目次
はじめに
第Ⅰ部 多文化共生について考える
第1章 一人ひとりが異なると同時に同じ私たち――多様性と同一性
1.一人ひとり異なる私たち
2.人間としての私たち
3.多文化の共生に向けて
第2章 激しく変化する現代社会――多文化をめぐる見方・考え方
1.大きく変貌する現代社会
2.多文化と現代社会の課題
3.多文化共生に求められるパースペクティブとは
第3章 人を理解するとは――他者理解と自己理解
1.他者を理解すること
2.自己理解と他者理解――白人性の議論から
3.他者理解を進めるために
第4章 偏見と差別――マジョリティとマイノリティ
1.マジョリティとマイノリティ
2.「青い目茶色い目」の実験授業
3.偏見や差別との対峙
第5章 多様性との出会い――ヒューマンライブラリー
1.自己と他者
2.どのような「本」との出会いをデザインするか
3.ヒューマンライブラリー(HL)の企画と実施
第6章 人であることの権利――多文化社会と人権
1.人権とは
2.世界人権宣言から
3.ジェンダーをめぐって
第7章 日本人性を考える――マジョリティの意識改革
1.日本人性(日本人であること)とは
2.不平等な日本社会の構築
3.異文化間能力を構成するもの
第Ⅱ部 移民時代の生き方を考える
第8章 移民時代の到来――入管法の改正
1.多文化の進む日本社会と外国人の流入
2.人口減少社会と入管法の改正
3.外国人と共に生きていくということ
第9章 在日外国人と共に生きる――青丘社ふれあい館の事例から
1.在日コリアンとは
2.青丘社の誕生と在日コリアンの人権保障の取り組み
3.多文化共生の地域づくりの取り組み
第10章 イスラムを知ろう――信仰をもつ人々
1.イスラム教について知ろう
2.日本を訪れるムスリム
3.日本のなかのムスリム
第11章 外国につながる子どもたちと教育――言語と文化の支援
1.外国につながる子どもの受け入れの概要
2.外国につながる子どもの受け入れ
3.外国につながる子どもたちへの支援
第12章 国際的な人の移動――海を渡った日本人
1.国際的な人の移動とその展開
2.海を渡った日本人
3.ハワイの日系人について学ぼう
第13章 移民政策の国際的動向――直面する社会統合の課題
1.国の物語と国家統合の理念
2.多様性をめぐる歴史的な展開
3.国際比較から得られた知見
第14章 移民時代を生きる想像・創造力――バリアフリーとユニバーサルデザイン
1.多文化共生に向けて
2.多文化共生へのプロセス――バリアフリーとユニバーサルデザイン
3.多文化共生を想像・創造する
おわりに
世界地図
資料 総務省「多文化共生推進プログラム」(2006年)
索引
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書は、2部14章で構成されている。第Ⅰ部「多文化共生について考える」では、多文化についての見方や考え方、共に生きる課題を考察する。1章「一人ひとりが異なると同時に同じ私たち」、2章「激しく変化する現代社会」、3章「人を理解するとは」では、多様性と同一性の問題、多文化をめぐる見方・考え方、他者理解と自己理解についてそれぞれ検討する。4章「偏見と差別」、5章「多様性との出会い」、6章「人であることの権利」、7章「日本人性を考える」では、マジョリティとマイノリティの関係、ヒューマンライブラリーの取り組み、多文化社会と人権の問題、マジョリティの意識改革の課題についてそれぞれ考察する。第Ⅰ部では、これらの議論をもとに、多様性についての理解を深め、マジョリティとマイノリティの力作用を踏まえた上で、多文化共生という課題を追究していく。
第Ⅱ部「移民時代の生き方を考える」では、入管法改正を契機に、多文化化が大きく進むこれからの日本社会でどのように生きていけばよいのかを考察する。8章「移民時代の到来」、9章「在日外国人と共に生きる」、10章「イスラムを知ろう」では、改正入管法のもたらす状況、青丘社ふれあい館の事例、イスラム信仰をもつ人々についてそれぞれ検討する。11章「外国につながる子どもたちと教育」、12章「国際的な人の移動」、13章「移民政策の国際的動向」、14章「移民時代を生きる想像・創造力」では、言語と文化の支援の問題、海を渡った日本人の経験、直面する社会統合の問題、バリアフリーとユニバーサルデザインの課題についてそれぞれ考察する。第Ⅱ部では、国際的な人の移動に焦点をあて、具体的な事例をもとに多文化共生社会をいかに構築していくのかについて追究していく。
本書は、多文化共生、異文化理解、国際理解教育、多文化教育、異文化間教育などに関する授業の教科書として執筆したものである。既刊の『多文化共生のためのテキストブック』は5刷を数え(本書の刊行時点)、たくさんの皆さんに手に取っていただいた。本書は、同テキストブックの続編と呼べるもので、より専門的な内容や知っておきたいテーマを盛り込むと共に、とくに、移民時代の日本という多文化社会のあり方に焦点をあてて執筆したものである。テキストブックと同様にご活用いただければ幸いである。