目次
『ブリッジブック刑法の考え方〔第3版〕』
高橋則夫(早稲田大学法学部教授) 編
【執筆者紹介】五十音順 *は編者
川崎友巳(かわさき・ともみ):同志社大学法学部教授
第5講義,第9講義,第15講義,第19講義
*高橋則夫(たかはし・のりお):早稲田大学法学部教授
第1講義,第2講義,第20講義
中空壽雅(なかぞら・としまさ):明治大学法学部教授
第3講義,第7講義,第13講義,第16講義
橋本正博(はしもと・まさひろ):一橋大学大学院法学研究科教授
第4講義,第11講義,第12講義,第18講義
安田拓人(やすだ・たくと):京都大学大学院法学研究科教授
第6講義,第8講義,第10講義,第14講義,第17講義
【目 次】
・第3版はしがき
◇第1部 刑法の基本理念◇
◆第1講義 ルール・ネットワークの中の刑法―さまざまなルールと刑法との関係
1 刑法の守備範囲はどこだろう―道徳と刑法
2 人々の声と刑法というルール―世論と刑法
3 刑法が生み出す世界とその限界
◆第2講義 刑罰を科すことの根拠を考える―犯罪・刑罰と学派の争い
1 何が刑罰を科すことを根拠づけるのか―刑罰の正当化根拠
2 尽きることのない「刑罰観」論争―学派の争いって一体
◆第3講義 日本の刑法はどこからきたのか―刑法典の由来
1 日本の刑法はヨーロッパの刑法を模範とした―刑法典の沿革とその特質
2 現行刑法には当時の新思潮が盛り込まれた―刑法典の改正とその背景にあるもの
3 刑法典,そして刑法―刑法典,周りを固める特別刑法
◆第4講義 刑法だけでは処罰できない―刑事実体法と刑事手続法
1 刑法は刑事手続を通して実現される―刑法と刑事訴訟法との関係
2 有罪でも刑務所に入らないことがある―刑法と刑事政策との関係
3 国家による責任追及と私人による責任追及―刑法と民法との関係
◆第5講義 刑法の中の民主主義・自由主義―罪刑法定主義の意義
1 刑法は自由の敵 ? 自由の味方 ?
2 慣習は「罪」と「罰」の根拠にならない
3 「罪」と「罰」の不意打ちは許されない
4 罪刑法定主義は進化する
5 罪刑法定主義は,今
◇第2部 刑法総論の考え方◇
◆第6講義 「刑罰」確定までには多くのハードルがある―刑法総論の意味
1 犯罪の“カタログ”には尽きない刑法学
2 十人十色の犯罪論体系―一様ではない犯罪
3 何のための犯罪論か―自由の保障と犯罪論
◆第7講義 まずは「型」よりはじめよ―構成要件該当性
1 犯罪成立の第1審査―構成要件該当性
2 構成要件該当性の大きな柱―結果と行為・行為者を結ぶ線としての因果関係
3 構成要件に該当する行為の1つの形―不作為犯
◆第8講義 “わざと”と“うっかり”―故意・過失
1 “わざと”―故意
2 “うっかり”―過失
3 犯罪のポマト
4 そんなはずでは……
◆第9講義 人を殺しても,「正しい」場合がある―違法性阻却事由
1 刑法的に「悪い」こと
2 正しい加害者と悪い被害者 ?
3 正しい加害者と正しい被害者 ?
4 「正しい」行為の総合カタログ
◆第10講義 ある特定の人を本当に非難できるか―有責性
1 悪いことをした人を非難するには ?
2 「法律を知らなかった」という言い訳は通用するか―違法性の錯誤
3 刑法は子どもを非難しない―責任能力
◆第11講義 未完成犯罪―未遂
1 犯罪行為はどのようなプロセスをたどるか―未遂犯
2 呪い殺すつもりで丑の刻参りをすれば殺人未遂になる?―不能犯
3 犯罪から後戻りする黄金の橋―中止犯
◆第12講義 犯罪にかかわった複数の人をどう扱うか―共犯
1 共同して犯罪事実を実現する―共同正犯
2 正犯の実行に関わる者たち―教唆犯と幇助犯
3 間接正犯
4 わいろを渡す人・受け取る人―共犯にかかわる諸問題
◆第13講義 刑罰の種類は限定されている―刑罰の種類
1 犯罪同様に刑罰も限定されている
2 さまざまな刑罰の実相
◆第14講義 犯罪の「算数」の仕方―罪数と量刑
1 1つの罪
2 複数の罪―1.5倍にアップ
3 刑法に定められている刑と裁判官による実際の量刑
◆第15講義 刑法の効果が及ぶ5W1H―刑法の適用範囲
1 いつでも,どこでも,誰にでも……とはいかない―刑法の適用範囲
2 刑法の効果が及ぶ“when”
3 刑法の効果が及ぶ“where”
4 刑法の効果が及ぶ“who”
◇第3部 犯罪のカタログ◇
◆第16講義 今日本で犯罪とされていること―刑法各論の意味
1 今日本で何が犯罪とされているのか
2 犯罪カタログに実際にリストアップされているものは ?
◆第17講義 何を犯罪とすべきなのだろう―犯罪カタログの相対性
1 社会により「犯罪」は異なる
2 時代によっても「犯罪」は異なる
3 では日本はどう対処してきたのだろう―日本の犯罪カタログの特質
◆第18講義 揺れる倫理と刑法―現代の犯罪と刑罰(その1)
1 生命倫理と刑法
2 職業倫理と刑法
3 公務員と犯罪
◆第19講義 経済活動の落とし穴―現代の犯罪と刑罰(その2)
1 企業の犯罪と企業の処罰
2 入札談合は,なぜ悪い?
3 マネーゲームの後始末
4 経済犯罪と戦うために
◇第4部 刑法の解釈◇
◆第20講義 刑法の解釈って何だろう?―本書のまとめと次へのステップ
1 刑法解釈は何のために行うのか
2 「価値」との格闘が避けられない刑法解釈
3 誰のために解釈するのか
4 みんなが納得する解釈はあるのか
5 刑法は人間をどう見ているのだろうか
6 刑法の「考え方」から一歩先へ
・次のステップのための文献
・事項索引