みんなの書評

さんの書評2018/03/21

記述が大雑把で議論も雑なのであまり参考になりませんでした

安保徹氏の書くもののファンで、対談集かな、と思って手に取りました。
が、安保氏はコメント程度。ほとんどはもう一人の著者、堀氏の健康論です。
とはいっても、TVなどでも耳にするような一般的な代替療法、たとえば温泉のホルミシス療法とか、ミネラルウォーターの効能とか、聞いたことのあるような話が多い。
しかも、堀氏は歯科医とのことで、専門ではない分野については証拠の提示がいまひとつ不十分。
たとえば「胸腺を揉むと免疫力が復活する」といいますが、ほんとうに脂肪の塊となった胸腺がもとに戻るのか?
40を過ぎて胸腺が退縮したあとは胸腺外でTリンパが成熟するので、リンパ球の数そのものはそんなに変わらないのではなかったかと思います。
そもそも胸骨の内側にある胸腺に肋骨の上からアプローチできるとは思えないのですが・・・
アルカリイオン水は胃酸を薄めるのでよくない、という記述もありますが、これも人の説をそのまま引用しただけでダメだという証拠がない。
逆に、アルカリイオン水には効果がある、という本にはそれなりに証拠が提示されています。
ということで、代替療法そのものを否定するわけではありませんが、本書の記述はとても大雑把で議論も雑なので、あまり参考になりませんでした。

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さんの書評2018/03/17

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

この著者「本山勝寛」氏は非常に考え方を構造化しており、なぜそのような行動をすべきなのかを理論立てて自らが納得する形で独学を進めている。
まずこの独学がなぜ最強なのか?を自らの経験と現在の状況を顧みて理由を説明し有象無象の読み手を独学術の入り口まで誘い、どのように実践すれば良いのかを実生活に落として説くので非常に説得力が感じられる。
独学術も「独学1.0」、「独学2.0」、「独学3.0」と実践すべき目的、目標を明瞭に示し、その結果、応用を諭す。
各章はそれぞれを更に分解し、読者に生活を想定した内容に合わせ具体的な手法を示し、更に最後にまとめを作り、再確認を行う。
その流れは淀みなく、一気に読める。

独学1.0←独学でのインプットとアウトプットの重要性を説き、現在だからこそ可能であることを示す。アウトプットでは客観的な結果を求め、インプットの改善を図り知識のアップデートを進める。その場で求められる問題への解決(例えば、試験)を想定
独学2.0←自分の知的資産を増やす未来への投資であると同時に、自分自身の知のレベルをアップデートさせる。つまり、現在直面している問題に対応するための知識ではなく、その周辺への造詣を広げ深化させる独学術であり、どのように楽しむのかを説く。
独学3.0←そんな変化にも対応し、進化し続けるための独学術。独学1.0、2.0を実践し、現実世界での応用方法を説く。一生伸び続けるための極意であり、新しい時代を切り拓き、夢を叶えるための力の貯る重要である。

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さんの書評2018/03/14

毎日のバイタルチェックに体温の記録も有効だと感じました

タイトルから想像できるとおり、冷え性対策についての知見をまとめたものです。
著者はお医者さんですが、東洋医学など代替医療も修めたいわゆる「統合医療」の専門家。
知りませんでしたが、東京女子医大のなかに「自然医療研究所クリニック」というのがあって、統合医療を行っているそうです。
西洋医学に基づく生理学的な知見(自律神経系や内分泌系)と陰陽五行思想に基づく理論の両面から、冷えの原因と対策を検討していて幅広いのが特徴です。
冷えの原因を西洋医学風にいうと、
「循環不全の一種で、血流不足や代謝低下により起きる熱産生不足」
だそうですが、血流不足や代謝低下の原因はありふれていて、たとえば、ストレスによる交感神経の過緊張、エアコンによる冷やしすぎ、冷たい飲料のとりすぎ、運動不足などなど。
よって対処方法はよくある生活習慣病の予防方法と変わりません。
しかし、予防法はわかっていてもなかなか実践できない。
それは目標がたくさんありすぎるかもしれません。
本書の目標は「体温を上げる」ということだけなのでシンプルです。
しかも、上がったか上がっていないかは、体温計で簡単に測ることができる。
最近では活動量計に体温計も装備したものがあると聞きますし、毎日のバイタルのチェックに体温を入れてみる方法も有効だと思いました。

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さんの書評2018/03/131いいね!

