目次
特別寄稿: 藤原勝紀
テスターとして、カウンセラーとして 小出めぐみ
「わたしの心」が目覚めるとき 仲 淳
「文化の病」の視点からみた現在の不登校に関する一考察 藤井信太郎
児童養護施設の心理的援助についての一考察 井上裕樹
自閉的な課題を主訴とした男児の事例 森岡理恵子
特別寄稿: 瀧口俊子
沖縄の風土に根ざした心理臨床の可能性 片本恵利
「禊」と個性化の過程 周 直民
男性のジェンダーと「たましい」 濱田智崇
心理療法を支える器としてのイメージの機能 清水亜紀子
箱庭砂箱の「青」をめぐって 名取琢自
私の「教育分析家」は「猫」だった 菅 佐和子
前書きなど
まえがき
この度、岡田康伸先生の喜寿を記念して、ささやかな単行本を出版することになりました。
2017年の秋から、岡田先生を囲んで、若手・中堅セラピストが集う小さな事例検討会が始まりました。私は、彼らとは年齢はかけ離れていますが、縁あってその事例研のメンバーに加わっていました。
事例検討会の後には、近くの居酒屋に場所を移して、美味しい伏見のお酒と料理を味わいながらざっくばらんなおしゃべりのできる懇親会も楽しみのひとつでした。そのような場で、岡田先生の喜寿が話題となり、できれば、日頃のご薫陶に対する感謝の気持ちを、心理臨床をめぐっての共同執筆というかたちで表現したいという話が、少しずつ盛り上がっていきました。
周知のとおり、岡田先生は河合隼雄先生の高弟であり、河合先生の「たましいの心理臨床」を純粋に受け継いでおられる心理臨床家です。時代と社会の動向のなかで、心理臨床に関する理論や技法のトレンドはさまざまに変化するかもしれませんが、根底に存在するもの、クライエントから求められるものは不変ではないかと思います。それを大切にしながら、みずからの実践について改めて考える試みが、本書のテーマであるといえましょう。本書のタイトルは、「たましいの心理臨床を目指しての歩み」という意味で、おこがましいのは承知のうえで『たましいの心理臨床』とさせていただきました。意のあるところをお汲み取りいただければ幸いに存じます。
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編著者:菅 佐和子