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学校3.0×SDGs―時代を生き抜く教育への挑戦― (キーステージ21 ソーシャルブックス)

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詳しい情報
読み: ガッコウ サンテンゼロ エスディージーズ : ジダイ オ イキヌク キョウイク エノ チョウセン
出版社: キーステージ21
単行本: 238 ページ
ISBN-10: 4904933168  ISBN-13: 9784904933169  [この本のウィジェットを作る]
NDC(9) : 375

紹介

SDGsの学びに取り組んできた2校の事例を取り上げ、「SDGsの学び」の可能性について論じている。
学校現場の管理職や教員、教育の政策に携わる人々、保護者・学生・研究者、NPO・NGOのスタッフな…
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である。
 杉並区立西田小学校は2014年にユネスコスクールの指定を受けて、ESDを学校経営の根幹としてSDGsの学びに取り組んできた。生活科や総合的な学習の時間を柱に、自然、環境、地域遺産、福祉、まちづくり、世界環境、平和や国際協力、SDGsを意識づける学校環境などに取り組んできた。
 山梨県須玉小学校ではSDGsの学びにより、児童の授業への参加度が劇的に向上。長坂小学校では、チーム長坂小として、JICAや保護者、地域の方々、様々な専門家とともに学校づくりを進めてきた。
 本書では、2校の事例を取り上げ、「SDGsの学び」の可能性について論じている。
学校現場の管理職や教員、教育の政策に携わる人々、保護者・学生・研究者、NPO・NGOのスタッフなどに読み応えのある一冊。

目次

まえがき
第1章 未来を築く「SDGsの学び」 学習院大学教授 諏訪哲郎
1 SDGsの学びとは
2 なぜ「SDGsの学び」が必要なのか
3 「ESDの学び」と「SDGsの学び」の違い
4  ESDの経験から学ぶべきこと
5 「SDGs の学び」を実現するには
6 「地域密着型私塾的NPO」の可能性
7 「SDGsの学び」の運営上の要点
8 「SDGsの学び」のさらなる展開- 2050 年に向けて

第2章「SDGsの学び」のアクティブ・ラーニング 諏訪哲郎
1 アクティビティを通した学び
2 つながり発見ウェビング-SDGs編
3 SDGs17 目標の達成可能性推測マップ作り
4 SDGs足りないもの探し
5 学生の創作アクティビティ
6 SDGs認知度インタビュー
7 「SDGsの学び」のプログラム化の試み

第3章 時代を生き抜く学校への挑戦―教科書にはない価値を求めて―
(ユネスコスクール 杉並区立西田小学校の事例)
杉並区立西田小学校 前校長 小堂十、副校長 新井雅晶
1. ESD子ども報告会2018の感想より
2.「ユネスコスクール(ESD)って何?」から始まった基盤づくり
3. 6年間の学び(テーマ学習)で育てる
4. 西田型研究協議会とは
5. 多様な国際交流活動(SDGsに向けて)
6. 広がるNISHITAのホールスクールアプローチ
7. 本当に「教師が変わり、児童が変わり、地域が変わり、学校が変わった」のか?
〇ライフヒストリーから見た私と「SDGs の学び」との出会い

第4章 SDGsのゴールにむけて 今、学校ができること
(山梨県北杜市立須玉小学校、長坂小学校の事例)須玉小学校 前校長 丸茂哲雄
1 1年間でも学校は変われる!-須玉小学校の実践-
 SDGs に関わるグランドデザイン/校内研究とSDGs / SDGs の実践/
 教職課程の中へSDGs を配置する/まとめ/実践をふり返っての座談会
2 対話型の学び合いを根底におく-長坂小学校の実践-
 なぜ,対話なのか/対話を追求した校内研究の概要/深い対話力の育成をめざして/
 研究推進に関わった教員の想い
3 山梨共創研究会の仲間と学校の壁を超えた学び
4 深い対話&SDGsのゴールに向けて
〇私の人生とSDGs

第5章 教育の人類史的大転換を前にして
 金沢学院大学教授 多田孝志
1 グローバル時代の現実化と異質との共生社会に対応した教育
2 異との共生
3 持続可能で希望ある未来を構築できる人間育成に資する新たな学び
4 グローバル時代の対話力の活用
5 競争社会から共創社会への転換
6 「実践の智」の提唱
7 「実践の智」の事例紹介
8 まとめにかえて・・・SDGs の学びの課
あとがき

