目次
まえがき
1章 日韓中の食文化――ラーメン・コメ
1.1 単元「食文化」の概要
1.2 教材開発への道のり
1.3 単元開発と授業実践
1.3.1 「ラーメン」単元の開発と実践――中国の小学校、韓国の中学校での実践
1.3.2 「コメ」単元の開発と実践――日本の中学校での実践
2章 日韓中の人間関係――家族関係
2.1 単元「家族関係」の概要
2.2 教材開発への道のり
2.2.1 わくわくドキドキの教材開発
2.2.2 研究の進展とグループの再編成――「生活文化」グループを中心に
2.2.3 実践に向けて
2.2.4 実践を終えて
2.3 単元開発と授業実践
2.3.1 「おじいちゃんの誕生日」単元の開発と実践(小学生版)
2.3.2 「おじいちゃんの誕生日」単元の開発と実践(中学生版)
3章 人の移動(1)――移民
3.0 大単元「人の移動」の概要
3.0.1 教材開発への道のり
3.0.2 大単元「人の移動」の単元計画
3.1 単元「移民」の概要
3.2 教材開発への道のり
3.2.1 「教材」をめぐる解釈のずれとテーマの広がり
3.2.2 移民学習の意義と内容
3.2.3 移民学習の教材
3.3 移民をテーマとした単元開発と授業実践
3.3.1 「日本・韓国・中国から海を渡った移民の出会い―ハワイプランテーションの世界―」の開発と実践(小学生版)
3.3.2 「『移民』から考える―日韓共通読み物資料の活用―」の開発と実践(中学生・高校生版)
3.3.3 読み物資料
付)中国での実践「中国の日韓留学生が直面する問題――文化の衝突」
4章 人の移動(2)――旅行
4.1 単元「旅行」の概要
4.2 教材開発への道のり
4.3 旅行をテーマとした単元開発と授業実践
4.3.1 「韓国旅行に出かけよう」の開発と実践(小学生版)
4.3.2 「韓国旅行に出かけよう」の開発と実践(中学生版)
4.3.3 「中国旅行に出かけよう」の開発と実践(小学生版・中学生版)
あとがき
編者・執筆者紹介
前書きなど
あとがき
本研究の端緒は、2007年7月に、ユネスコアジア文化センター(ACCU:Asia/Pacific Cultural Centre for UNESCO)の助成を得て札幌で開催した「日韓中三カ国相互理解のための教材開発ワークショップ」にあります。韓国から6名、中国から5名、日本から22名の計33名が参加して、「日韓中ラーメン物語」「行動様式の違い」「日常生活と生活文化」「グローバリゼーションと移民」「歴史認識」の五つのグループに分かれ、二日間にわたって教材素案を検討しました。この時の議論をもふまえ、科研プロジェクト「日韓中の協働による相互理解のための国際理解教育カリキュラム・教材の開発」の最初の全体会議において、三つの大きな単元(=テーマ)である「食文化」「人間関係」「人の移動」が設定されました。
「食文化」単元の「ラーメン」グループは、三カ国におけるラーメンをめぐる食文化や、ラーメンを通じた三カ国のつながりを内容とする教材を、「米」グループは、「米」をめぐるグローバリゼーションとローカリゼーションを取り上げた教材を開発しました。
「人間関係」単元の「生活文化」グループは、家族・教師・友人との付き合い方の違いと共通点を内容とする教材を、「ことばと生活文化」グループは、「あいさつことば」「お礼のことば」「若者ことば」を取り上げた教材を開発しました。
「人の移動」単元の「移民」グループは、ハワイ移民、ブラジル移民をテーマにした読み物資料を開発し、「留学生」グループは、留学生にとっての異文化理解や直面している諸問題を取り上げた教材を開発しました。また、「旅行」グループは、三カ国の文化・歴史・つながりなどを理解するためのすごろく教材を開発しました。
いずれも、日本・韓国・中国で実験授業を実施し、それらの結果を検討したうえで、教材の改善を図るとともに、学習者の発達段階に応じて各大単元のカリキュラムを構成しました。
こうした三年間の研究成果を、日本国際理解教育学会研究大会で毎年発表するとともに、韓国国際理解教育学会研究大会および中国国際理解研究会設立大会でも発表し、韓国・中国の研究者や実践者とのネットワークを拡大することができました。
本研究が国際理解教育における新たな一歩となり、日本・韓国・中国三カ国間の研究交流がさらに進展するとともに、日韓中の若い世代の相互理解がいっそう深まることを、執筆者一同祈念しています。
(…後略…)