さんのコメント2019/08/07

436「正直にいうと今日来ようかどうか迷ったんだ。でも、今日来なかったら、明日はもっと来づらいような気がした。ぼくの家から駅にゆくには、この店の前を通るのが一番近道なんだ。それなのにこの店を避けながら生きていくなんて、考えただけでも息苦しいじゃないか。だったらこれで通り店に通って、楽しい思い出を増やしていったほうがいい。そう思ったんだ。」涼し気な眼差しで智也が歯切れ良く話すのを見て、夏美は姉が彼に惹かれた気持ちが改めて変わった。この人となら、たとへ贅沢な生活ができなくても、楽しく前向きに生きていけると思ったのだろう。子どもができたとわかったとき、きっと、飛び上がるほどに嬉しかったに違いない。

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