目次
Ⅰ 横議横行論
Ⅱ 群衆は増殖する
Ⅲ レーニンと組織戦略
Ⅳ ゲッベルスの大衆操作
Ⅴ 仮面と変身―― サブカルチュアの政治経済学のためのノート
Ⅵ 異化する身体の経験―― 全共闘世代について
Ⅶ 差別について何を語りうるか
Ⅷ 横議横行論(続)
あとがき
解説 一九六八年 持続と転形 酒井隆史
前書きなど
猪俣津南雄『横断左翼論と日本人民戦線』の私が書いた序文にはこうある。
「この(横断左翼の)理論は当時の運動に多大な害毒を流していた分裂主義および解党主義に対するきびしい実践的批判の性格をもっていたがゆえに、当時の全運動の根本的弱点を照射する鏡となるとともに、進行するファシズム下に最後の抵抗としてくりひろげられた統一運動を深部から意味づけるひとつの重要な理論たりえたのであった。惜しむらくは、時すでにおそく、日本人民戦線は萌芽のうちに暴圧をこうむって潰滅し、猪俣も獄に病んで志半ばにして斃れ去った」
いま横議横行から横断左翼までを振り返ってみる理由というのは、またしても右翼的反動の時代を迎えつつある中で、タテ社会ではないヨコの抵抗組織、そこからくる新しいヨコ社会のありかたを展望してみようという思いからなのである。
――「横議横行論」より