目次
日本語版序文
はじめに
第1章 問題提起――事実と虚構
第2章 1910年代初めの金堤・萬頃平野の水利施設
第1節 全羅北道地域への日本人の進出と水利組合の設立
第2節 東津江水利組合設置の試み
第3節 1910年頃の全羅北道の水利施設
第3章 碧骨堤
第1節 碧骨堤に関する古い記録の検討
第2節 碧骨堤の発掘調査とその近隣地域の地形に関する実測資料
第3節 過去2000 年間の気候の変化
第4節 防潮堤説批判
第4章 米穀生産量と価格
第1節 日帝初め朝鮮の米穀市場
第2節 第1次世界大戦と米穀生産量の変化
第5章 土地改良
第1節 土地改良事業の展開過程
第2節 開墾、干拓および地目変換
第3節 灌漑改善
第4節 耕地面積と栽培面積
第6章 改良農法
第1節 優良品種の普及拡大
第2節 施肥の拡大
第3節 米穀生産量修正の検討
第7章 農業生産性の長期的変化
第1節 地代量と地代率
第2節 朝鮮後期から日帝時代までの農業生産性の変化
第3節 20世紀韓国の農業生産性
第8章 おわりに――誇張された危機、そして誇張された開発
付表
前書きなど
はじめに
『開発なき開発』(邦訳書『植民地朝鮮の開発と民衆 植民地近代化論、収奪論の超克』明石書店、2008年)という本を書いてから、いつの間にか6年が過ぎた。この本の内容をめぐり様々な批判が提起されたが、そのほとんどが日帝時代〔1910~1945年〕の農業部門に関するものであった。これらの批判のうち、土地生産性を考慮した場合の日本人所有耕地面積の推計と、これに関わる生産物の民族別分布に対する金洛年教授の批判は痛烈なものであった。筆者が単位を錯覚していたこともこれに拍車をかけた。今後、この本の修正版を出版する時には、これらの批判を受け入れようと思う。有益な批判をしてくださった東國大の金洛年教授に感謝する。しかし、これ以外のほとんどの批判については、私は現在でも考え方を異にしており、こうした点をもう少し明確にしておく必要が生じた。それが本書を書くことになった理由である。
(…後略…)