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昼間はサラリーマン

さんの書評2018/08/03

お金2.0 新しい経済のルールと生き方  佐藤 航陽(著)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方  佐藤 航陽(著)
本書は著者がこれまでビジネスにおいて経験し、確信に変えてきたお金に関する概念を示したものであり、著者が考えるお金の本質を記したものである。
前半は法定通貨と仮想通貨の違い、仮想通貨や評価経済を成り立たせる経済システムの仕組み、それらに影響するテクノロジーなどを解説する。
後半は、そうした社会の動きから生まれつつある、資本主義に代わる価値主義と、その中で人がどういう生き方を選ぶべきかという筆者の考えを述べている。
つまり、お金を中心とした考え方の枠組みを示したものであり、非常に興味深い内容であった。

以下、気になる点についてまとめる。

■経済システムの特徴: 「経済システム」は、大前提として自己発展的に拡大していくような仕組みである必要がある。誰か特定の人が必死に動き回っていないと崩壊するような仕組みでは長くは続かない。この持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」には5つの要素がある。
① インセンティブ、 ② リアルタイム、 ③ 不確実性、 ④ ヒエラルキー、 ⑤ コミュニケーション

■これから10年の大きな流れ:  世の中に膨大なデータが溢れたことで進んでいく「分散化」とネットワーク型社会に移行することで起きる「自動化」の2つ。そして、この2つが混ざった時に起こる「自律分散」というコンセプト。すなわち、インターネットやビットコインのように中央集権的な管理者がいなくても上手く回る仕組み。シェアリングエコノミー、ブロックチェーン、深層学習、IoTなどの技術トレンドもこの仕組みの実現に必要な要素。

■価値主義: お金が調達しやすい環境になったこと(ベージックインカムの導入などもそうした潮流の1つ)で、信頼や時間や個性のようなお金では買えないものの価値が相対的に高まっている。「価値」を最大化しておくことが重要で、お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換した選択肢の1つに過ぎなくなっている。これらを踏まえ、価値主義とは次の2つの変化が混ざった現象といえる。
①お金や経済の民主化: これまで300年近く国家の専売特許とされてきた通貨の発行や経済圏の形成が、新たなテクノロジーの誕生によって誰でも簡単に低コストで実現できるようになりつつあること。
②資本にならない価値で回る経済の実現:これまで具体的な価値として計測されてこなかった内面的な価値や社会的な価値をも可視化して、それらも経済として成り立たせること。

さらには経済と政治、宗教の境界線が希薄になる。
AIを神として崇めて世の中をより良くすることを教義とする新興宗教は元々の経済と同じで、企業が理念を掲げ社会的な価値をより追及していく流れにあり、一方で宗教は内面的な価値を取り込み経済を形成する。

今後の生き方としては「枠組みの中で競争して生きる」のではなく、『枠組み自体を作る競争をしなければ生きていけない』

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さんの書評2018/05/19

ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。

ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。

著者は若干15歳で起業した日本では当時、かなり稀有な存在としてこれまでビジネスの世界で戦い生き残ってきた。
その著者がどのようにファイナンスを捉えているのか?の一端が垣間見れる本である。
基本的なファイナンスの知識がない小生でも内容が理解できる範疇でありる。
それはこの本の根幹を『ファイナンスの知識を考え方の枠組みとしてとらえ、事業を考える。』としており、ビジネス書よりは哲学書に近い位置を狙っている点であり、小生にとって非常に新鮮であった。
著者は事業家と起業家を以下のように定義している。
事業家とは、既存の事業に関わり、それを経営し、成長させていく人
起業家とは、自分で会社を立ち上げる人
そして、事業家となるための一歩としてファイナンスがあり、それを用いて事業を行う時のリスクは何か、それに伴うリターンは何かを考えて、どの事業をどのタイミングで立ち上げるのが最適かを緻密に計画し、時には大胆に実行していくための考え方を養う必要があると説く。
そしてM&Aは乗っ取りではなく、自ら乗り込んで立て直す自信がある者同士の戦いであり、その際にファイナンスを用いて意思決定を行うことが重要であると

目的を哲学的なものとして始めているが、基本的に出てくる話は過去に起こった事例を紹介して、その際に使われたファイナンスの概要を説明している。
どのような意思決定をどの枠組みで捉えたのかは比較が重要であり、その点は目的を達成しているかは大いに疑問が残る。
ただファイナンスを電卓を叩く机上のものではなく、意思決定を行うための一つであるという考え方はアレルギーがあるものに一定の希望と新しい風を吹き込むものに感じる。

