医療の質国際指標2

OECD／編著児玉知子／訳岡本悦司／訳

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出版社: 明石書店(20110326)

ISBN-10: 4750333662 ISBN-13: 9784750333663

NDC(9): 498.02

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紹介

患者本位の迅速・安全かつ有効な医療サービスを提供するためにはどうすればよいのか？　プライマリケア、慢性疾患、精神医療、がん医療、患者安全、患者経験などの国際比較可能なデータをもとに、医療の質向上を効果的に推進した政策や実例を紹介する。

　まえがき　謝辞　略語集　要約　序言第1章　医療の質に関する情報がなぜ必要なのか？　はじめに　第1節　医療連携の促進　　1.1　質を重視した医療連携に対する関心が増大している　　1.2　疾病管理プログラムは医療の質を向上させるか？　　1.3　医療と福祉の統合は有効か？　　1.4　医療の質指標は医療連携の必須条件である　第2節　疾病予防　　2.1　予防医療プログラムの有効性に関するエビデンスの評価　　2.2　予防医療プログラムの質評価：政策、実施そして運営の視点　第3節　患者中心の医療　第4節　医療技術評価と診療評価　　4.1　医療の質と医療費とを関連づける　　4.2　医療の質のエビデンスを政策や医療に役立てる　第5節　医療安全の確保：質の格差は解消されていない　第6節　成果に応じた報酬支払（P4P）　第7節　医療の質向上のための政策　第8節　医療の質向上をめざす政策は世界共通の課題　第9節　医療の質指標の戦略的活用第2章　医療の質についてどれだけわかっているか？　はじめに　第1節　OECD医療の質指標プロジェクトの背景と沿革　第2節　プライマリケア　　2.1　重要性と関連性　　2.2　概念枠組みの課題　　2.3　実施上および方法論上の課題　　2.4　結果と政策関連性　　2.5　次なるステップ　第3節　慢性疾患に対する急性期治療：冠動脈疾患（CAD）を例に　　3.1　重要性と関連性　　3.2　概念枠組みの課題　　3.3　実施上および方法論上の課題　　3.4　結果と政策関連性　　3.5　次なるステップ　第4節　精神医療　　4.1　重要性と関連性　　4.2　概念枠組みの課題　　4.3　結果と政策関連性　　4.4　よりよい精神医療の質指標をめざして　第5節　がん医療　　5.1　重要性と関連性　　5.2　概念枠組みの課題　　5.3　結果と政策関連性　　5.4　実施上および方法論上の課題　　5.5　次なるステップ　第6節　患者安全　　6.1　重要性と関連性　　6.2　概念枠組みの課題　　6.3　実施上および方法論上の課題　　6.4　次なるステップ　第7節　患者経験　　7.1　重要性と関連性　　7.2　次なるステップ　　7.3　重要な教訓と提言：患者経験評価における国の医療システムの原則第3章　情報化：医療の質測定に不可欠な全国的な情報基盤の構築　はじめに　第1節　全国的な情報基盤の発達経過　第2節　国全体の医療の質指標を算出する代表的なデータ源　第3節　データ源活用にあたっての教訓　第4節　医療情報システムの向上と情報基盤の構築：OECD情報通信技術（ICT）プロジェクト　第5節　情報基盤構築の推進第4章　医療の改善のために医療の質指標をどう活用すべきか？　はじめに　第1節　資源確保　第2節　制度設計　第3節　監視システム　第4節　質向上のためのインセンティブ制第5章　結論と提言　はじめに　提言1　医療の質指標の測定法の改善と活用に関する提言　提言2　医療の質指標の適用に関する提言　訳者あとがき Box 　Box1.1　医療と福祉を統合する政策と戦略の例　Box1.2　医療技術評価に関する欧州連合（EU）内の協力体制　Box1.3　事例研究：イギリスの「医療の質と成果フレームワーク（QOF）」の効果　Box1.4　韓国の成果に応じた報酬支払（P4P）システム　Box1.5　医療の質指標を活用するうえでの7原則：使用上の注意　Box2.1　OECD医療の質指標プロジェクト参加国　Box2.2　イギリスにおける質の高いがん医療に関する施策　Box2.3　欧州委員会（EC）による患者安全に関する勧告　Box2.4　ベルギーの病院における質と安全　Box2.5　患者経験指標の利用と開発に関する事例　Box2.6　ヴィニエットとは何か？　Box2.7　患者経験の評価システムを国に導入する際の原則（OECD医療の質指標プロジェクト）　Box3.1　糖尿病医療の標準化質指標を自動的に生成するヨーロッパ疾病登録システム（BIRO）　Box3.2　得られた教訓のまとめ　Box3.3　OECD情報通信技術（ICT）プロジェクト　Box4.1　ベルギーの全国医療の質報告　Box4.2　デンマークの事例表　表2.1　優先領域における情報システムの利用可能性一覧　表2.2　指標の入手可能性：50%以上の国が現に入手しているか入手可能　表2.3　精神医療の質指標の入手可能性　表2.4　OECD医療の質指標プロジェクトのもと収集された患者安全指標　表2.5　18か国の患者安全指標（非標準化）、最大値と最小値、2009年　表3.1　国際比較可能な医療の質指標を開発するうえでの問題　表4.1　医療の質を向上させる方法図　図2.1　OECD医療の質指標プロジェクトの概念枠組み　図2.2　予防可能な入院率、2007年　図2.3　急性心筋梗塞入院後30日以内院内死亡率、2007年　図2.4　急性心筋梗塞入院後30日以内院内死亡率低下、2003-07年あるいは直近年　図2.5　統合失調症退院患者の同一病院への予定外再入院率、2007年　図2.6　躁鬱病退院患者の同一病院への予定外再入院率、2007年　図2.7　子宮頚がんスクリーニングにおける受診割合、20-69歳女性、2000-08年もしくは直近年　図2.8　子宮頚がん5年相対生存率、1997-2002年および2002-07年もしくは直近期間　図2.9　子宮頚がん死亡率、女性、1998-2008年もしくは直近年　図2.10　マンモグラフィースクリーニング受診の割合、50-69歳女性、2000-08年もしくは直近年　図2.11　乳がん5年相対生存率、女性、1997-2002年および2002-07年もしくは直近期間　図2.12　乳がん死亡率、女性、1998-2002年もしくは直近年　図2.13　大腸がん5年相対生存率、全体と男性・女性、最新期間　図2.14　大腸がん5年相対生存率、1997-2002年および2002-07年もしくは直近期間　図2.15　大腸がん死亡率、1998-2008年もしくは直近年　図2.16　器具を使用した経膣分娩における産科外傷、2007年　図2.17　器具を使用しない経膣分娩における産科外傷、2007年　図2.18　術中の異物置き忘れ、2007年　図2.19　不慮の穿刺および裂傷、2007年　図2.20　平均副病名数と術後肺塞栓症もしくは深部血栓症の割合（非標準化）における正の相関

