和さんの書評 2019/05/29
言葉の力を感じた。人が生きる、人間が生きる、その尊厳を言葉で言葉と対話することができた。本当の平和とは何か、本当の教育とは何か、この詩集の言葉と、私の中の言葉で対話した。深く考えられる言葉の詩集に出会った。
平和は与えられるものではなく、一人一人がつくっていくという意識が再考される。生活と切り離されたものではなく、笑い、泣き、楽しみ、悲しみ、歓び、苦悩し、そうした日常の中で、人間として、時にもがきながらも、形成していくものと自覚される。
いじめによって引き起こされた苦しい報道を見るが、子供も、大人も、この詩の言葉と正対してみることは、意義深い。ここには、問題集の解答のような意味合いはない。しかし、言葉との対話による、自身の言葉をもつということがある。
「語る人のいのちある言葉は、物語る人のいのちに刻まれた、多くの人のいのちの尊厳がある」と、あとがきにある。存在、尊厳、生、時間、場所など哲学のテーマも内包した言葉による表現や、実際にあったこと、その時、その場で生きた人の、今を生きる中での言葉を、韻文で表現することの意味さえも考えさせられる。詩という表現の開拓をも感じさせられる。
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