脳とバーチャル世界の間にある際限のない欲望のループ

ゲームとポルノが若い男性に与える悪影響について考察したもの。
著者は心理学が専門だが、社会学から脳科学まで広範な知見が提供されている。
ゲームもポルノも脳の快楽中枢=側坐核を刺激しドーパミンの分泌を促進する。
が、男性のほうが女性に比べて2~3倍もの放出があり、強烈な快感が得られるうえに馴化も進むから、はるかに依存症になりやすい。
IT化の伸展によって、以前はハードルが高かったポルノへのアクセスも容易になった。
バーチャル世界のゲームとポルノに強烈に惹き付けられて抜け出せなくなり、現実社会への適応性を失った男性が急速に増えている。
これが、著者らのいう「男子劣化社会」である。
本来、肉体を通して(=肉体の物理的制約の範囲内で)のみ脳が得られるはずの満足が、IT化の進展によって直接脳に入ってくるようになった。
脳の欲求に対する肉体の制約が大幅に減ったのが今のIT化社会だ。
ネット通販で居ながらにして必要なものが手に入るとか、図書館に行かなくても調べ物ができるなどとという程度ならまだしも、報酬系が関わってくると厄介だ。
それこそ、脳とバーチャル世界の間で際限のない欲望のループがはじまる。まるでバッテリーをショートさせたようなものだ。
そうなるともう、いきつくところまでいって、最後は壊れるしかない。
本書ではそれを防ぐためのいろいろなアイディアも提出されているが、現実には非常に難しいと感じる。
宮台真司氏がよくいう「男子の性的な後退」も、この流れにのっているものだろう。
そして、大多数の男子は映画「マトリックス」のように、直接、コンピュータに繫がれる道を自ら選び、それでもそれなりに幸せな人生を送るのかもしれない。
原題は『man(dis)connected)』
ネットに繋がれ、現実社会との接続を切られた男たち。
もう、後戻りはできない気がする。

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さんの書評2018/03/11

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

5つの視点で考える”仕事が速い人”の発想
①目的を意識しているか?
②ビジュアルを工夫しているか?
③確実に返信がもらえるか?
④相手の心に刺さる言葉を使っているか?
⑤スピーディーに処理しているか?

特に①は何にしても重要であるが、メールという作業になると思考停止してしまうのか非常に①を意識していないメールが多い。
③、④は努力し続ける必要があるが、⑤に関しては面白い示唆に感じた。
重要度が低いからと言って後回しにしないで順番に処理するというところ。
筆者はメールは優先順位をつける必要がない典型的な業務と断じている。
(無駄な)判断を減らすことで集中力を無駄使いしないことが効率化に結び付くのであろう。

そのほか、以下の部分が著書の中から気になったので記載する。
③「逃げ道」を用意して催促メールを送る
返信をもらいたいが、遅れていることを責めてしがいがちで、その結果相手に不愉快である旨をメールに込めてしまい、その後の関係が悪化しかねない。
『前回のメールがわかりづらかったような気がしたので、改めてご連絡しました。』

「4日までに返事をください」「4日までに資料を送ってください」とだけ書くと有無を言わさず命令するようなニュアンスになります。
一方的にならないためにはどうすれば良いのか?
まず、日時を決めるときには相手の都合をきちんと考慮すること
『4日の13時ころまでに頂きたいのですが、可能でしょうか?』

④相手の心に刺さる言葉を使っているか?
正しく伝わっても、印象が悪ければ気持ちよく動いてもらえません。
仕事のスピードを上げたければ、自分の努力だけでは限界があるということ。あいてが 気持ちよく動いてくれるからこそ、結果的に仕事が早く進む
集合時間に遅れずに来てください。→集合時間に間に合うように、余裕をもってお越しください。
勝手にデータの修正を行わないでください。 →データの修正が必要な時は、担当者にご連絡をお願いいたします。
~ください。 →~いただけますでしょうか。
させていただきます。 →いたします。で事足りる。

即レスできない場合は、いったん受領メールを送付する。
そうすることにより送り主に無駄な心配を掛けることがなく、それに起因するこちらへの問い合わせも減る

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さんの書評2018/03/10

著者自身が行った様々な実験結果を丁寧に紹介していて参考になった

HSPについて、サウナでの実験結果が書かれているというので読んでみました。
実験は乾式の高温サウナではなく低温のミストサウナ。
40度前後の低温で毎日15分、2~3週間連続で入るとHSPが増えるという結果でした。
それなら普通に入浴してもいいわけで、あえて低温のミストサウナで実験をした意図がよくわかりません。
70度から100度近い高温の環境は通常の入浴方法では得られないので、その結果が知りたかったのですが・・・
とはいえ、著者自身が行った様々な実験結果を丁寧に紹介していて、HSPがどのようにしたら増えるのか、HSPはどのような効果があるのかがよくわかって大変参考になりました。
とくに興味深かったのは円形脱毛症の原因について。
円形脱毛症がストレスに関係しているとは以前からいわれていましたが、HSPの不足によるアポトーシスが原因ではないか、との説が提示されています。
精神的ストレスが、なぜ、頭皮の細胞のみに障害を与えるのかについてはよくわかりません。
が、もしかするとストレスは全身の細胞に加わっていて、たまたま、障害が出たのが頭皮だったということなのかもしれませんね。
期待した情報は得られませんでしたが、データが豊富で、いろいろと参考になったので★5にしました。

