目次
序 章 選別的移民政策の時代
第Ⅰ部 古典的移民国の新たな選別戦略
第1章 アメリカ合衆国Ⅰ
高度技能移民政策の起源と変貌 —— H-1B ビザの神話を超えて
はじめに
1 人種主義的選別から 「普遍主義的」 選別へ
2 「高度技能ビザ (H-1B)」 の歴史的構築とその機能
3 グローバル IT 産業と越境的労働利用システムの構造化
4 高度技能移民をめぐる政策論争と改革の焦点
5 国内に頭脳を求めて —— 非正規移民第2世代からの選別
おわりに
第2章 アメリカ合衆国Ⅱ
非正規移民1150万人の排除と包摂 —— 強制送還レジームと DACA プログラム
はじめに
1 米国移民政策の歴史的背景
2 強制送還レジームの構築
3 特定移民層に対する暫定的な権利付与プログラム
4 国境を超える強制送還レジーム
おわりに
第3章 オーストラリア
「線」 の管理から 「面」 の管理へ —— 技能移民受入・庇護希望者抑留と空間性
はじめに —— 出入国管理における空間性の活用
1 オーストラリアの移住者受入政策
2 技能移民受入における選別性の強化と空間的配置の最適化
3 「コミュニティ・ベース」 の庇護希望者抑留
おわりに —— グローバリズムと出入国管理政策
第Ⅱ部 EU 諸国の受入政策の転換
第4章 EU
「国境のないヨーロッパ」 という幻想 —— EU 共通移民政策の展開
はじめに
1 シェンゲン・エリアの誕生と基本的制度枠組み
2 ブルーカード指令による高度技能移民の受入
3 EU 域外国境管理政策とフロンテクスの活動
4 近年の大規模な難民の到来と EU の対応
おわりに —— 国境のないヨーロッパという幻想
第5章 イギリス
ポイント・システム導入と民営化の進展 —— 敵対的選別化への道
はじめに
1 ポイント・システムの展開
2 入国管理制度の評価
3 敵対的選別化のための入国管理制度との交差・連関の中で
おわりに
第6章 フランス
共和国的統合コンセンサスへの挑戦とその帰結
—— サルコジ政権下の 「選択的移民」 政策
はじめに —— 戦後フランスの移民政策と 「選択的移民」
1 「選択的移民」 と 「統合コンセンサス」 への挑戦
2 高度技能移民と 「労働力不足職種」 リスト
3 移民の地位の不安定化 —— 家族移民、庇護申請者、非正規滞在者
おわりに —— 静かなパラダイム・シフトと移民政策の民主的統御
第7章 ドイツⅠ
移民政策のパラダイム・シフト —— 国民福祉国家から国民競争国家へ
はじめに —— 移民制御法施行からの10年
1 欧州諸国の選別的移民政策の出発点と要因
2 高度・技能人材獲得へ —— 2004年法以後の移民政策改革
3 労働市場保護から市場のプロモーターへの変貌 —— 人材獲得戦略
おわりに —— 「移民国家」 への道を歩むドイツ?
第8章 ドイツⅡ
難民受入をめぐる移民政策の変容 —— 排除と包摂のはざまで
はじめに
1 エスニック・ネーションからシビック・ネーションへ
2 エスニック・ネーションにおける難民の包摂と排除の論理
3 市民的統合における難民の包摂的な排除
おわりに
第9章 スペイン
新興移民受入国のダイナミズム —— なぜ2000年代を代表する移民国家となったのか
はじめに
1 スペインの経済発展と人間の移動の概観
2 スペインの政治体制変動と移民政策の形成
3 「複合レジーム」 としての移民規制・受入体制とその選別性
4 国境管理の実態 —— カナリア諸島と地中海域
5 社会統合政策の形成・実践・変容
おわりに
第Ⅲ部 後発受入国の戦略形成
第10章 韓国
政府主導の 「制限的開放」 移民政策の形成 —— 人権と競争力の交差
はじめに
1 移民政策の創設期 —— 冷戦終焉、民主化、新自由主義
2 民主化レジームと移民政策の転換
3 外国人労働者需給システムの運営主体の変更
4 「人材誘致」 重視の移民政策
5 短期就労者と定住者の選別
おわりに —— 「分離」 とインセンティブ
第11章 日本Ⅰ
高度外国人材受入政策の限界と可能性 —— 日本型雇用システムと企業の役割期待
はじめに
1 高度外国人材受入政策における日本の位置づけ
2 高度外国人材受入政策の展開 —— IT 技術者と留学生
3 高度外国人材優遇のためのポインド制度
4 企業の高度外国人材受入
5 日本企業の高度外国人材への役割期待
おわりに —— 残された課題
第12章 日本Ⅱ
外国人選別政策の展開 —— 進行する選別的排除
はじめに
1 形式的排除の時代の非正規滞在者
2 移民/外国人選別時代の非正規滞在者
3 管理強化と排除の拡大
おわりに —— 「移民政策ではない」 外国人政策
終 章 選別的移民政策の国際比較
はじめに
1 高度技能移民政策の多様性
2 選別的包摂と排除の重層構造
おわりに