目次
1 「アイヌ史」は成立するのだろうか――序にかえて
2 近世北方民族の生活
描かれたアイヌ生活誌 / アイヌの歴史 / ウェペケレと役蝦夷の時代 / コタンの生活 / アイヌ絵の意味するもの / 確実性の高いアイヌ絵 / 強制コタンでの生活
3 アイヌ文化の歴史と生業
四本のイクパスイ / 酒 / 酒と漆器 / 伝世された漆器群 / トゥキ / シカリンパハといううつわ / ウイマムと酒儀礼 / アイヌ文化と漆器 / むすび
4 中世の「蝦夷」史料
5 強制コタンの変遷と構造について――とくにアブタ・コタンを中心に
はじめに / 近世コタンの二形態 / 強制コタンとしてのアブタの変遷 / アブタ・コタンの構造 / おわりに
6 酋長サカナの物語――あるアイヌ研究の側面
7 噴火湾Ainuのおっとせい猟について――江戸時代におけるAinuの海獣猟
はじめに / 問題の所在 / おっとせいとその需要 / 獣名の由来 / おっとせい猟の実際と禁忌 / まとめ
8 レブンゲ・コタン誌稿――とくにコタン構造から
はじめに / レブンゲ・コタンの位置 / レブンゲ・コタンの構造 / 家内構成の変遷 / むすび
9 近世アイヌの社会――ソウヤウンクルのコタンを中心に
はじめに / ソウヤ場所内のコタン / ソウヤウンクルの社会 / むすび
10 蝦夷通詞について
はじめに / 蝦夷通詞 / 松前と蝦夷通詞 / 松前藩と蝦夷通詞 / 場所請負制下の蝦夷通詞 / 蝦夷通詞のアイヌ語 / むすび
11 蝦夷通詞・上原熊次郎のこと
12 近世アイヌ語資料について――とくに『もしほ草』をめぐって
はじめに / 上原熊次郎と『もしほ草』/ アイヌ語資料としての『もしほ草』/ むすび
13 アイヌイタク ヱラム アナ
はじめに / 異言語との出会い / カムイトクイという言葉 / アイヌと日本語 / シャモとアイヌ語 / むすび
14 少年たちのまなざし――一枚のアイヌ絵から
一枚の絵 / シャモとアイヌ / シャモという日本語びと / 少年の向学心 / 奇童エトメチュイくん / アイヌ語を学んだシャモの少年たち / シャモの世界にとびこんだひと / 新しい文化に触れる意欲
15 イオマンテ考――シャモによるアイヌ文化理解の考察
はじめに / 本報告の主たる関心 / アイヌの神概念とイオマンテ / 場所請負制下におけるイオマンテの評価 / むすび
16 犬は先祖なりや――アイヌの創世説話と和夷同祖論
はじめに / 犬祖説話 / 近世における犬祖説話 / アイヌ文化成立と犬祖説話 / むすび
初出一覧 / 主要著作目録 / 書後に