紹介
◆ドラマ教育先進国イギリス発・実践的ガイドブック
イギリスはドラマ教育の歴史が古く、5歳からドラマを授業で活用することが義務付けられ、中学・高校には、常駐のドラマ専任教師とドラマ専用スタジオが設置されているところも多く見られるほどです。「ドラマ教育」とは、学校で、ドラマによって生徒が能動的、活動的に学習する、アクティブラーニングの一つです。日本でも近年盛んになりつつありますが、さっそく授業に取り入れてみようと思っても、まだ日本では新しい方法なので、実践をためらったり模索しながら進めている先生方も多いことでしょう。本書は、経験に裏打ちされた、ドラマ教育のアイデアと方法の実践的なガイドブックです。
目次
ドラマ教育ガイドブック 目次
はじめに
アクティブラーニングとしてのドラマ
準備運動
熱中できて多様である
脳にやさしい
挑戦的
生徒中心
協働的
やりがいがある
オリの中の獣を解放する
ドラマテクニックのワードローブ
ドラマゲーム
なにを・なぜ・いつ?
それでメリットはなに?
座席で
教室の前で
輪になって
広く開けたスペースで
学級経営
ナラティブ
アイデアをナビゲートする
ナラティブってなに?
テクニック1:ストーリーボード
テクニック2:マイム
テクニック3:実況
テクニック4:視点
テクニック5:原因と結果
それでメリットはなに?
文学――いろいろなアイデア
音楽、芸術、デザイン――いろいろなアイデア
科学――いろいろなアイデア
外国語――いろいろなアイデア
体育、スポーツ――いろいろなアイデア
社会科学――いろいろなアイデア
人文学――いろいろなアイデア
キャラクター
キャラクターを探求する
つかい方とメリット
テクニック1:人型分析
テクニック2:ゴシップの輪
テクニック3:分身
テクニック4:ステイタス
テクニック5:ホットシーティング
テクニック6:思考の追跡
テクニック7:SWOTエクササイズ
テクニック8:入口と出口
文学――いろいろなアイデア
音楽、芸術、デザイン――いろいろなアイデア
科学――いろいろなアイデア
外国語――いろいろなアイデア
体育、スポーツ――いろいろなアイデア
社会科学――いろいろなアイデア
人文学――いろいろなアイデア
様式化
様式化ってなに?
テクニック1:静止画、タブロー
テクニック2:マイム
テクニック3:サウンドトラック
テクニック4:スローモーション
テクニック5:身体化
それでメリットはなに?
文学――いろいろなアイデア
音楽、芸術、デザイン――いろいろなアイデア
科学――いろいろなアイデア
社会科学――いろいろなアイデア
人文学――いろいろなアイデア
アナロジー
アナロジーってなに?
アナロジー1:新しい観客
アナロジー2:テレビドキュメンタリー
アナロジー3:比喩
アナロジー4:式典
アナロジー5:儀式
アナロジー6:広告
アナロジー7:クイズショー
アナロジー8:人間ギャラリー
学級経営
それでメリットはなに?
いつ、つかうべき?
ジレンマと選択肢
これはなに?
テクニック1:スペクトラム
テクニック2:ドアステップ
テクニック3:選択の小路
テクニック4:フォーラムシアター
学級経営
それでメリットはなに?
いつ、つかうべき?
文学――いろいろなアイデア
音楽、芸術、デザイン――いろいろなアイデア
科学、数学――いろいろなアイデア
外国語――いろいろなアイデア
体育、スポーツ――いろいろなアイデア
社会科学――いろいろなアイデア
人文学――いろいろなアイデア
ティーチャー・イン・ロールと小道具の活用
これはなに?
それでメリットはなに?
学級経営
文学――いろいろなアイデア
音楽、芸術、デザイン――いろいろなアイデア
科学、数学――いろいろなアイデア
外国語――いろいろなアイデア
体育、スポーツ――いろいろなアイデア
社会科学――いろいろなアイデア
人文学――いろいろなアイデア
ごあいさつ
訳者あとがき
装幀=新曜社デザイン室
前書きなど
ドラマ教育ガイドブック はじめに
現在の学校に着任した初日、私はスタッフミーティングで、「新しいドラマ教師」として紹介されました。すると、それを聞いた教師陣から盛大に拍手喝采が起こってなかなか鳴り止まず、「助かった!」「神様ありがとう!」という歓声が上がったのです。私は、孤立無援の幌馬車隊を救いに丘の上に現れた、アメリカの騎兵隊になったような気持ちになりました。今すぐ、雇用条件を再交渉すべきじゃないかと思ったほどです。
この熱烈な歓迎の理由は、私が到着したことで、もう彼らがドラマ授業の代行をしなくてもよくなるからでした。精力的で創造的なドラマ科の主任教師が病気で欠勤していた間、物理、フランス語、技術、宗教の教師たちが、ドラマ授業を持ち回りで代行していました。これが、一部の教師にとっては、あまりにも負担だったのです。つまり、こんなふうに。
「おしまいには、いつもけんかになってしまう」
「騒がしくて、自分の話を聞かせることができない」
「目が届くように、生徒を席に座らせておきたい」
教師によっては、ドラマは、こんな影響をもたらします。
ではなぜ私は、こうした教師たちも、はじめに感じる不安を克服するにとどまらず、ドラマが実際に学びの質を高める可能性をすすんで探求すべきだ、と提案するのでしょうか?
第一に、それは私が教師として、次のことを信じているからです。
学びの質は、教え方よりもずっと重要です(互いに影響しあいはしますが)。
生徒は、懸命に努力して学びにいたります。教師としての私たちは、彼らと共に学びを高める、コラボレーターです。
学びの方向は、できるかぎり、生徒の手に委ねられるべきです。
学習計画と試験シラバスは学びの目的地を示しますが、私たちが旅する道筋は柔軟であってよいはずです。
ドラマは学びを刺激し、協働で行う努力を促進し、すくなくとも次の数キロメートルを進むための地図となるような、一連のテクニックを提供します。
あなたは小学校で教えているかもしれませんし、中学校や高校で教えているかもしれません。そしてこの本を、確信をもって手にしたかもしれませんし、ためらいながら手にしたかもしれません。あるいは、熱意にあふれているかもしれないし、不安に感じているかもしれません。いずれであっても、このガイドブックはこんなことを提供します。
生徒がどのように学ぶかに関する現時点での理解を、ドラマテクニックがどう扱うかについて示します。
ドラマテクニックを大きく7つに分けて、それぞれが高める学びの側面を説明します。
教科横断的な総合学習、あるいは単一教科のどちらにおいても役立てることができる、ドラマテクニックを用いた150以上の創造的なアイデアを示します。
明確で実践的なアドバイスにより、学級経営の問題にとりくみます。
さあ、舞台に上がる準備はできましたか?
初心者の皆さんも、どうぞ!