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さんの書評2018/03/04

筋肉研究一筋40年の著者が現役引退時にまとめた貴重な知見です

杉晴夫氏の「ストレスとは何か」がたいへんおもしろかったので、他の著作にもまとめてあたっています。
本書は、筋肉研究一筋の著者が現役を引退するときにまとめたもの。
40年にわたる知見の集大成を一般向けに分かりやすく解説していています。
なぜ筋肉が動くのか、その動力源となるエネルギーはどのように供給されるのか、筋肉を意のままに制御する神経系はどうなっているのかなどなど、筋肉にまつわる話題が体系的、包括的に学べるのが魅力です。
もっとも興味深かったのは、「まだ解明されていない」とか「40年研究してきたが結局わからなかった」というフレーズがそこここに見られること。
集大成としてまとめた新書のタイトルに「ふしぎ」という言葉が使われている理由がわかった気がします。
研究対象に対する著者の愛というか自然が作った筋肉というしくみへの深い敬意が感じられて好感が持てました。
筋肉疲労の原因は乳酸である、など、現在では古くなってしまった学説も見られますが、それはそれとして、いまでも一読の価値は十分あると思います。

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さんの書評2018/03/03

ヒートショックプロテインがなぜ効くのか

ヒートショックプロテインがなぜ効くのかに興味があって何冊かしらべてみたなかの一冊です。
著者は薬学・生化学が専門でHSPを研究して20何年とのことで、分子レベルでタンパク質の構造から読み解きつつ、HSPがどのようにタンパク質の変性を防ぎ、さらに壊れたタンパク質を修復していくのか、微に入り細を穿つ非常に詳しく解説されています。
単なる専門バカの研究者、というより、生命現象を俯瞰するなにか思想のような軸が一本通っていて、自身の研究を冗談めかして「ノーベル賞もの」などと書いていますが、筆致にはほんとうにノーベル賞でもとりそうな勢いがあり、たいへん興味深く読みました。
チューリップエキスが皮膚のHSPを増やし、コラーゲンを修復するという話があったので、ためしに製造元の化粧品会社に問い合わせてみました。
が、あくまで試験管のなかでの話で、ヒトの身体ではまだわからないとのことでした。
仮説もまだたくさん残っているのでしょうが、ひととおり納得のいく説明は得られたので満足です。
おもしろかったので、この著者の他の著作があれば、あたってみたいと思います。

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さんの書評2018/02/28

椎骨は左側にしかズレない、という説がほんとうなのかどうかがキモ

タイトルが気になったので手に取ってみた。
著者は整体を生業にしている施術家で、モルフォセラピーと名付けた独自の理論で施術を行っているとのこと。
人のからだは左右対称ではなく、腰痛などからだに不調がある人は決まって左側の脊柱起立筋が硬く盛り上がっている。
脊柱起立筋だけではなく、顔面のゆがみも左側に現れることがほとんどだそうだ。
なぜそうなるのかというと、椎骨が左にのみずれる性質(=左一側性)をもっているため。
椎骨のずれが交感神経の過緊張につながり、そこからさまざまな不調が誘発される、ということらしい。
本書の面白いところは、左右非対称=アシンメトリーという現象を、単に施術法にとどまらず、化石人骨、昆虫、仏像にまで広げている点。
なんの話をしているのか途中でみえなくなることもあるが、著者自身の歩んできたユニークな人生をたどる話題としておもしろいのはおもしろい。
著者のモルフォセラピーの中心テーマは「椎骨は左側にのみずれる」という点。
本書の価値は、これがほんとうなのかどうかにかかっているのだが、施術家としての著者の経験のみに基づいており、裏とりは残念ながら不十分。
整形外科の医師と協力するなりして、左一側性説の補強があればなおよかったと思う。
ともかく、そういうことはこれまでまったく気にしたことがなかったが、顔は外から見てもわかるので、電車やバスの中でも気を付けて観察してみたい。

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さんの書評2018/02/231いいね!

β-グルカンが好中球を活性化し、細菌やガン細胞が除去される、ということらしい

サプリメントの効果について、いろいろ調べているなかで手に取った一冊です。
本書は、β-グルカンという名前で知られている食物繊維の効果について、いろいろな研究結果を紹介したもの。
ざっくりといえば、β-グルカンが好中球(顆粒球のひとつ)を活性化するので、有害な細菌やガン化した自己細胞の除去に効果がある、ということらしいです。
β-グルカンはキノコや酵母などの細胞壁を構成物質で、そんな分子量のおおきなものが腸壁をどうやって通過するのかにも興味があったのですが、やはりパイエル板のM細胞がエンドサイトーシスで取り込むとのこと。
一般には「食物繊維は消化されないので体内には取り込まれない、栄養素にはならない」とされていますが、そう単純なことでもないとわかったのが収穫でした。
ひとつ気になったのは、β-グルカンが顆粒球を無条件に活性化するとなると、顆粒球過多が原因とされる疾病、たとえば関節リウマチや胃潰瘍、痛風、白内障、クローン病などは症状が悪くなるのではないか、という点です。
顆粒球は54~60%が適正な割合だと聞きますが、β-グルカンを摂取し続けても、60%を越えてまでは増えないような仕掛けが別にあるのでしょうか?
そこがちょっと気になりましたが、総じて研究者が執筆したとても真面目な内容で、売らんがための誇張もなく、信頼は置けると思います。

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