前書きなど

「ESD の学び」と「SDGs の学び」は同じだろうか?いやどうも違う。 この違いを意識するようになり,本書の25 ページに掲げた,正17 角形の17 の頂点にSDGs(= Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17 の目標を置き,すべての対角線がつながって網の目状になった図を描いてみた。そして,これからの教育は「ESD の学び」からさらに深化した「SDGs の学び」を目指すべきである,と考えるようになった。このことが本書を刊行しようと思った第一の理由である。
 第1 章では,「SDGs の学び」とはどのようなものか,なぜこれからの教育で「SDGs の学び」が求められるのか,について述べている。前者については,統合的・総合的な学びであること,行動や参画を促し,行動や参画の過程で多くのことを獲得する学びであること,後者については,生態的・社会的な持続可能性の危機が迫っているとともに,既存の学校教育の軋みが放置できない段階に来ていることなどを述べている。また,「SDGs の学び」を普及させる手立てについても,新構想の免許更新講習の実施経験を紹介するとともに,「地域密着型私塾的NPO」の可能性に言及している。
 第2 章では,大学の「アクティブ・ラーニング」という授業の中でSDGs をテーマにして実施したいくつかのアクティビティの内容とその結果を報告している。
 第3 章と第4 章では,小学校における学習を,まさに「SDGs の学び」のレベルにまで高めた二人の前校長に,どのようにすることでそれを可能にしたかを語ってもらっている。
 第3 章では杉並区立西田小学校の小堂前校長(+現副校長)が主導した実践の深化過程をコンパクトにまとめてもらった。第3 章の冒頭で,2018 年度の「ESD 子ども報告会」を参観した保護者の感想をいくつか紹介している。年間を通したテーマ学習が,子どもたちに大きな成長をもたらしたことを保護者もしっかりと受け止め,学校側に感謝していることがはっきりと表れている。
 筆者は小堂前校長が西田小学校校長に着任した2016 年の5 月に初めて西田小学校を訪問した。その際に,ユネスコスクールとしてESD とどのように取り組むかの抱負をうかがい,その後の研究会には極力参加するようにした。また,2017 年10 月からは同校の学校運営協議会の会長に就任し,以後,同校にはほぼ毎月出向いている。しかし,訪問するのは下校時間以降が多く,児童との接点は多くなかった。それだけに2018 年度の「ESD 子ども報告会」で自分たちの一年間の学びの成果を発信する姿や,3 月の卒業式において卒業生一人一人が壇上から大きな声で「将来の抱負」を発表した姿には,主体的な学習を通して子どもたちはここまで成長できるものかと驚かされた。
 西田小学校を3 年間牽引してきた管理職にこの間の足跡を振り返ってもらい,どのような取り組みが有効だったのかを明らかにするのが第3章のねらいである。小堂前校長は「西田小の学びはESD から始まり,現在は『SDGs の学び』へと深化(進化)している」と述べているが,深化(進化)を実現させるために,研究協議会の改革をはじめとして,様々な手立てを講じてきたことが記されている。ちなみに,西田小学校はNPO 法人持続発展教育フォーラム主催の2019 年第10 回ESD 大賞の小学校賞を受賞している。
 なお,西田小学校における3 年間の歩みは,小堂前校長とともに,新井副校長もその牽引役として大きな力を発揮している。3 年目の終わりに実施した教員へのインタビューとそのとりまとめは,主に新井副校長が担当したものである。そこには「教員側も楽しみながら授業づくりができるという点が「SDGs の学び」の楽しさになると思う。・・・教員の教育観が変わるから,結果として子どもも変わる,というサイクルが,うまく回っていく・・」というような発言も記されている。
 第4 章は,山梨県北杜市立須玉小学校の丸茂前校長による「SDGs の学び」の実践報告を掲載している。丸茂前校長が定年退職前の1 年間だけ在職した須玉小学校において児童の授業参加度が劇的に向上したことに,共創型対話学習研究所を主宰する多田孝志教授(金沢学院大学)も驚嘆され,「どうしてそれが可能になったのかを知りたい」と述べておられた。その理由を探るべく,丸茂前校長自身に須玉小学校における1年間,前任校の北杜市立長坂小学校における3 年間,そして共創型対話学習に共鳴する山梨県の教員との研鑽過程を振り返ってもらった。
