目次
はしがき
序章 途上国における教員政策の分析視角――グローバルとローカルの相互作用[興津妙子]
はじめに
第1節 教員供給
第2節 公正な教員配置
第3節 教員の量的拡大と質的確保のジレンマ
第4節 教師教育に関する課題――教員養成と継続的職能開発
第5節 カリキュラム改革と途上国の教員
第6節 教員を取り巻く「ガバナンス改革」
おわりに
第Ⅰ部 途上国の教員政策
第1章 カンボジアの教員政策――変わる教職[荻巣崇世]
はじめに
第1節 激動の教員政策
第2節 教職の高度化
第3節 待遇と教員配置
第4節 教員評価
第5節 カンボジアの教員と国際協力
第2章 タイの教師教育改革――混迷する政局下の革新的な取り組み[牧貴愛]
はじめに
第1節 「聖職者教師」と「専門職的教師」の調和を目指す改革
第2節 不安定な政治と複数の教育改革案
第3節 『教師教育改革戦略(2015-2029年)』にみる改革の方向性
第4節 研究に重きを置いた教員養成
第5節 革新的な学校教育の取り組み
おわりに
第3章 インドにおける学習者中心教育と教員養成をめぐる課題――求められる教員の学びの支援[小原優貴]
はじめに
第1節 インドにおける教育のパラダイムシフト
第2節 インドの教員をめぐる状況
第3節 学習者中心教育の理念と実態との乖離
おわりに
第4章 マラウイの教員養成制度の改定にともなう課題[川口純/中和渚]
はじめに
第1節 マラウイの初等教員養成制度
第2節 教員養成制度の改定とその背景
第3節 教員養成政策の改定が教員に与えた影響
第4節 2008年の教員養成課程における教授法の変更による影響
おわりに
第5章 南アフリカの教員の挑戦――民主的教育の実現[小野由美子/近森憲助]
はじめに――マンデラ政権の誕生
第1節 カリキュラム改革
第2節 南アフリカの教育制度
第3節 教員養成政策
第4節 現職教員研修と教員評価
第5節 南アフリカの教員の課題
おわりに
第6章 ザンビアの教員を取り巻く環境と教員政策の課題――教育の質の保証に向けた取り組み[中井一芳/下田旭美/馬場卓也]
はじめに
第1節 教育の拡充と教員政策の変遷――独立から現在まで
第2節 質の高い教員の育成をめざして
第3節 教員の継続的な成長を支える取り組み
第4節 教員政策・教師教育の課題と展望
第7章 ボリビア多民族国における教師教育のゆくえ――Ley070による教育政策の転換の影響と課題[石坂広樹]
はじめに
第1節 エボ・モラレス政権の新政策――Ley070
第2節 教師教育に係るシステムの再編
第3節 教師教育における新しいモデル・講義・演習・教材
第4節 教師教育の政治的運用とその教育的効果
おわりに――今後のゆくえ
第Ⅱ部 教員政策に対する国際協力のアプローチ
第8章 ユネスコによる協力――SDG4教育の質の向上のために[横関祐見子]
はじめに
第1節 ユネスコの教育協力と教員支援プログラム
第2節 教員に関する国際タスクフォースの活動
第3節 ユネスコ・アフリカ地域能力開発国際研究所(IICBA)の活動
おわりに
第9章 ユニセフによる協力――子どもの権利に基づくアプローチ[服部浩幸]
はじめに
第1節 ユニセフの教育に対するアプローチの変遷
第2節 ユニセフの教員支援プログラム
第3節 ユニセフの遠隔地における教員支援プログラム――インドネシアの事例
おわりに
第10章 世界銀行による協力[深尾剛司/宮島智美]
はじめに
第1節 教育戦略2020とSABERの概要
第2節 SABER Teachersの8つの政策目標
第3節 SABER Teachersの活用事例
おわりに
第11章 教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)による協力――教育セクター計画強化を通じた教員支援[金澤大介/保坂菜穂子]
はじめに
第1節 GPEとは何か
第2節 GPEのファンディング・メカニズム
第3節 教育セクター計画(ESP)の態様
第4節 GPEファンディング・モデルの学習成果改善へのアプローチ
第5節 GPEの教員支援
第6節 GPEの授業改善への支援
おわりに
第12章 米国国際開発庁(USAID)による協力――内容分析からみる教員の位置づけ[マーク・ギンズバーグ]
はじめに
第1節 教員政策の構成要素
第2節 米国政府の教員政策に対する考え方を理解する源泉としてのUSAID
第3節 3つのUSAID戦略文書の内容分析の結果
第4節 3つのUSAIDプログラムにおける教員に関する目的の分析結果
おわりに
第13章 国際協力機構(JICA)による協力――教員の授業実践の改善から子どもの学びの改善へ[石原伸一]
はじめに
第1節 JICAによる教員政策分野のプロジェクトの特徴
第2節 教員の授業実践の改善に向けての協力――草創期(1994年度-2002年度)
第3節 教員の授業実践の改善に向けての協力――展開期(2003年度-2013年度)
第4節 子どもの学びの改善に向けての協力――多様化(2014年度以降)
おわりに
おわりに
前書きなど
はしがき
(…前略…)
本書の構成
本書は、「途上国の教員政策」と「教員政策に対する国際協力のアプローチ」の二部から構成されており、冒頭に序章を設けている。序章では、途上国の教師を取り巻く政策と実践の状況を見る際の軸として6つの視点を掲げ、歴史的な観点を踏まえて考察する。
第Ⅰ部「途上国の教員政策」は、東南アジア、南西アジア、サブサハラアフリカ、ラテンアメリカにおける国別事例をもとに、各国の教員政策と実践に関する現状と課題について、求められる専門職性や教師教育、教員評価のあり方の変化に着目しながら考察することを目的としている。
第Ⅱ部「教員政策に対する国際協力のアプローチ」では、主要な国際協力機関により教員政策分野においてどのような国際協力が進められており、いかなる課題があるのかについて論じる。具体的には、ユネスコ(UNESCO)、ユニセフ(UNICEF)、世界銀行(World Bank)、教育のためのグローバル・パートナーシップ(Global Partnership for Education: GPE)、米国国際開発庁(USAID)、国際協力機構(JICA)による国際協力の取り組みについての概要と考察を提示する。
(…後略…)