目次
はじめに
序論
1 研究の目的
2 研究の方法
3 注記
第1期(1985年から1990年まで)
第1期の概観
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 民法・児童福祉法分野
2 刑事法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
4 児童福祉・医療分野
5 児童虐待に関する調査
資料
第2期(1990年4月から2000年5月まで)
第2期の概観
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
4 児童福祉分野
5 非行・教護分野
6 心理分野
資料
第3期(2000年6月から2004年4月まで)
第3期の概説
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 児童福祉分野
4 非行・教護分野
5 医療・保健・心理分野
資料
第4期(2004年5月から2007年6月まで)
第4期の概観
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野(第3期)
4 憲法・行政法分野
5 児童福祉分野
6 非行・教護分野
7 教育分野
8 医療・保健・心理分野
資料
第5期(2007年7月から2010年3月まで)
第5期の概観
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
4 行政法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
4 憲法・行政法分野
5 児童福祉分野
6 教育分野
7 医療・保健・心理分野
資料
第6期(2010年4月から2012年3月まで)
第6期の概要
Ⅰ 法令・判例および法学研究の動向
1 全体の動向
2 法令の動向
3 判例の動向
4 法学研究の動向
Ⅱ 主要判例解説
1 刑事法分野
2 行政法分野
Ⅲ 主要文献解説
1 児童福祉法分野
2 民法分野
3 刑事法分野
4 憲法・行政法分野
5 児童福祉分野
6 教育分野
7 非行分野
8 医療・保健・心理分野
資料
あとがき
前書きなど
序論
1 研究の目的
本研究は、わが国における児童虐待に関する法令、判例および法学研究の動向を探ることによって、法的対応の変遷をたどるとともに、その後の児童虐待問題に対する法的対応に与えた意義ないし影響を明らかにすることを目的とする。
本研究に先立って、子どもの虹情報研修センターから、保坂亨教授を代表者とする「虐待の援助法に関する文献研究――戦後日本社会の『子どもの危機的状況』という視点の心理社会的分析」が報告され、公刊されている。同報告書は、「危機的状況」におかれた子どもに対する臨床研究や実践報告等の研究を概観・分析するとともに、社会学の観点から児童虐待に対する時代認識の変遷などを考察している(同報告書は、その後、保坂亨編著、子どもの虹情報研修センター企画『日本の子ども虐待――戦後日本の「子どもの危機的状況」に関する心理社会的分析』2007年、福村出版。同書、第2版、2011年、として刊行されている)。同研究の進展に応じて、児童虐待への援助法に関する文献研究には法的視点が不可欠であるとの認識が生じたところから、本研究は、いわば先行する社会学的研究を補完するものとして、児童虐待に関する法令、判例、法学文献を分析することとした。
これと並行して、できる限り児童虐待防止法制度に関連する文献を網羅的に収集・分析し、関係者に情報を提供することも本研究に与えられた重要な責務である。
2 研究の方法
本研究は、児童虐待に関する法的問題を扱う文献、法律、通知、判例および調査報告等を対象に分析する。法律については、法律制定の背景や経緯、その内容、改正の動向を紹介している。通知等については、それぞれの期に発出された通知等を内容ごとに紹介している。判例に関しては、児童虐待に関連する民法、刑法、児童福祉法、行政法等の判例の動向を概観し、重要な判例はその事実関係、判決(審判)要旨を紹介し、その内容を検討した。研究動向としては、児童虐待に関する法学文献や調査報告書等の他、法学分野以外の分野の文献であっても、児童虐待への法的対応の不備を指摘し、その改善を提言するものが少なくないところから、言及された内容や、その後に与えた影響の大きさ等を勘案して、適宜、児童福祉、医学、保健等の分野の文献も対象とした。研究動向としては、児童虐待防止に関する法学、児童福祉学、教育学、心理学等に分けて、各期の学会等の動向を紹介し、文献資料のうち、とくに重要なものは、その内容を紹介している。
これらの作業により、各期の児童虐待防止対策のみならず、各分野の児童虐待防止に向けた取組みの状況や課題、必要とされた施策や実務の方向性を明らかにすることを目指した。以上の法令、判例、文献等については、それぞれの期ごとにリストを作成し、全体動向の理解に資するようにするとともに、資料として利用できるように努めた。また、司法統計年報や社会福祉行政業務報告等から児童虐待に関する統計を整理し、児童虐待防止制度の運用状況を示すこととした。
対象となる文献や資料は、国立国会図書館雑誌記事文献目録や法学文献判例情報等のデータベースをもとに検索し、中央大学図書館、日本女子大学図書館、国立国会図書館等の図書館を通じて入手した。
本書の構成としては、児童虐待が社会全体に十分認識されるまでを第1期、児童虐待への対応が模索され始め、児童虐待防止法成立に至るまでを第2期、児童虐待への対応が本格化し、同法の第1回目の大改正までを第3期としている。第4期は同法の第2回目の大改正までとし、第5期は2008年の児童福祉法改正を中心に、次の大きな法改正である民法等改正までの時期を扱っている。最後の第6期は、民法等改正前夜から改正法が成立し、施行されるまでの期間である。
各期ごとに児童虐待への対応が多様化、重層化していく状況と当時の諸課題を浮き彫りにすることを目指した。
(…後略…)