刺さる物語であった。
素晴らしい。

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さんの書評2017/02/11

確率思考の戦略論ーUSJでも実証された数学マーケティングの力ー

この本を読んでみたかった点としてはやはりマーケティング能力が現状の仕事に必要である、何かひとつでもその成功から得られるものがあるのではないか?と思い、手に取ってみた。
結論としては現職はBtoBであり、この本に書かれているのはBtoCでありそのままを応用するのは難しいかもしれないと感じた。ただBtoBであっても最終的にはCに対する意識が交渉を進めるうえでやはり大事である。ということであった。
またこの本の中にある「確率理論の導入とプレファレンスの数学的説明」は何かに役立てることができるのではないかと思えた。
その中でも特に以下の部分を挙げたい。
①行った業務は必ずその効果・結果・継続性などを検証し定量化を行い、次への糧にする。研修を行った際はそれがどのような効果をもたらし、どのような結果をどのくらい効果が持続したのかを見極めなければならない。
②まとめ:市場調査の本質と役割は3点に要約される。
1.消費者の本質的なニーズ(生きていく上での欲求)は変わらない。変わるのは、そのニーズを満たすカテゴリー便益の製造方法と個々の消費者への便益の配達方法であり、そのカテゴリーを構成している我々のブランドである。我々の取り扱う、カテゴリー・ブランドに対する消費者のプレファレンスが我々の運命を握っている。そのプレファレンスは消費者を取り巻く環境によって変わっていく。プレファレンスの強さを決める消費者の判断は状況に左右され感情的である。
2.1.の認識の下、中長期の未来に対しては、自身が取り扱っているカテゴリーとそのカテゴリーを含む上位商品群の本質(消費者の求める便益)を質的調査を基に見極める。(質的調査:主に仮説を生み出すための調査。その後に量的調査で仮説を証明する)次にそれらを基礎に整合性を使いカテゴリー上位商品群の法則性を見出す。
「カテゴリーとそのカテゴリーを含む上位商品群の本質」と見つけた法則性の2店から現行の戦略(プレファレンスの強化、認知の方法の改善、便益の配達方法も含む)を見直し、具体的な複数のシナリオを作成する。新しい重要な情報・学びが出るたびに改定する。
3.現状・近未来においては、コンセプト・テスト、コンセプト・ユース・テストにより消費者の現状のプレファレンスを競合に対して相対的に知ることができる。この現状のプレファレンスを基に需要を予測し、効率のよい投資判断ができる。現状のプレファレンスの改善は、このテストの購入意向を重回帰分析することによりわかる。

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さんのコメント2017/04/16

教える技術
行動科学を使ってできる人が育つ
「叱る」際のポイント
人格や性格を叱ることは間違い
「どうしていつもモタモタしているんだ」「そんな性格だから売れないんだ」など人格や性格を叱ることは間違い
あくまで焦点はその人の「行動」
・やらなければならないのに、やらなかった行動
・やってはいけないのに、やってしまった行動
実行してほしい行動は、具体的な表現で説明し場合によっては具体的な改善策やアイデアを与える。

さんのコメント2017/03/18

社会人になってもちゃんとした意味を理解しないために使用を控えてきた言葉の成り立ちから漢字の意味を知ることができ、有益なものであった。
以下にいくつか列挙する。

幾重にも御礼申し上げます。
ご隆昌の段、慶賀の至りに存じます。:言祝ぎ:ありがたい素晴らしいことがたくさん次々と起こりますよう
敷衍:抽象的なことを具体的に話す。
忖度する:相手のことを推し量る。
あまつさえ:そのうえ、驚いたことに、あろうことか
いみじくも:まことにうまく、適切にも、巧みにも、まさに、よくも
縷説する:よく言えば「丁寧」、悪く言えば「くどい」
雅致がある:趣がある。

さんのコメント2016/11/05

基本的なことではあるが、非常に有益であった。
特に実際の事例を元に流れや、その理由を丁寧に説明し、思考の整理を行うのに重きを置いているので、紹介されている業種以外であってもすぐに自分の仕事に落とし応用できるようになっている。
別段、究極のメソッドや解決策を幇助しているわけではなく、一般的であり、且つデキる営業は自然と行っていることではあるが、平易な営業だけでなく、研究、間接部門などBtoBに関わる全ての業種において思考の整理や行動の改善に向けて十分に得るものがあると思う。
特に”主語を「あなた」の二人称にする”は自分でも希薄になっていたと感じるものであり、自分の仕事を振り返り、修正すべきところがあると感じた。