 筆者と長坂小学校,須玉小学校との出会いは,2016 年12 月に多田教授から「諏訪さんの地元の小学校で素晴らしい実践が行われているんだ。今度一緒に見に行かない」と誘われたのがきっかけである。訪問当日の長坂小学校の催しは,多田教授が主宰する共創型対話学習研究所の研究会で,研究授業の見学だけでなく,その後の研究協議会と講演会がセットされていた。実際には単に「見に行く」だけでなく,地元教員のほか研究会会員数十名を前にスピーチをさせられることになったが,研究授業のレベルの高さには圧倒された。
 その後,自宅近くという地の利もあって,長坂小学校を何度か訪問し,丸茂哲雄校長(当時)や先生方からから様々なお話をうかがうことができた。その結果として,質の高い授業を実現できている大きな理由が,児童の対話力にあること,その対話力を向上させるために,子どもたちの読書量の増大に様々な工夫をしていることや,多様な学外者との出会いの場を頻繁に設けていること,「SDGs の学び」を重視した教育を行っていることなどを理解した。また,授業を見学させていただくなかで,各先生方が多田教授の直接の指導や著作から,対話力を向上させるための様々なスキルを修得していることも確認した。そして,2018 年4 月に刊行した『学校教育3.0』(三恵社)では,長坂小学校のことを持続可能社会型教育システムの先取り実践事例として紹介した。
 2018 年4 月に丸茂校長が隣町の須玉小学校の校長に異動されたのちは,長坂小,須玉小の両校を訪ねるようになり,同年6 月には,多田教授とともに両校の研究授業のハシゴ参観も経験した。第4 章では,須玉小学校の2018 年度の教員8 名の座談会の一端を紹介しているが,夜遅くまで授業準備等を行ったことに触れ,「働き方改革には逆行しているようだけど,やりたくてやっているので大変さはなかった。むしろ充実感があった」とある教員は述べている。
 このような二人の校長の下での教職員の変化と子どもたちの変化を広く知ってもらいたいと思ったことが,本書を刊行したいと考えた第二の理由である。
 本書の締めくくりをなす第5 章では,多田孝志教授に寄稿していただいた「教育の人類史的大転換を前にして」を掲載している。海外での日本語学校での経験も豊富な多田教授は,これからの多文化共生時代における教育のかなめが「共創型対話」であることを一貫して指摘し,その対話力向上のための具体的な手立てを研修会や著書を通して多くの教育関係者に伝えてきた。
 多田教授は,第5 章の冒頭で,「いま進行し始めた教育改革は,文明の発生に匹敵する人類史上の大転換をもたらす可能性を秘めている」と述べている。筆者は,前著『学校教育3.0』において,150 年前に誕生した「国民国家型教育システム」(=学校教育1.0)が,今も学校教育の中に根強く残っており,1970 年代半ばに台頭してきて今日の学校教育の基調となっている「資質・能力重視型教育システム」(=学校教育2.0)も,新自由主義的な競争の原理を根底に据えていること指摘した。そして,今後求められる持続可能な社会の構築には,競い合う「競争」ではなく,共に創る「共創」を基本原理とする「持続可能社会型教育システム」(=学校教育3.0)への移行が不可欠であり,その動きが始まっていることを述べた。多田教授の言葉にある「いま進行し始めた教育改革」とは,筆者のいう学校教育3.0 への移行とほぼ同じ内容であることは,これまでの意見交換を通して確認してきたことである。
 ところで,筆者は日本環境教育学会が日本児童教育振興財団の助成を受け,ほかの5 つの学会や団体の協力を得て刊行した『事典 持続可能な社会と教育』(2019 年7 月,教育出版)の末尾の「未来の教育―編集後記に代えて」で,以下のように書いた。
 生態的・社会的な持続可能性を脅かしている様々な課題を克服できていなければ,100 年後の世界が正常に機能している可能性は低い。逆に,100 年後の未来社会が正常に機能しているとすると,近未来のどこかの時点で,何らかの決定的に重要な大転換が生じた可能性が大きい。
 どのような課題の克服についても当てはまることであるが,結局は,個人の利益を追求する以上に,持続可能な社会の構築を重要と考え,それに参画しようという人々が多数派を占めるようになっていることが前提となるのではないだろうか。そのためには,競争を基調とする教育から持続可能な社会の構築に取り組む共創型の教育への転換,ほかの学習者を競争の相手と捉えるのではなく,課題解決に一緒に取り組む仲間という意識を育む教育への転換がなされている必要があるであろう。
 本書には,上記の「持続可能な社会の構築に取り組む共創型の教育への転換」のための具体的な手立ての一端を広く知ってもらいたいという著者一同の思いが込められている。
 
著者を代表して 諏訪哲郎
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