目次
まえがき 阪本俊生
第1部 デュルケムの視点からみる日本の自殺
序 章 東日本大震災後の日本の自殺をめぐって 大村英昭
第1章 日本における自殺の概観 大村英昭
1 ライフリンクの『自殺実態白書』について
2 プッシュ要因からプル要因へ――剥奪的動機による自殺観でみえてこないもの
3 数ではなく率としてみる――幸福をみるより、不幸の減算をみる
4 死にがいを求める心性の理解の必要性
5 殺人と自殺――不幸度の指標
第2章 デュルケムの『自殺論』の概説 大村英昭
1 理論的見取り図
2 アノミーの見方――性的アノミーの重要性
3 自己本位と愛他主義――クールな自殺と他人思いの自殺
4 不安のアノミー――自己本位とアノミーの複合タイプ
5 不満のアノミー/不安のアノミー――マートンとデュルケム
6 宿命主義と愛他主義の複合タイプの自殺――少年のいじめられ自殺
第3章 『自殺論』と現代の自殺――現代の自殺にどう生かせるか 阪本俊生
1 媒介的要因としての社会
2 媒介要因としての社会とはどのようなものか
3 「声なき声」と社会――自殺の恒定性と可変性
4 不満のアノミーと不安のアノミー
第4章 社会変化と自殺率――19世紀と20世紀 阪本俊生
1 19世紀と20世紀
2 栄光の30年の背景にある創造的個人主義という媒介要因
3 創造的個人主義?――社会との関係へ
第5章 国際比較からみる現代の日本の自殺 阪本俊生
1 日本と欧米の自殺率の推移の違い――1980年以降
2 社会リスクとセーフティーネットの違い
第2部 面子(フェイス)ロスの視点からみる日本の自殺――表層からの自殺論
第6章 役割期待と自殺 大村英昭
1 寝たきり老人の演技
2 役割と役柄の区別――中身よりも外見を考えるほうが、はるかに重要である
3 役割と役柄、あるいは中身と外見のダブル・バインド
4 男の面子ロスの自殺と鎮めの文化の必要性
第7章 若年層における雇用不安定化と自殺 平野孝典
1 非正規雇用・無業と自殺
2 自殺率上昇の寄与度分解
3 結婚は無職者を救うか
第8章 スティグマと自殺 阪本俊生
1 自殺と表層――社会学的見方からのスティグマと自殺
2 フェイスについて
第9章 岡檀『生き心地の良い町』にみるフェイスと自殺 阪本俊生
1 フェイス論からみる自殺率が低い町
2 自殺率の低さとフェイス――フェイスの観点からみた海部町の自殺率の低さ
第10章 フェイスと自殺の諸相 阪本俊生
1 自殺危険因子とフェイス
2 失業とフェイス
3 貧困とフェイス
4 健康状態の悪化、うつ病
5 過労
6 戦争や政変、そして大災害時の自殺率低下について
7 フェイスと自殺についての全体イメージ――社会からの視点のまとめ
第11章 自殺とフェイスについて――社会変化と社会学の視点 阪本俊生
1 フェイスと自殺の理論
2 フェイスとアイデンティティ
3 フェイスと社会関係
4 フェイスと自殺率