目次
まえがき
感情について知ろう!
1 感情とは
2 感情についての知識
3 最近の子どもたち
4 考えること、行動すること
5 感情の調節
6 感情の発達
7 感情のリテラシーの発達
8 感情の表出の発達
9 感情を育てる
10 感情を育てる方法
11 感情のカリキュラムの説明
感情を育てよう!
対象年齢:幼児から小学校低学年
01 いま、どんな気持ち?
02 友だちはどんな気持ちかな?
03 がまんするって?
04 わたしとあなたの思いは違う
05 気持ちと言葉のマッチング
06 友だちの表情を読み取る
07 負けてくやしいとき、どうする?
08 友だちを励ましてみよう!
09 気持ちを色であらわしてみよう!
10 うれしいときの顔は?
11 気持ちを巻き戻してみる
12 うまくかかわる言葉を探そう
対象年齢:小学校低学年から中学年
13 ポジティブな気持ちって?
14 大事なお友だちについて考える
15 ああ、迷っちゃう!
16 怒りのコントロール日記
17 どっちにしようか迷ったとき
18 困ったときに何をしてあげる?
19 立ち止まって考える
20 「ごめんね」の気持ちを伝える
21 こんなときどうする?ゲーム
22 物語から感情を学ぶ
23 気持ちにぴったりの言葉
24 気持ちを知ったうえでかかわる
25 心と身体はつながっている
26 友だちの言葉に耳をすます
27 怒りのレベルはどれくらい?
28 「協力」できるかな?
29 「おこりんぼうさん」になるとき
30 ノンバーバルから気持ちに気づく
31 感情コントロールスキル
32 そっと教えちゃうノート
33 入り混じった感情に気づく
34 共感力を育てる
35 状況をポジティブにとらえる
36 相手の気持ちになってかかわる
対象年齢:幼児から小学校低学年
37 「代わりばんこ」できるかな?
前書きなど
まえがき(渡辺弥生)
(…前略…)
心理学で明らかにされていることの中には、こうした感情にかんする知識や力は、短時間で獲得されるものではなく、小さいときから、遊びや生活の中で、少しずつ獲得していくものとして知られています。
まず、親から教わります。「泣いてばかりいないで」と叱られたり、「今は笑っちゃいけない、静かに」と注意されたりします。同時に、大人が怒ったり、わめいたりしないで、解決したりするのをモデルとして学びます。ゲームで負けそうになっても、怒ったりしない年上のきょうだいの様子からも学ぶでしょう。
そして、しだいに、子ども同士で遊ぶようになり、経験の中で知るようになります。互いに未熟な者同士のため、泣かせたり、泣かされたり、喜ばせたり、喜ばされたり、感情と感情が衝突する中で、気づいていくのです。やりとりの中で、「いい加減」に気持ちを抑えたり、表現したりすることをいつのまにか獲得していきます。
感情を表す言葉も、「うれしい」という気持ちから、「楽しい」「幸せ」「ハッピー」「素晴らしい」など語彙も増え、自分の気持ちを表現するのにふさわしい言葉を選びとって表現できるようになります。相手の表情や行動から相手の気持ちを想像したり、悲しい様子だと「大丈夫?」と働きかけることもできるようになるのです。
互いに影響し合う存在であり、自分がうれしいとき悲しいときに寄り添ってくれるような人をありがたく思い、また、自分から他人にそうしてあげることが大切なことだと学ぶようになります。さらには、興奮しすぎず、さりとて、何も感じないように平板化してしまわないように、日々の生活の中で調整していこうと努力するようになるのです。
この本では、そうした感情について、「準備編」と「実践編」に分け、準備編では「感情についての知識」や「感情の発達のさまざまな側面」、そして「どのように感情を育てればよいか」について大切なポイントを説明しています。そして、実践編では、幼児から小学校低学年、小学校低学年から中学年に分けて、発達に応じた具体的なワークを、たくさんの専門家から提供してもらっています。まず、先生や親御さんがこうした感情の育ちに興味や関心を持っていただいて、子どもたちとかかわる中で、子どもたちの感情の発達を大事にしてもらい、この本にあるようなワークを参考に、遊びや学びの中で楽しいかかわりやはたらきかけをしていただければと思います。生活の中で、ともに笑い、ともに悲しみを分かち合えるよう、そして子どもたちの生活が生き生きと豊かなものになるよう導いてやれることを願ってやみません。
(…後略…)