目次
第I部 白人/男性社会への異議申し立て――人種・ジェンダー・国家
■異人種間結婚にみる社会改革への試み(黛 道子)
――リディア・マリア・チャイルド『ホボモック』
1 新時代の到来/2 女性が書いたアメリカの物語/3 人種間の融和をめざして/4 魔女となったメアリー/5 理想の虹をかけ続けた人生
■女性が書き換えるアメリカ史(中澤 ななえ)
――キャサリン・マリア・セジウィック『ホープ・レズリー』
1 ナショナリズムと国民文学/2 インディアン女性による歴史修正/3 アメリカン・ヒロイン/4 女性同士のきずなとヒーローの不在/5 セジウィックの人種意識
■女性旅行記にみる意識改革の軌跡(伊藤 淑子)
――マーガレット・フラー『湖の夏、一八四三年』
1 フラーのラディカリズム/2 自意識の鏡としての先住民/3 フロンティアに生きる女性たち/4 二重の閉塞性/5 社会改革をめざして
■ニューイングランドの女性改革者たち(野口 啓子)
――ハリエット・ビーチャー・ストー『牧師の求婚』
1 歴史小説への挑戦/2 父権システムの検証/3 アメリカン・ガールの改造/4 女性の芸術――民主的な共同社会の建設へむけて/5 『牧師の求婚』と女性の文学
■北部の自由黒人があばく白い家(ホワイトハウス)(梅垣 代枝野)
――ハリエット・ウィルソン『うちの黒んぼ』
1 花開くニューイングランドと自由黒人/2 二階建ての白い(ホワイト)家(ハウス)/3 母と子/4 ウィルソンと仕事/5 反骨精神から原点へ
■黒人伝道師の社会改革(宮津 多美子)
――ソジャナー・トルース『ソジャナー・トルースの物語』
1 文盲の伝道師の自伝/2 改革者トルースの誕生/3 真実を語るエンターテナー/4 女性参政権運動における人種とジェンダー/5 晩年の改革とトルース伝説
■人種を越境する女性改革者(種子田 香)
――フランシス・エレン・ワトキンズ・ハーパー『アイオーラ・ルロイ』
1 法のもとの不平等/2 蹂躙される奴隷の母性/3 黒人女性と白人女性との溝/4 再構築された黒人女性の主体性/5 黒人女性の団結
第Ⅱ部 女性の自立とネットワーク化――結婚・職業・連帯
■コラムニストの社会改革(前田 陽子)
――ファニー・ファーン『ルース・ホール』とコラム集
1 女性初の新聞コラムニスト/2 結婚制度の落とし穴と女性蔑視/3 権力者の偽善と傲慢/4 経済的自立の勧めとファーンの仮面/5 女性観の変革をめざして
■家庭小説と性の問題(藤野 早苗)
――エリザベス・ストッダード『モーガソン家の人びと』
1 家庭の領域での自己啓発/2 ピューリタニズムへの反発/3 成長のバネになる性的欲望の自覚/4 顔の傷が意味するもの/5 自己犠牲ではなく自己主張
■結婚小説にひそむ介護問題(須藤 彩子)
――メアリー・フリーマン「ニューイングランドの尼僧」ほか
1 結婚小説/2 結婚と介護/3 ルイーザたち/4 貧しい老人の介護/5 よりよい介護をめざして
■子どもたちに託す社会改革(藤川 典子)
――ケイト・ショパン『ユース・コンパニオン』の物語
1 地方色文学と南部の子ども/2 ショパンの南部滞在と『ユース・コンパニオン』/3 『ユース・コンパニオン』に描かれる子どもたち/4 『めざめ』にみる自己を改革する女性/5 『めざめ』出版後の『ユース・コンパニオン』作品
■女性改革者たちの社会福祉ネットワーク(山口 ヨシ子)
――ジェイン・アダムズ『ハルハウスの二十年』
1 カレッジ・ウーマンの就職活動/2 多民族都市シカゴにおける社会福祉事業/3 労働保護法制定への取組み/4 ジェイン・クラブの開設/5 移民たちのオアシスとしてのハルハウス
■ユダヤ移民女性の自己改革と社会改革(板場 純子)
――アンジア・イージアスカ『パンを与える人』
1 ロシア系ユダヤ移民女性の苦闘/2 「パンを与える」娘たち/3 伝統的なジェンダー規範への挑戦/4 「パーソン」になるための闘い/5 伝統への回帰と改革の可能性
■女が作る理想社会(羽澄 直子)
――シャーロット・パーキンズ・ギルマン『ハーランド』『彼女とともに我らの世界へ』
1 新世紀の先駆けを自負/2 経済的自立の重要性/3 彼女の世界を見る我ら 4 我らの世界を見る彼女/5 理想郷の光と影