目次
はじめに
第I部 教育への問い
第1章 日本における近代公教育制度の成立
第2章 教育改革の国際比較
第3章 オルタナティブ教育の可能性
第4章 地球市民としての生涯学習
Column
1.国立大学法人化と産学官連携
2.イギリスのシティズンシップ教育
3.学校建築のオルタナティブ
4.東アジアにおける生涯学習
第II部 持続可能な未来をめざして
第5章 持続可能な未来への学び──ESDとは何か
第6章 環境教育の視座──自然と人間の関係性を問う
第7章 多文化社会の異文化間コミュニケーション
第8章 越境時代の多文化教育──21世紀の教育と市民性を問う
Column
5.〈いのち〉をはぐくむケアリングな共同体──フリースペース「たまりば(えん)」
6.「幾何級数的成長」とは
7.You know more than you think
8.アイヌがアイヌとして生きられる社会のために
資料編
1.教育関連法規
日本国憲法(抜粋)
教育基本法
学校教育法(抜粋)
社会教育法(抜粋)
子どもの権利条約(抜粋)
2.各国の学校系統図
日本(1944年)の学校系統図
日本(2008年)の学校系統図
中国の学校系統図
韓国の学校系統図
アメリカの学校系統図
イギリスの学校系統図
ドイツの学校系統図
フィンランドの学校系統図
3.学力観・学習指導要領の変遷
索引
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書の特色は、教育に関する基本的知識に加えて、実践的なアクティビティや事例を盛り込むことで、学習者が思考と経験を行き来しつつ、地球的視野から価値多元的な社会を理解し、自ら行動する意欲と力を獲得するよう構成されているところです。私たちが未来に向かって進もうとするとき、その選択肢はひとつではありません。自分にとって最適と思った選択が、世界の向こう側に住む誰かにとって最悪の選択となることもありえます。今日、正しいと思われた選択が、翌日には覆されるかもしれません。多様な価値が対立しつつ急速に変化する社会では、勝ちか負けか、国家か個人か、自由か規制か、といった二分法ではなく、物事を全体として理解し、つながりを意識することによって、その本質が見えてくるでしょう。本書を通じて、知識を学び、アクティビティを体験することで、ひとつの地球に生きる市民としての自分を発見し、望ましい未来を選び取る力を得ることを期待しています。
本書の対象は、教師をめざす人や教育学を学ぶ人だけでなく、教育や社会のあり方に広く関心をもつ一般の読者層です。教職課程のみならず、大学等で「持続可能な社会と教育」を考えるための実践テキストとして活用できるよう、幅広い内容となっています。執筆者には、国際的視野をもつ新進気鋭の教育学研究者に加えて、コミュニケーションや環境学など多様な領域の研究者や実践家にご協力いただきました。学際的な教科書づくりという新しい試みのため、編集作業には多くの時間がかかりましたが、細かな依頼に辛抱強く応えてくださった明石書店ならびに担当編集者の小林洋幸氏に深く感謝申し上げます。
2010年2月 五島敦子/関口知子