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さんの書評2018/04/20

「ラクして速い」が一番すごい

「ラクして速い」が一番すごい

著者は世界的な外資系コンサル会社で、グローバル展開やM&A、そして事業再生にもづく人事制度改革・人材開発に24年以上関わり、そこで行ったの「人の目利き」は5万人を超えるリストラ、そして6000人以上の優秀なリーダー・幹部の選抜を行ってきたプロ中のプロである。
そんな著者が断言するその差、違い。それは「一秒でも早く仕事を終わらせる」意識・心がけを持ち、日々の仕事に取り組めているかどうか
その点について、簡単であるがその心構えを実行するためのノウハウを記載している。
それらは経験だけでなく、論理的であり非常に納得できる内容である。
①一生懸命頑張るけれど、やり直しが多い。→一発で決める。
②すべてに全力投球で、疲れ果てる。→スパっと割り切る。
③責任感を持ちすぎて、仕事を抱えすぎる。→抱え込まない。
④根回しに努力と時間をかけすぎ、疲弊する。→組織の「壁」を利用する。
⑤上司の指示通りにやるが、結果が伴わない。→自分で「できる」ようになる。

上記において、気になった部分を以下に示す。
①ロジカルに話すより、「重要なことは何ですか?」と聞く
クーラーを購入に来たお客と店員の話を事例に
1)テーマ(何について話すのか。例:クーラーを買い替えたい)
2)論点(どんな点を基に判断するか。例:クーラーの価格、ランニングコスト、保証期間と内容)
3)結論(何を伝えたいのか。例:B社のクーラー)
4)根拠(なせその結おrんなのか。例:15年使うなら、電気代とクリーニング代、保証を入れるとB社の方が安くなるから)
→相手が重要視する「1)テーマ」「2)論点」の順で話そう

①報連相ではなく”ソラ・アメ・カサ”で確認する
→「どうなりそうか」を口癖にして未来を、アメを予想するのが命

②うまくやるコツより、「普通の人と一番違うポイント」を聞く
普通の人は「自分のやり方」と「優秀な人のやり方」の違いがわかりません。
一方、優秀な人は「自分のやり方が普通の人とどう違うか」を知っている。
→ただ普段意識することは少ないので、あえて「普通の人との違いは何ですか?」とズバリ聞く

②仕事の依頼時は「作業」より「作戦」を伝える。
アウトプットを示したうえで、具体的な「HOW(どうやるか?)」を伝える
→そもそもの目的から話し、作業効率を高めよう

③どんなにイヤな仕事でも、まず「わかりました」と言う
1)断る場合でもまず、「わかりました」と言う→大事な事は相手とスムーズなやり取りをすること
2)いつならできるかを言う→「今の仕事の次に着手すれば、午後4時には仕上げられますが、間に合いますか?」と、自分の仕事の具合を伝えたうえで、いつまでならできるかを伝える
3)予定を確認したうえで、いつまでに返事するか具体的な時間を言う
4)他の人を紹介する→「今できるか聞いてみますね」や「私から彼にメールを入れておきます」という「つなぎのひと手間」を行い、断った際の心証を良くする
5)優先度を確認する。→仕事が重なった場合、上司に進め方を伝える。
→どうすれば依頼された仕事が速く進むかを考えると、逆に感謝される。

③ファイル・フォルダを作る前に、用語集を作り、ファイル名でバージョン管理
OK:NG方式で作る→例)OK:報告書 NG:調査書、レポート

③打ち合わせはメモより、ホワイトボードにまとめる
ホワイトボードは2枚用意→1)目的、ゴール、論点、終了時間、会議で出た結論を書く。2)議論のファシリテーションに使用

④仕事は「巻き込み」より、「共通の敵探し」でうまくいく
ライバル会社を「敵」にしてはいけない。
主語を「対立先」から「本質的な相手」に変える。相手を「勝たせる」「喜ばせる」を目的とする。

④「これでよろしいでしょうか?」より「こうしましょう!」とはっきり言う
根回しは中身より”最後のひと言”が大事

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さんの書評2018/03/30

仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?

仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?

