目次
はじめに[大森信也]
「社会的養護」と「自立支援」[早川悟司]
Ⅰ 子どもたちの物語
1…生まれて
親なんか関係ない
自分に自信が持てなくて
ひとりは嫌いなのに…
俺が死ぬとき
夢を持っていいんだ
この子を産みたい
生きることの意味
火をみると落ち着く
2…居場所を探して
もう親はいないと決めた
勉強なんて大嫌い
漂うように生きる
死ねば楽になれるかな
彼の束縛や要求はエスカレートする一方で…
かわいいって本当かな?
その日暮らし
大学行くなんて考えたことなかった
3…新しい生活
私は私で生きていく
母への怒りが私の原動力だった
俺は障害者なのか?
“しあわせ”がほしい
神様のハナシ
住むところを失う恐怖
バカみたいに働かされて
職員の涙
Ⅱ 私が大切にしていること
子どもの主体的成長を支える環境づくり――支援の標準化に向けて[早川悟司]
相談者の幸せを願う伴走者として[高橋亜美]
やればできる、つながり支え合えばもっとできる[大森信也]
おわりに[高橋亜美]
コラム
アフターケア相談所 ゆずりは[高橋亜美]
児童養護施設からの大学等進学[早川悟司]
「支援者」としての私の原点[高橋亜美]
「家庭的養護」における「ホームづくり」[早川悟司]
これからあるべき社会的養護――子どもが地域で主体的に生活するために[早川悟司]
児童虐待とは――支援現場の視点から[早川悟司]
生活の場こそ豊かに――支援者としての感性を育む[高橋亜美]
前書きなど
はじめに
(…前略…)
この本は、いわゆる自立支援の施設職員用マニュアルとは一線を画しています。編集会議では「私たちが伝えたいこと、それはどうしたら伝えたい方々に届くのか」を熱く語り合いました。目的は? コンセプトは? 対象は? そして肝心の内容は……。同世代の共著者による忌憚のない議論は、互いの意見に刺激され「私たちが目指す自立支援とはそもそも何か?」という話にまで発展しました。そして、その熱い思いを残しつつも、冷静かつ大胆にまとめ、最終的にこの形になりました。
大切にしているポイントはいくつかあります。まずは、現場の第一線にいる自分たちにしか書けない、子どもたちの現実を伝えることです。施設のことを知らない一般の方々にも、できるだけ分かりやすく。施設のことを知っておいてほしい関連機関、学校の先生や実習生となる学生、これから施設職員になろうとしている皆さんにも向けて。さらに、業界関係者の方々と現実を共有したい、一緒にこの課題に向けて取り組んでいきたい……。そのような思いが最初にあります。
(…後略…)