目次
本書とシリーズについて
謝辞
序文
第1部 認知療法の理論的特徴
序章 ベックとそのグループ
1 定式化
2 認知的テーマによる分類
3 適用領域による変化
4 深層のスキーマ
5 心理的な問題の進化論的基盤
6 多様なレベルおよび種類の認知
7 認知の歪み
8 イメージに現れる認知の歪みの主要素
9 認知、情動、行動の相互作用
10 安全行動による不安の持続
11 否定的な注意の偏りに対処する方略
12 メタ認知(思考についての人々の考え方)
13 マインドフルネスとマインドフルな注意の促進
14 治療者が従うべきプロセス
15 プロトコルの作成とスキルの特定
第1部のまとめ
第2部 認知療法の実践的特徴
序章 治療原則に対応する実践モデル
16 定式化に基づく治療の焦点化
17 定式化を用いた人間関係や協調の問題への対処
18 確固たる治療関係の構築
19 治療関係における協働の重視
20 治療期限の設定
21 構造化された指示的なセッション
22 問題指向、目標指向
23 治療初期段階における今現在の問題の検証
24 教育モデルの使用
25 ホームワーク
26 クライエント自身による思考の評価と修正
27 認知的内容の変化
28 認知過程の変化
29 行動変容の促進
30 コンピテンシーの測定法
第2部のまとめと考察
結論
監修・監訳者あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
前書きなど
本書とシリーズについて
『ベックの認知療法』では、認知行動療法(CBT)の開発に対するアーロン・ベック(Aaron Beck)の顕著な貢献を検証する。
本書は、同氏の生い立ちや経歴を踏まえて、その業績を簡潔に説明していく。著者のフランク・ウィルス(Frank Wills)は、ベックの認知療法の理論および実践を検証するにあたって、最初に精神病理の理解に対する彼の貢献について考察し、続いて最良の治療法としてベックが提唱した内容について検討している。本書を通して、ベックの見解がCBTの他のアプローチとどのように異なるかを明らかにし、ベックの方法と、精神分析療法や人間主義的療法など他の治療形態との類似点や相違点についても概説する。
『ベックの認知療法』は、この分野の初心者にとっても、簡潔な解説書を求めるベテランの臨床家にとっても理想的な一冊になるものと思われる。
フランク・ウィルスは、英国ブリストルで認知療法士として独立開業する傍ら、実地指導者、研修指導員として後進の育成にあたり、また、ニューポートのウェールズ大学でも個人指導教員を務めている。
認知行動療法(CBT)は、エビデンスに基づく実践の流れの中で中心的な位置を占め、臨床場面でも多用されている。しかしCBTは普遍的なアプローチではなく、治療者によって第一世代、第二世代、あるいは第三世代のアプローチと呼ばれることもある。
この「認知行動療法の新しい潮流」シリーズは、CBTの各アプローチの特徴を明確に示しながら、数々の手法を簡潔に説明する手軽なガイドブックである。編集者のウィンディ・ドライデン(Windy Dryden)は、各分野選りすぐりのエキスパートを集め、各人がそれぞれのアプローチを理論および実践の面から三〇章に区分してその特徴を解説するという手法で本シリーズをまとめ上げている。
「認知行動療法の新しい潮流」シリーズは、精神療法家、カウンセラー、心理学の専門家などその流派や系統を問わず、新たに台頭しつつある各種の認知行動療法的アプローチへの理解を深めたいと思う方々にとって必携の書となるものと思われる。
(…後略…)