「知っているか、知らないか」、「やるか、やらないか」で累乗で差がつく。
まさにその通りである。
この本には何を知るべきなのか。やるべきなのかをどのように判断すればいいのかが列挙されており、内容は納得するものばかりであった。
但し、この本を読んだからと言ってやれる保証はない。
例えば、新人が会議中にPCを開いてメールを打つなどは到底、日本の企業では考えられない。
つまり、知っていても実行に問題が生じることが現実世界では多くあり、それを回避する方法は示されていない。
以下、本の内容で気になった部分を示す。

打合せの「持ち帰り」をゼロにする。
ミーティング中に担当者に確認しなければならないことが出た時点で、素早く担当者にメール。しかもCCメンバーに「CC各位 このメールを見たら本人に伝えてください」

打合せは終了時刻を「宣言」してから始める。
ゴールを設定
時間配分を宣言
惰性で30分、60分に決めない

「とりあえず」、「いったん」は禁句
「忙しい」とは言わない

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さんの書評2018/03/17

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

この著者「本山勝寛」氏は非常に考え方を構造化しており、なぜそのような行動をすべきなのかを理論立てて自らが納得する形で独学を進めている。
まずこの独学がなぜ最強なのか?を自らの経験と現在の状況を顧みて理由を説明し有象無象の読み手を独学術の入り口まで誘い、どのように実践すれば良いのかを実生活に落として説くので非常に説得力が感じられる。
独学術も「独学1.0」、「独学2.0」、「独学3.0」と実践すべき目的、目標を明瞭に示し、その結果、応用を諭す。
各章はそれぞれを更に分解し、読者に生活を想定した内容に合わせ具体的な手法を示し、更に最後にまとめを作り、再確認を行う。
その流れは淀みなく、一気に読める。

独学1.0←独学でのインプットとアウトプットの重要性を説き、現在だからこそ可能であることを示す。アウトプットでは客観的な結果を求め、インプットの改善を図り知識のアップデートを進める。その場で求められる問題への解決(例えば、試験)を想定
独学2.0←自分の知的資産を増やす未来への投資であると同時に、自分自身の知のレベルをアップデートさせる。つまり、現在直面している問題に対応するための知識ではなく、その周辺への造詣を広げ深化させる独学術であり、どのように楽しむのかを説く。
独学3.0←そんな変化にも対応し、進化し続けるための独学術。独学1.0、2.0を実践し、現実世界での応用方法を説く。一生伸び続けるための極意であり、新しい時代を切り拓き、夢を叶えるための力の貯る重要である。

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さんの書評2018/03/11

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

5つの視点で考える”仕事が速い人”の発想
①目的を意識しているか?
②ビジュアルを工夫しているか?
③確実に返信がもらえるか?
④相手の心に刺さる言葉を使っているか?
⑤スピーディーに処理しているか?

特に①は何にしても重要であるが、メールという作業になると思考停止してしまうのか非常に①を意識していないメールが多い。
③、④は努力し続ける必要があるが、⑤に関しては面白い示唆に感じた。
重要度が低いからと言って後回しにしないで順番に処理するというところ。
筆者はメールは優先順位をつける必要がない典型的な業務と断じている。
(無駄な)判断を減らすことで集中力を無駄使いしないことが効率化に結び付くのであろう。

そのほか、以下の部分が著書の中から気になったので記載する。
③「逃げ道」を用意して催促メールを送る
返信をもらいたいが、遅れていることを責めてしがいがちで、その結果相手に不愉快である旨をメールに込めてしまい、その後の関係が悪化しかねない。
『前回のメールがわかりづらかったような気がしたので、改めてご連絡しました。』

「4日までに返事をください」「4日までに資料を送ってください」とだけ書くと有無を言わさず命令するようなニュアンスになります。
一方的にならないためにはどうすれば良いのか?
まず、日時を決めるときには相手の都合をきちんと考慮すること
『4日の13時ころまでに頂きたいのですが、可能でしょうか?』

④相手の心に刺さる言葉を使っているか?
正しく伝わっても、印象が悪ければ気持ちよく動いてもらえません。
仕事のスピードを上げたければ、自分の努力だけでは限界があるということ。あいてが 気持ちよく動いてくれるからこそ、結果的に仕事が早く進む
集合時間に遅れずに来てください。→集合時間に間に合うように、余裕をもってお越しください。
勝手にデータの修正を行わないでください。 →データの修正が必要な時は、担当者にご連絡をお願いいたします。
~ください。 →~いただけますでしょうか。
させていただきます。 →いたします。で事足りる。

