目次
親と先生のためのまえがき
第1章 さあ始めよう
第2章 がんじがらめ
第3章 カギその1:じゃまをする
第4章 カギその2:いそがしく動かす
第5章 カギその3:つついたり、引っぱったり、かんだり
第6章 カギその4:体のトレーニング
第7章 カギその5:緊張をはき出す
第8章 5つのカギをまとめよう
第9章 うまくいってる?
第10章 くせをよせつけない
くせをはずすカギ
点数表
前書きなど
親と先生のためのまえがき
(…前略…)
本書では、癖を固定している鎖を外すために、「鍵」という形の戦略を子どもに示します。科学的に評価されている手法を、興味を引く、楽しくやりやすい形で紹介しています。
課題の大部分は子どもがやるものですが、親や先生が手助けしてもいいのです。子どもと一緒に、この本を1章か2章ずつ読んで、すべての練習を指示どおりに行いましょう。練習は子どもの理解を深め、「知っている」から「できる」へと移行させます。この移行と、プロセスを促進する報酬システムについては、本書でわかりやすく説明されています。
ごほうびは、爪の長さや肌荒れが治ったことに対するものではありません。習った方法を使っている子どもの努力に対するごほうびなのです。爪が伸びたり、肌がスベスベになったりすることよりも、癖を外す方法を常に使うことのほうが、特に初期においてはより有意義なのです。
本書で取り上げるような癖が、根深い感情の問題の徴候を示唆しているという証拠はほとんどありません。爪をかんだり、指をしゃぶったり、髪の毛を指に絡めたりする子が、他の子よりもストレスを受けているということはほとんどありません。しかし、こうした子どもは、自分の内的状態を調整するために、癖によって起こる身体的な感覚が必要なようです。癖は子どもにとって心を落ち着かせるものです。子どもの癖は、親にとっては心配なことだとしても、子どもが感情面で苦しんでいることを意味するとはかぎりません。
しかし、悪い癖を持つすべての子どもに問題がない訳ではありません。全員がそうではないのです。頻繁に起こる不安、完璧主義、かんしゃく、睡眠の問題といったストレスの徴候に気づいたら、子どもにはさらなる助けが必要かもしれません。本シリーズの他の巻には、子どもが特定の感情や問題を効果的にコントロールする手助けとなるものもあります。ですが、子どもの生活に大きな支障を生じるようならば、専門家の助けが必要かどうか、かかりつけの医師に相談してみてください。
もし、鋭利な道具を使っていたり、ほかにも危険な癖が見られるようなら、早急に医療的サポートを受けてください。また、肩をすくめたり、咳払いしたり、顔をしかめたりといった、通常とは違う癖に気づいたら、チックかどうか医師に相談してください。チックは子どもの頃にはよく見られるものであり、それを止めたり変えたりすることが望ましいのは、特別な場合に限られています。本書で紹介される手法は、チックの治療と同じものではありません。
しかし、爪をかんだり、指をしゃぶったり、髪を巻きつけたり、かさぶたをむしったり、服をかんだり、鼻をほじったりするような通常の癖がある子どもには、この本はぴったりです。やっかいな癖から自由になるという、まず不可能と思われたことでも、練習を続けることで、子どもにも身につけられるようになるのです。
もう、「やめなさい」と言い続ける必要はなくなるのです。