目次
『犯人引渡と庇護権の展開(芹田健太郎著作集第4巻)』
芹田健太郎(神戸大学名誉教授) 著
【目 次】
著作集 はしがき
第一章 犯罪人引渡制度の成立とその理念
序 引渡犯罪と「逃亡」犯罪人
一 成立の時期
二 理念――犯罪鎮圧の国際協力
三 罪刑法定主義の確保――双方可罰原則・特定性原則
四 引渡と死刑――現代的問題
第二章 政治犯罪人不引渡原則の確立――歴史的・実証的検討
序
一 一九世紀における問題状況
(1) 不引渡原則を生み出すヨーロッパの政治的・社会的環境
(2) 不引渡の事例と不引渡条項の動向――一八三三年の潮流の変化
(3) 問題の整理と第二次世界大戦前の状況
二 社会主義諸国誕生とアジア・アフリカ諸国独立のインパクト
――現代国際法における諸国の条約上の慣行
(1) 問題の意味と西欧諸国の新傾向
(2) 社会主義諸国の司法共助
(3) アジア・アフリカ諸国の考えと慣行
三 不引渡原則の法的意義
(1) 前提的考察――慣習国際法成立の要件
(2) 不引渡原則は慣習国際法か
結
第三章 政治犯罪と擬装引渡――政治犯罪人不引渡原則適用の問題
はじめに
一 政治犯罪――不引渡原則適用の実質的要件の問題
(1) 政治犯罪概念の不確定性――いわゆる加害条項の問題性
(2) 各国判例の検討
(3) 政治犯罪の定義
二 擬装引渡――不引渡原則の形式的要件の問題
(1) 相手国の要望、引渡請求の意思はどのようにして推定されるか
(2) なぜ擬装引渡が問題とされなければならないのか
おわりに
第四章 国連の領域内庇護宣言について
序
一 沿 革
(1) 前史(一九四七―一九五四)
――国際人権規約草案への庇護権規定挿入をめぐる攻防
(2) 人権委員会(一九五六―一九六〇)による宣言案の作成
――終始フランスのイニシアチブ
(3) 第三委員会(一九六二)と第六委員会(一九六五―一九六七)による宣言案の審議
二 若干の問題点
(1) 庇護権とは何か
(2) 庇護を受けるのは誰か
(3) 庇護付与理由の認定は誰がするのか
(4) いわゆるノン・ルフールマンの原則
三 評 価
(1) 人権保護の観点からの評価
(2) 法的性質をめぐる評価
結
第五章 国連の領域内庇護条約案
はじめに――政治亡命の国際法
一 領域内庇護の意味
二 カーネギー平和財団の領域内庇護条約案(一九七二)
(1) ベラジオ・ジュネーブ両研究集会と条約案
(2) 同条約案の簡単なコメント
(3) 各国の反応
三 国連の専門家グループによる逐条審議(一九七五)
四 条約案の構造と庇護法の体系
(1) 庇護権の構造
(2) ノン・ルフールマンの原則
(3) 政治犯不引渡の原則
おわりに
補遺 領域内庇護条約採択全権会議(一九七七)の成果
第六章 庇護権の構造と庇護法の体系
一 庇護権の構造
(1) 庇 護
(2) 庇護権の構造
二 庇護法の体系
(1) 概 説
(2) ノン・ルフールマンの原則
(3) 政治犯不引渡の原則
第七章 日本の判例
序
(1) はじめに
(2) 退去強制と偽装引渡
(3) 犯罪人引渡の手続
(4) ハイジャックと政治犯罪
(5) 特定性の原則等
1 尹秀吉事件
一 事 実
二 判決要旨
三 問 題 点
2 張振海事件――中国民航機ハイジャック犯引渡事件
一 事 実
二 判決要旨
三 評 釈
第八章 日本における研究状況
1 本間浩著『政治亡命の法理』
2 島田征夫著『庇護権の研究』
第九章 難民の一時的保護――国際法協会における議論と問題点
はじめに
一 難民手続委員会の議論
二 九六年難民手続暫定報告
三 九八年一時的保護暫定報告
おわりに
あとがき