目次
『難民問題と国際法制度の動態』
川村真理(杏林大学総合政策学部教授) 著
【目 次】
はしがき(v)
◆序 章 難民問題と国際法制度の重層性◇
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 国際法制度の重層性
◇第1部 非拘束的文書による保護活動の統合・調整◇
◆第1章 国連人道問題調整事務所の機能と組織化―統合・調整機能とその正当性―
Ⅰ はじめに
Ⅱ 権限と組織構造
1. 歴史的展開
2. 権 限
3. 組織構造
Ⅲ 機 能
1. 情報管理
2. 資金調達
3. フォーラム機能
4. 規範生成
5. 規範遵守の確保
6. オペレーション統合・調整
(1) クラスター
(2) 緊急援助調整活動
(3) 課 題
Ⅳ 統合・調整の正当性とアカウンタビリティー
1. アカウンタビリティーの概念
2. 事務局のアカウンタビリティーシステム
(1) アカウンタビリティー構造
(2) 加盟国との規約:戦略枠組みおよび予算
(3) 成果および業績
(4) 内部システムと管理
(5) 監査機能
(6) 倫理基準と統合
(7) OCHAの機能と位置づけ
3. 多様な主体間関係の規律
(1) 国際機関間関係の規律
(2) 国との関係の規律
(3) NGOとの関係の規律
(4) 私人との関係の規律
Ⅴ おわりに
◆第2章 国連難民高等弁務官事務所の国際的保護機能の変容
Ⅰ はじめに
Ⅱ UNHCRの権限
1. UNHCR規程
2. 難民保護に関する条約との関係
3. 総会決議により付与される権限
4. 国連システムにおけるUNHCRの位置づけ
5. 執行委員会の役割
6. 小 括
Ⅲ 難民法の発展とUNHCRの役割
1. 庇護権
2. ノン・ルフールマン原則
(1) 慣習法としてのノン・ルフールマン原則
(2) 追放又は送還
(3) 対象者
3. 小 括
Ⅳ 人権法の発展とUNHCRの役割
1. 難民法と人権法の補完性
2. 人権条約実施制度とUNHCRの役割
Ⅴ おわりに
◆第3章 災害サイクルに関連する国際法規範の新展開
Ⅰ はじめに
Ⅱ 世界の災害の現状
Ⅲ 災害対応に関する国際法規範の特徴
1. 防 災
2. 災害時の緊急対応
3. 復 興
Ⅳ 2015年の新たな取組み―防災・開発・気候変動を中心に―
1. 仙台防災枠組2015―2030
2. 持続可能な開発目標(SDGs)
3. パリ協定
4. 小 括
Ⅴ おわりに
◇第2部 人権法の解釈適用による保護範囲の拡張◇
◆第4章 拷問等禁止条約第3条における送還禁止基準
Ⅰ はじめに
Ⅱ 拷問等禁止条約第3条と難民条約
1. 保護機能の相異
2. 追放及び送還禁止の範囲の相異
3. 拷問等禁止条約の解釈にUNHCRが与える影響
4. UNHCRによる人権基準の考慮
Ⅲ 個人通報事例における第3条の解釈
1. 公務員又はその他の公的資格で行動する者による侵害
2. 送還禁止対象国
3. 安全確保
4. 予見可能性
5. 危険の現存性
6. 個人に対する危険
7. 蓋然性
Ⅳ おわりに
◆第5章 アメリカの「対テロ戦争」と拷問禁止規範
Ⅰ はじめに
Ⅱ 拷問禁止の法的性格
Ⅲ 「対テロ戦争」と拷問禁止委員会アメリカ報告審査
1. 戦闘時の条約適用
2. 管轄権の範囲
3. 不正規移送
4. 外交的保証
5. 被拘禁者の申立権
Ⅳ おわりに
◆第6章 外国における人権侵害とノン・ルフールマン原則―難民法・人権法の適用範囲と実効性―
Ⅰ はじめに
Ⅱ ノン・ルフールマン原則と外国における人権侵害からの保護
1. 難民条約第33条の適用範囲と保護機能
2. 拷問等禁止条約第3条の適用範囲と拷問防止機能
3. 自由権規約第6条・第7条の適用範囲と人権侵害防止機能
Ⅲ ノン・ルフールマン原則の実効性と課題
1. 難民法・人権法の相互作用と解釈適用の変容
2. 履行確保の課題―実効性との関連で―
(1) 解釈適用に関する国家間の実行のギャップ
(2) 間接的ルフールマンの禁止および安全な第三国
(3) 大量流入
(4) 域外適用
Ⅳ おわりに
〈判例紹介〉退去強制における送還先の違法―退去強制令書発付処分取消請求控訴事件―
(大阪高裁平成27年11月27日判決)
1. 事実の概要
2. 判 旨
3. 解 説
(1) 退去強制とノン・ルフールマン原則
(2) 入管法53条2項の「送還することができないとき」の解釈とB規約
(3) 蓋然性の評価
◆第7章 出入国管理における家族統合と子どもの最善の利益―庇護申請に関連する事案を中心に―
Ⅰ はじめに
Ⅱ 難民条約における家族統合と子ども
Ⅲ 自由権規約第17条の解釈基準
Ⅳ 子どもの権利条約第3条の解釈基準
Ⅴ 欧州人権条約第8条の解釈基準
Ⅵ おわりに
〈判例紹介〉付き添いのない未成年者の収容・退去強制と家族再結合―マィエカ対ベルギー事件―
(ヨーロッパ人権裁判所2006年10月12日判決)
1. 事 実
2. 判決要旨
3. 解 説
(1) 第3条の非人道的取扱いおよび苛酷さの基準
(2) 第8条下の正当な目的との比例性判断と子どもの権利条約
◇第3部 欧州および日本における近年の動向◇
◆第8章 難民・移民の大規模移動とEU法制の課題
Ⅰ はじめに
Ⅱ EUの出入国管理政策の変遷
Ⅲ 高い人権基準と安全な第三国―EU域内外のギャップ―
Ⅳ シェンゲン・ダブリン体制と連帯・負担分担の揺らぎ―EU域内のギャップ―
Ⅴ おわりに―統合と分断のはざまで―
◆第9章 日本の難民認定制度における保護対象と判断要素
Ⅰ はじめに
Ⅱ 難民認定制度の運用の見直し
Ⅲ 保護対象および認定の判断要素
1. 難民該当性判断および人道配慮による在留許可の判断プロセス
2. 保護対象および認定判断要素
(1) 難民認定
(2) 難民不認定
(3) 人道配慮による在留許可
Ⅳ おわりに
◆終 章 国連が志向する難民・移民の国際法制度
Ⅰ はじめに
Ⅱ ニューヨーク宣言およびグローバルコンパクト
1. ニューヨーク宣言
2. 難民グローバルコンパクト
3. 移住グローバルコンパクト
Ⅲ 国連が志向する難民・移民の国際法制度
1. 難民・移民に関するグローバルガバナンス
2. 包括的アプローチ
3. 課 題
Ⅳ おわりに
・初出・原題一覧
・事項索引
・判例索引