紹介
いまや少女まんが評論の古典となった『私の居場所はどこにあるの?―少女まんがが映す心のかたち』から15年。藤本由香里が帰ってきた。本書では、まんが、映画、小説、舞台などを題材にしながら、二〇〇〇年代の日本を照射する。
リストカットの痛みから辛うじて感じる自分の実在、同じように体をモディフィケーションさせることによって確かめる私らしさ、ヒーラーとしかいいようがないセックスワーカーの在り方。美容整形、ドラァグ・クイーン、浮浪者とひきこもり……社会の際や行為の極限から見えてくる、この社会のかたち。
「私の居場所はどこにあるの?」少女たちから放たれた問いが、いまや社会全体を覆う。どうやって自分を世界に繋ぎとめたらいいのか。
目次
はじめに
表面の傷・「痛み」の力│コミックの中の自傷
徴のある顔
他者になりかわりたい
婚外の恋
社長になるか、社長夫人になるか。
風俗という「お仕事」
セックスワーカーはヒーラーである
せまいせまい私の場所
一瞬だけの永遠
あとがき