即レスできない場合は、いったん受領メールを送付する。
そうすることにより送り主に無駄な心配を掛けることがなく、それに起因するこちらへの問い合わせも減る

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さんの書評2018/02/04

やり抜く力 GRIT―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
ベストセラーであり、内容は確かに腑に落ちる部分が多い。
しかし、この本の幹となるのは色々と実用書やビジネス書に様々な言葉で語られている成功の秘密やその実体を”GRIT(やり抜く力)”と言葉で定義し、リフレーミングしている部分であろう。

以下に一部を抜粋する。
「我々の虚栄心や利己心によって、天才崇拝にはますます拍車がかかる。天才というのは神がかった存在だと思えば、それに比べて引け目を感じる必要がないからだ。『あの人は超人的だ』というのは、「天賦の才を持つ人」を神格化してしまった方が自分の尊厳が守られるのだ。
ニーチェは偉業を達成した人々のことを「天分だの、天賦の才だの言って片づけないでほしい。才能に恵まれていない人々も、偉大な達人になるのだから。偉人たちは努力によって偉業を成し遂げ(世間の言う)”天才”になったのだ。」

「スキル」と「成果」の違い
努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。
努力をしなければ、もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち
努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、さまざまなものを生み出すことが出来る。

『何度やってもダメだったら、ほかのやり方を試すこと』

成熟した「やり抜く力」の鉄人たちに共通する4つの特徴
1.<興味>自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる。自分の仕事の中で、あまり楽しいとは思えない部分をはっきりと認識しており、多くの人はちっとも楽しいと思えないことも、少なからず我慢していた。とはいえ全体的には、目標に向かって努力することに喜びや意義を感じていた。だからこそ尽きせぬ興味と子供のような好奇心をもって「この仕事が大好きだ」と言える。
2.<練習>自分の弱点をはっきりと認識し、それを克服するための努力を日々繰り返し、何年も続けなければならない。「何が何でも、もっとうまくなりたい!!」
3.<目的>自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。多くの場合、一つのことに興味を持ち続け、何年も鍛錬を重ねたのちに、「人の役に立ちたい」という意識が強くなるようだ。
4.<希望>困難に立ち向かうための「粘り強さ」だ。様々な挫折を経験して、打ちのめされる。そのたびに立ち上がり、「やり抜く力」を発揮するためには希望をいつも持ち続けなければいけない。

「好きなことを仕事にする」は本当にいいことである。
第一に、人は自分の興味に合った仕事をしている方が、仕事に対する満足度がはるかに高い。
第二に、人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときの方が、業績が高くなる。
なにをするにしても、その人がどれくらい成功するかを左右する「決定投票」は、その人がその仕事を「どれだけ切望し、どれだけ強い情熱と興味を持っているかにかかっている」

子供は教わるのは苦手だが、マネするのは非常に得意である。

子供の育て方は「優しい育て方」と「厳しい育て方」はどちらか一方しか選択できないようなものではない。「愛情ゆえの厳しさ」について、「愛情をもって子供の自主性を尊重する」か、「断固たる態度で親の言いうことを聞かせる」か、その二つの間の妥協点を探ることだと考えるのは間違っている。
「何をするべきか」「どれくらい努力すべきか」「いつならやめてもよいか」など重要なことは、必ずしも子供に判断を任せなかった。

自分の子供の「やり抜く力」を引き出したいなら、まず「自分が人生の目標に対してどれくらいの情熱と粘り強さをもって取り組んでいるか」、次に「子供が自分を手本としたくないような育て方をしているとおも

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さんの書評2017/11/11

医学常識はウソだらけ(図解版)

医学常識はウソだらけ(図解版)

