紹介
[中原佑介美術批評選集第2巻]
中原佑介こそ日本現代美術のパラダイムだった。しかし芸術のパラダイム革新の可能性(構造)を終生追求しつづけた。中原批評最大のスリルはこの点にある。
—岡﨑乾二郎
若き中原の舌鋒鋭い「日本近代美術史」(明治初期から終戦まで)待望の書籍化と、世界との関係における戦後日本美術の動向についての分析。
本巻は、1950年代後半から60年代後半にかけて書かれた文章のうち、日本の近代美術・戦後美術を西洋美術の受容の観点から考察した論考をまとめる。第1章には、1957年から58年にかけて『美術批評』と『美術手帖』に連載された「日本近代美術史」を収録した。第2章は、日本の戦後美術を、世界の動向との関わりから論じたテキストを選んでまとめた。
目次
第1章 日本近代美術史
はじめに 現実と幻想
不幸な完成
西洋画の手術
衣裳の効果
あたらしい照明
感覚派と古典派
混迷期の美術家
幻想の萌芽
前衛芸術の源流
革命のための美術 1
革命のための美術 2
シュルレアリスムの運動 1
シュルレアリスムの運動 2
戦争記録画の問題から「リアリズム論争」へ
第二章 世界のなかの日本美術
戦後美術の一〇年
日本美術に不要なある「現代の意識」
世界のなかの日本美術
辺境芸術考
美術の国際性と民族性 ポーランドで開かれた国際美術評論家会議に出席して
海外美術の受け取り方をめぐって
日本におけるピカソ像
第八回東京国際美術展を見て
コラージュ風な戦後美術の歩み 一九五六〜六七