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地図がないから航海に出ないのは、やっぱり臆病なんだと思うんです。クリエイターの内面にある使命感があれば、僕は大丈夫だと思うんです。
確信なんかないですよ。面白いからやっただけ。自分が遊びたいものを作る、こんなものをやってみたいなってものを作るところは一貫してますね。
必死に『ファイナルファンタジー』を作ったときの達成感を味わいたくなった。それで、もう一度、たった一人でゲームを作ってみようと思って仕事を再開したんです。
自然な愛情を届けるのが、作り手の役割なんです。無条件で自分を受け入れてくれるもののシンボルなんでしょうね、ゲームは。
月が割れるのは心象風景です。『メタルブラック』は『ガンフロンティア』とコントラストをつけたかったから、心の中に潜っていく描写が多いんです。
いきなり企画の人から「ガツンと敵キャラを描いてくれ!」って言われたんですよ。仕様書にも「ガツンと熱い絵」って書いてあって(笑)。
ゲームを作る仕事を選んで本当に良かった。「趣味は何ですか?」って聞かれても、「ゲームですね」って答えるしかなくて。私にはゲームしかないんでしょうねえ。
とにかくチャンピオンチームで仕事がしたかったんです。業界を引っ張っていく最先端にいたい。業界を長続きさせることに貢献したいんです。
漫画家になって改めて思うのは、ゲーム開発者時代、東亜プランやケイブではいろんな強者に会えて良かったな、ということですね。
いまでもときどきゲームを作っている夢を見ますよ。でも一所懸命作ると燃え尽きやすいから、癒えるまで待っているんです。
一番楽しいのは成功目前だよね。プレステが一〇〇万台に達しそうな瞬間だとか。あの岩を一つ越えれば頂上だ、というときは、頂上に着くよりも、きっと嬉しいんだよ。
ゲームって、いまも変わらず暇つぶしのツールじゃないですか。そういうのを変えたいと思っていたんです。その思いは揺るがないですね。
やっぱりゲームは、作ってて面白いんだよ。とりあえず新しいハードが出たら、上手くすれば日本一とか世界で初めてとか、結構できるんだから。
ゲームは大好きなんですけど、ストーリーを面白いとは思わない。世界観を作るときに一番参考になるものは、やっぱり技術ですよね。
自分の中で『ICO』のコンセプトは差別化だったのかな。他にないものを作る。何を選択するにしても、他ではやらないことをやろう、と。
二〇〇〇年のコミケで『月姫』が八〇〇部売れても、自分的には「死ぬしかないのか」って思ったんですよ。死刑台に向かう囚人みたいな気分でした。