目次
変容する中世騎士道物語
明治・大正アーサー王浪漫
日本初のアーサー王物語
愛か忠誠か
「アストラット」から「アスコラット」へ
テレビアニメーション『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』における日本のアーサー王原像
一九八〇年代アキバ系サブカルチャーにおける「アーサー王物語」の受容
宝塚のアーサー王物語
女性アーサー王受容之試論
『ドラゴンクエスト11』における騎士道とアーサー王
私の『アーサー王の世界』
永遠の王アーサーと『金色のマビノギオン』
カズオ・イシグロのアーサー王物語
イングランドとアメリカのポピュラーカルチャーにおけるアーサー王伝説
前書きなど
アーサー王物語は浸透し、独自の発展を遂げています。
絵本や小説、映画はもちろんのこと、アニメ、マンガ、テレビドラマや演劇舞台、ライトノベル、ソーシャルゲーム、二次創作の領域において、さらなる「冒険のフィールド」を広げているのです。本書では、そのような状況に目配せし、西洋の一大英雄譚がいかにして日本に取り入れられ、どのように受容・享受されてきたかを探ります。
「マーリンとは誰?」「アーサー王は女性なの?」——―こうした素朴な問いに答えるべく、日本とアーサー王物語との出会いと変遷について、学術的調査と知見に基づく情報を提供できればと考えます。アーサー王の世界に関心を持った読者の知的好奇心の受け皿として、本書が学術と娯楽の橋渡しになることを強く望んでいます。
(岡本広毅『序文より』)