目次
序章 「意志」のゆくえ 貞包英之
1 自殺と「意志」の関わり
2 自殺の「意味」
3 自殺の理論の検討
第1章 自殺を意志する――二十世紀初頭における厭世自殺 貞包英之
1 厭世自殺という謎
2 自殺を診断する
3 自殺を隠す
4 厭世自殺を装う
5 厭世自殺の衰退?
第2章 自殺を贈与する――高度成長期以後の生命保険に関わる自殺 貞包英之
1 自殺の「貨幣化(ルビ:マネタイズ)」
2 生命保険の変質と浸透
3 贈与としての死
4 エコノミーの変容
第3章 自殺を補償する――二十一世紀転換期の過労自殺訴訟 元森絵里子
1 過労自殺という社会問題
2 自殺の「意志」の現代的転換――精神障害と法的免責、社会問題化
3 過労自殺の社会問題化――「過労死」から「過労自殺」へ
4 過労自殺の法理論――過重労働→精神障害→自殺のリンケージ
5 過労自殺の運用――曖昧化される社会問題化と精神医療化
6 「意志」をめぐる布置の変化
第4章 自殺を予見する――現代のいじめ自殺訴訟と子ども・教育 元森絵里子
1 いじめ自殺というスキャンダル
2 いじめ自殺裁判の立論とその困難――損害賠償請求裁判というアリーナ
3 自殺と学校の責任のミッシングリンク――予見可能性の壁をめぐる初期の攻防
4 予見可能性の判断――判断基準のゆるみと維持
5 下がる予見可能性の壁、揺るがぬ法規
6 子どもの意志、教育の責任
第5章 自殺に対応する――さまざまな現場、無意識の協働 野上 元
1 自殺の対応――「現場」に注目すること
2 自殺に対処する――何が起こったのか
3 自殺を判定する――これは自殺か
4 自殺を報知する――誰に何をどのように知らせるべきか
5 自殺対策を推進する――誰が誰を救うのか
6 自殺対応の社会学のために
あとがき 元森絵里子