目次
概観と提言
概念と妥当性
信頼の測定についての方法論的考察
信頼を測る
信頼のデータの公表と分析
今後の研究への期待
第1章 信頼を測る――序論
第1節 はじめに
第2節 信頼を測るガイドライン作成の動機
第3節 信頼を測るためのガイドライン
第4節 結論
第2章 信頼の概念と妥当性
第1節 はじめに
第2節 信頼を測るための概念枠組み
第3節 信頼を測るためのアプローチ
第4節 信頼尺度の統計の質
第5節 結論
第3章 方法論的考察
第1節 はじめに
第2節 測定誤差
第3節 質問の文言
第4節 回答形式
第5節 調査文脈
第6節 調査方式(モード)
第7節 回答の癖と文化的環境
第8節 結論
第4章 信頼を測る
第1節 はじめに
第2節 何を測るか?――信頼測定の計画
第3節 調査設計と標本設計
第4節 質問票の設計
第5節 調査の実施
第6節 結論
第5章 信頼データの公表と分析
第1節 はじめに
第2節 信頼データの報告
第3節 信頼データの解釈
第4節 信頼データの分析
第5節 結論
附録A 信頼尺度の具体例
他者への信頼
制度・組織への信頼
附録B 質問群
質問群の利用について
質問群A 中核的尺度
質問群B 評価についての試験的質問群
質問群C 期待についての試験的質問群
質問群D 経験についての試験的質問群
質問群E 実験
前書きなど
信頼、あるいはその欠如の問題は、2008年の金融危機以後、ニュースとして取り上げられるようになった。実際、公的機関に対する人々の信頼は急速に下落し、未だ金融危機前の水準に回復していない。しかし、人々が互いに協力し連帯を示す社会、そして公的機関がその任務を果たし、全ての市民がそれを利用できる社会だけが、全ての人々の生活の質を向上させることができるのだ。他者への信頼と制度・組織への信頼は社会経済的進歩に不可欠の要素であり、また社会が繁栄してこそ信頼も高まるのである。
本書『信頼を測る:OECDガイドライン(OECD Guidelines on Measuring Trust)』は、OECDの「より良い暮らし指標(Better Life Index)」という、2011年に始まったプロジェクトの一環として出版されたものである。本ガイドラインは、既存の信頼尺度を改善するための第一歩として、信頼データの収集、公表、分析について国際的な提言を行い、各国統計局にそれを利用するよう奨励している。また、信頼尺度がなぜ監視と政策策定に適しているのか、国立統計局は既存の信頼尺度の利用性を拡充する上でなぜ重要な役割を担っているのかといったことも概説している。信頼尺度の統計の質について考察している他、信頼に足る一貫した方法で信頼を測るための最良のアプローチと、データを報告、解釈、分析するためのガイダンスを収録している。各国の統計局、国際機関の統計局が世帯調査に利用できる原型調査モデルもいくつか収録している。