健康の重要な要素、病気の予防はこの著者三石巌によれば①高タンパク質 ②メガビタミン ③スカベンジャーである。
個人的には納得できる部分もある。
現在の医学は対処療法であり、実際にはその副作用も多く、高血圧やコレステロール値による未病の提示など曖昧な表現を嫌う著者はバランスが良い食事などを避けつつ、どのようにすればよいのかを記載している。
実際に薬学を勉強してきたのでこれらの部分に対する著者の主張は良くわかる。
また①についてもその通りであると思う。活性酸素の除去がベースになるものよくわかる。
但し、②は良くわからない。
どのような状態がメガビタミンなのか?まさに曖昧である。
ビタミンについては水溶性、脂溶性があり中毒症もあることはこの著者であれば存じているはずだがそれについての記述は見当たらなった。(図解版だからか?)
ビタミン至上主義者はビタミンの効用について、どのように実験された結果なのかを知らないのでその点は論じるべきだと思った。
例えば、ビタミンCの抗酸化作用を発揮した実験はすべてin vitro(つまり、人体ではなくシャーレの上)である。実際、ビタミンCが効力を発揮するのはミトコンドリア内においてであり、そこに至って初めて抗酸化作用(活性酸素除去)を示す。
しかし、経口摂取したビタミンCがそのままミトコンドリアに取り込まれている証拠は現在ない。ビタミンEについても同様である。
また③スカベンジャーとした抗酸化作用を有する食品に含まれる抗酸化物質も同様である。ワインは身体に良いとした論文はすべて西洋人を使用した実験(しかも、統計学的に結論されたもの)であり、スカベンジャーの効用もin vitroである。
それらを奨励するのはあまり関心はしない。
また分子量が大きいこれらの抗酸化物質を分解したものを摂取するように勧めているが、それでは抗酸化を示すのであろうか?
大筋は納得できるが、細部に疑問を抱くものであった。

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さんの書評2017/11/11

東京五輪後の日本経済

東京五輪後の日本経済

元日銀審議委員である白井さゆり著書
日銀総裁黒田氏が進めている経済施策「異次元緩和」、俗にいう「黒田砲」に市場が沸き、円安、株価の続伸が引き起こされた。
当時、民主党のハトポッポに始まった市場の冷え込みに対して、これらの施策により現在の日本経済は良くなったと思われる。
ただ市井の者にとって、何が異次元なのか?なぜ、株価の上昇に伴った実生活への実感が少ないのか?を丁寧に説明されている。
その中で「デフレマインド」と言われている日本特有と思われる曖昧な言葉の定義と、そこから導き出されるデフレマインドの意味が非常にわかりやすい。
そして、異次元緩和がどれほど異次元なのか?何が異次元なのか?が非常にわかりやすい。
世界的に見ても日本株式市場がどれだけ異常か?本当に異次元と化しているのか?読後に心底ぞっとした。
それは日銀のバランスシートなど普段は見ることはない実際の数字を用いた客観的なもので東京五輪後と銘打っているが、その前後に起こるであろう可能性はこの本を読むまで漠然とした不安であったが、確信へと変わる銘書である。
また日本だけでなく、中国、アメリカ、EUについても丁寧に書かれている。
ブレグジットが起こった時、なぜイギリスのシティが微動だにしなかったのかも説明されている。
それらは独自の視点だけでなく、海外の要人や専門家たちの意見も含めてあり偏りが少ないもののように感じる。
更にヘリコプターマネー、シムズ理論なども紹介しており、どのように日本経済を救うのか?についても論じられている。
以下、この本の中で気になった部分を抜粋する。

東京五輪後、再び金融危機はやってくるのか?
これまで起こったのと同じパターンの金融危機は、二度と起こりません。
但し、新たに金融危機が起こる場合、そのパターンはこれまでに見られなった「予期せぬもの」になる。
東京五輪後の不動産価格は日本の人口減少も伴い、決して明るいものではない。
2013年頃から不動産価格が上昇に転じたのは、日本銀行の大規模な金融緩和政策と東京五輪開催決定が重なったからです。
東京五輪後に、これに代わる好材料が現れなかったとすれば、その後何年にもわたって不動産価格が低迷し続けたとしても、不思議ではないのです。

日本の株価が「実力ベース」となるとき
企業のコストカットの努力にも当然限界があります。また、為替については、東京五輪開催前後にかけて、いったんは円高方向に触れる可能性があります。
こうなると、日本の株価には「日銀の退場」「企業のコストカット努力の限界」「円高」という「三重苦」が襲うことになります。
つまり、為替相場は近い将来、「インフレ率の差」「経常収支の差」に「日銀の退場」という円高圧力の要因も加わり、ここでも「三重苦」に襲われる可能性が高い。
2030年には政府債務は対GDP比で300%を、2040年には400%を超える。
この時、懸念されるのが「円の大暴落」という事態です。
しかし、それは少なくとも今すぐには「起こりにくい」と考えています。
なぜなら、日本人はきわめて「ホームデバイス」(資産を日本円、あるいは円建ての資産形成している)からです。

