目次
はじめに
序章 研究の視点と方法
1節 研究の背景
2節 研究の視点
3節 研究の方法
4節 課題と構成
1章 児童養護問題とは何か
1節 先行研究の分析
2節 児童養護問題とは何か
3節 養護とは何か
2章 児童養護問題の歴史的背景
1節 問題の所在
2節 児童養護問題の歴史的背景
3節 小括
3章 児童養護問題の階層性~児童養護施設6ヶ所の調査から~
1節 章ごとの関連性
2節 問題の所在
3節 児童養護施設でくらす子どもと親の生活問題
4節 考察
4章 児童養護施設でくらす子どもの健康問題~5施設の調査から~
1節 問題の所在
2節 児童養護施設でくらす子どもの健康状態
3節 考察
5章 児童養護施設における家族支援~11施設の聞き取り調査から~
1節 問題の所在
2節 児童養護施設における家族支援の実態
3節 考察
6章 母子生活支援施設からみた家族支援~10施設の聞き取り調査から~
1節 問題の所在
2節 母子生活支援施設における家族支援の実態
3節 考察
7章 児童養護施設生活経験者からみた制度・施設の課題~8名の聞き取り調査から~
1節 問題の所在
2節 児童養護施設生活経験者の生活と意識
3節 考察
8章 児童養護施設職員の労働問題~5施設の調査から~
1節 問題の所在
2節 児童養護施設職員の雇用・労働条件と労働実態
3節 考察
9章 結論と課題
1節 児童養護問題の固有性と共通性・連続性
2節 児童養護問題の構造と政策課題
3節 本研究で得られた知見と意義
4節 今後の研究課題
あとがき
引用文献
資料
【資料A】表3-103-4の調査年・調査対象別内訳
【資料B】表4-104-3の調査年・調査対象別内訳
【資料C】児童養護施設職員の労働問題調査項目
前書きなど
序章 研究の視点と方法
(…前略…)
4節 課題と構成
(……)
(2)本書の構成
次に本書の構成についてである。まず,序章「研究の視点と方法」では,研究に至る背景,視点と方法,課題と構成について述べ,1章「児童養護問題とは何か」では,先行研究の問題点と評価すべき点を指摘した上で,「養護問題」と「養護」を定義する。2章「児童養護問題の歴史的背景」では,養護問題がどのように形成され,変化してきたか,その歴史的背景と時期ごとの特質を浮き彫りにする。
3章「児童養護問題の階層性」では,6施設の調査から,施設でくらす子どもと親がどのような生活条件の下におかれてきたかを分析し,その階層性を明らかにする。そして,4章「児童養護施設でくらす子どもの健康問題」では5施設の調査から,親の生活条件(3章)が子どもにどう影響しているか,階層性が鋭く反映する健康状態を軸にして分析する。さらに入所後,子どもたちの疾患・症状がどのように変化したかを分析することにより,養護問題の深刻さ(固有性),および,そこからみた施設・職員の役割・課題を浮き彫りにする。
5章「児童養護施設における家族支援」では,3章の養護問題の階層性をふまえ,11施設の調査から,施設における家族支援の実態を分析し,そこからみた制度・施設の課題を浮き彫りにする。しかし,施設は家族支援のノウハウが少ないため,6章「母子生活支援施設からみた家族支援」では母子施設10ヶ所の調査から,施設における家族支援のあり方を浮き彫りにする。
さらに,養護問題の構造を捉えるには,ケアをする側(4・5・6章)だけではなく,施設生活経験者の視点からも分析する必要がある。そこで7章「児童養護施設生活経験者からみた制度・施設の課題」では,施設生活経験者8名の聞き取り調査から,養護問題が子どもにどのように現れ,それが彼らの人生にどのような影響を与えるかを分析し,養護問題の具体的な姿と制度・施設の課題を浮き彫りにする。
一方,施設で働く職員の雇用・労働条件は,養護問題対策の水準を示しており,それがケアの質に大きく影響するため,それも含めて養護問題を分析する必要がある。そこで8章「児童養護施設職員の労働問題」では,5施設の調査から,職員の労働問題とそこからみた制度・施設の課題を浮き彫りにする。そして,9章「結論と課題」では,本書の結論,得られた知見と意義,今後の研究課題について述べる。本書は以上の章立てで展開する。