内田裕介さんの書評 2018/01/27
HSPについて少し調べていて手に取りました。
著者は30年このかたHSP70を研究してきたという第一人者とのこと。
オリンピック選手にも加温療法を施して、成果を上げているそうです。
HSPは、ストレスを受けたときに生体が作り出すタンパク質。
熱だけではなく、どんなストレスでも生成されるそうですが、高温時がいちばん生成量が多いのでヒート(熱)ショック(衝撃)プロテイン(タンパク質)といわれるそうです。8つほど種類があって、著者が研究しているのはHSP70という分子量7万のもの。ほかにも皮膚のコラーゲン生成を助けるHSP47なんかもあるそうです。
さて、著者が提唱する加温健康法とはなにか。
それは「週2回、42度の風呂に10分間つかる」という、とてもシンプルなものでした。
風呂の温度は給湯器に表示されている温度よりずっと低くて、湯温42度を実際に作ってみるとかなり熱め。
これならたしかに結構なストレスになりそうです。
ただ、HSPがどのような機序で作られるのか、作られたHSPが具体的にどのように働くのかについてはほぼ説明なし。
ストレス状況下にあるということは、交感神経が活性されて血圧が上がったり、糖質コルチコイドが放出されて免疫系が抑制されたりしているはず。
高ストレス状況では様々なストレス障害(胃潰瘍やリンパ球減少、副腎肥大などなど)が起きるので、緊張しすぎた交感神経を緩めて副交感神経優位にもっていこうというのが一般的な健康法ですが、本書はその逆をいくわけです。
ストレス学説でいう「疲弊期」に入っているひと向けのある種のショック療法、ということなのかもしれませんが、それなら普通に健康な人はやらないほうがいいのでは?と思ってしまいます。
やっぱり抗ストレス物質の働きについての話なので、ストレス学説との絡みは言及しておいてほしかったです。
医学的、生理学的な根拠についてはさらに当たってみたいと思います。
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