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さんの書評2017/10/14

梅干しと日本刀

梅干しと日本刀
モーニングサテライトの「リーダーの栞」で紹介されていたのを観てこの本にであった。
過去を否定するのではなく、日本人の特性から生まれた伝統を振り返り、西洋文化が流れ込んできた明治以降、現在に至るまでに失われた隠れた風土、経験に根差した科学を礼賛する本である。
過去を礼賛する本は過去、谷崎潤一郎「陰翳礼賛」を読んでおり、その淀みのない文体と着眼点に甚く感動したためこの本にも期待していた。
しかし、前書きにも書かれているがこの本は基本的に口述紙であり、その結論に至った引用文献や科学的な裏付けが非常に弱い。
例えば、現在の日本において人間関係は希薄になっており、隣人の死を知らずに放置している事件が頻発しているとこの本では紹介されている。
確かに隣人との交友関係は現在、希薄であり、隣人はどのような人かを知らずに生活しており、田舎の方がその点、接点が多く、町もしくは集落単位で相互に人の目が行き届いており、隣人の死に気づくことも多かったはずである。
しかし、隣人の死の放置は本当に多くなったのであろうか?
現在であればインターネット、テレビがあり、過去は新聞が、その前は口伝が主な連絡手段であり、情報の伝達スピードがそもそも異なっており、耳に入る事件の量もスピードも異なる。つまり、事件の発生頻度自体の違いではなく、肌感覚で多く感じているだけではないのではないか?
せっかくの復刊版であるのでいくつかの点について引用文献などを調査するなどして精査することは可能であったので非常に残念である。
このような部分は多々あり、日本語の日常用語が世界一多いなどは調査すれば間違いであることはすぐに判明でき、注意書きなどできたはずである。
また文章の結びの殆どが「~と思う。」、「~であろう。」で終わるのは、筆者が考古学者という科学者を謳うならば落第点を押されても仕方がない。

一方、日本の城郭は堀であり、西洋の城の城壁とは異なる理由の考察などは非常に面白い。しかしその点に関しても、もっと地政学的な違いなどの説明があればより深い洞察が出来たのではないかと感じる。
礼賛することにより、過去を美化し、現在に一石を投じることは良いことではあるが、ただ無条件に礼賛するのではなく、もう一歩進んだ洞察、提案などがあれば良かったと感じる本であった。

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さんのコメント2017/04/16

教える技術
行動科学を使ってできる人が育つ
「叱る」際のポイント
人格や性格を叱ることは間違い
「どうしていつもモタモタしているんだ」「そんな性格だから売れないんだ」など人格や性格を叱ることは間違い
あくまで焦点はその人の「行動」
・やらなければならないのに、やらなかった行動
・やってはいけないのに、やってしまった行動
実行してほしい行動は、具体的な表現で説明し場合によっては具体的な改善策やアイデアを与える。

さんのコメント2017/03/18

社会人になってもちゃんとした意味を理解しないために使用を控えてきた言葉の成り立ちから漢字の意味を知ることができ、有益なものであった。
以下にいくつか列挙する。

幾重にも御礼申し上げます。
ご隆昌の段、慶賀の至りに存じます。:言祝ぎ:ありがたい素晴らしいことがたくさん次々と起こりますよう
敷衍:抽象的なことを具体的に話す。
忖度する:相手のことを推し量る。
あまつさえ:そのうえ、驚いたことに、あろうことか
いみじくも:まことにうまく、適切にも、巧みにも、まさに、よくも
縷説する:よく言えば「丁寧」、悪く言えば「くどい」
雅致がある:趣がある。

さんのコメント2016/11/05

基本的なことではあるが、非常に有益であった。
特に実際の事例を元に流れや、その理由を丁寧に説明し、思考の整理を行うのに重きを置いているので、紹介されている業種以外であってもすぐに自分の仕事に落とし応用できるようになっている。
別段、究極のメソッドや解決策を幇助しているわけではなく、一般的であり、且つデキる営業は自然と行っていることではあるが、平易な営業だけでなく、研究、間接部門などBtoBに関わる全ての業種において思考の整理や行動の改善に向けて十分に得るものがあると思う。
特に”主語を「あなた」の二人称にする”は自分でも希薄になっていたと感じるものであり、自分の仕事を振り返り、修正すべきところがあると感じた。