前書きなど

まえがき　本書は、医療の質の向上――どの国でも医療政策上の至上目標――を実現するにはどうすればよいか、を示す指南書である。医療の質にはさまざまな側面と見解がある。すべての患者は、迅速、安全かつ有効な治療を受ける権利と、その内容ならびにリスクと便益について十分な説明を受ける権利を有する。それゆえ医療費用の支払と管理に責任を負う者は、限られた医療資源を公共の利益を最大化させるように適切かつ賢明に消費する義務を負う。　医療の質の向上を図るのは、単にそれが良いことだからという理由のためではない。医療の質が劣悪であったことでいくつかの悲劇が発生し、そのたびに国民の懸念と関心が高まってきた、という事実を忘れてはならない。また情報通信技術（ICT）の進歩により、医療の質を監視する情報が入手可能になった、という背景も重要である。さらに加えて、すべてのOECD加盟国で医療費負担が重くなってきており、費用の面からも質に対する圧力は高まってきた。劣悪な医療は健康を損なうのみならず生命をも奪う結果をもたらす（米国国立医学研究所［IOM］）。そして医療費の無駄を増やし、真に必要とする人々への配分を減らす、という弊害ももたらす。それゆえ医療の質の確保は、経済的にも社会的にも重要な課題である。　ではどうすれば医療の質の向上が図れるのか？　どうすれば医療の受け手である患者の声や意見を質向上につなげることができるか？　医療の質の善し悪しはどうすれば測定できるか？　医療の質向上を図る政策をほかのさまざまな政策目標と関連づけることでどのようなメリットがもたらされるのか？　本書はOECD医療の質指標（HCQI）プロジェクトの長年の成果を集大成したものであり、あらゆる国の医療政策担当者が医療の質向上を図るうえでの必読書である。しかし本書は「こうすれば医療の質が向上する」といったマニュアル本ではむろんない。本書は各国が医療の質向上のためにとったさまざまな戦略をみることで、そこから普遍的な教訓を抽出し、とりわけ、各国のもつ全国的あるいは地域的な情報システムを駆使して医療の質指標を算出し、各国がさなざまな政策や戦略を立案・実施するうえでそれらの指標を有効活用できるようにするための指南書である。

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