目次
《序文》久野 潤(監修)
第一章 人間・学徒兵(校正・但馬オサム)
◆原田裕(早稲田大学・元陸軍独立山砲兵連隊)
◆江副隆愛(上智大学・元海軍特別攻撃隊八幡護皇隊)
◆神代忠男(慶應義塾大学・元近衛歩兵第三連隊)
第二章 学徒とその戦後史
◆寺尾哲男(早稲田大学・元海軍七〇一航空隊)
◆柳井和臣(慶應義塾大学・元神風特別攻撃隊第四筑隊)
◆横山直材(國學院大学・元陸軍戦闘機「隼」搭乗員)
◆加藤昇(立命館大学・海軍第飛行科偵察員)
《あとがき》玉川博巳(慶應義塾戦没者追悼会代表幹事)
前書きなど
本書は学徒出陣体験を持つ六名の方々のインタビューをもとに構成されている。
いわゆる戦記もの、戦争体験ものはこれまで実に多くの書物が出版されてきているが、本書は単にそうした学徒出陣体験者の戦争経験にとどまらず、それぞれが戦前はどのような学生生活を過ごしてきたのか、また戦争が終わって復員後、戦後の社会の混乱の中に放り出された若者達がどうやって生活し、家庭を営んできたのか、いわば戦後復興において各自がどのように社会の中で奮闘してきたのかを貴重な証言によってまとめている。
言い換えれば本書から戦後復興史の一面が垣間見ることができるのではないだろうか。
学徒出陣から七十三年、戦後七十一年という歳月が経過し、もはやあの戦争もそして学徒出陣という歴史的出来事もはるか遠い過去の出来事のように感じられる。
しかし現在は過去の延長線上に位置し、戦後のそして現在の日本は戦前、戦中の日本と全く無縁に存在しているのではない。あの戦争に青春を捧げ、血みどろになって戦った世代の若者たちが、戦後の廃墟の中から立ち上がり、引き続き終戦後の苦難の中を必死に生き抜いて日本再建を目指して戦った歴史でもあったのだ。
本書で語られた学徒出陣体験者の証言は貴重な昭和史であり、青春の記録であり、そして世界をも驚愕させた日本復興史を物語る証言でもある。
また本書に登場した元出陣学徒たちの心には、あの戦争に散った多くの仲間たちの、学問を愛し、家族を愛し、そして祖国を愛する心がそのまま生き続けてきたことを深く感じ取ることができる。
私たちはその心を我が心として受け止め、次の世代に引き継いでゆくことを我れらが使命と考えたい。