目次
序文
概要
はじめに
第1章 OECD諸国の医薬品部門の主な特徴
第1節 はじめに
第2節 医薬品支出
第3節 医薬品支出額は、医薬品消費と相対価格水準で決定する
第4節 財源の状況
第5節 医薬品業界は主なOECD諸国経済で重要な存在である
第6節 まとめ
付属資料1.A1 OECD諸国における医薬品の流通マークアップと付加価値税
第2章 医薬品業界とその活動状況
第1節 はじめに
第2節 業界の集中度
第3節 研究開発
第4節 医薬品の製造
第5節 医薬品の販売
第6節 メーカー出荷価格
第7節 製品ライフサイクルマネジメント
第8節 医薬品業界の利益
第9節 まとめ
付属資料2.A1 メーカー出荷レベルの価格比較
第3章 医薬品価格設定と償還及びより広範な医薬品政策環境
第1節 はじめに
第2節 保険制度
第3節 医薬品価格規制
第4節 規制機関、支払者、購入者は、価格水準の決定に様々な方法を採用している
第5節 小売価格は全要素が規制対象となる
第6節 多くのOECD諸国は値上げを規制し医薬品費の伸びを抑えようとしている
第7節 規制の安定性、一貫性、予測可能性
第8節 政策目標の達成に影響する医薬品政策のその他の側面
第9節 まとめ
付属資料3.A1 欧州連合における医薬品と知的所有権
付属資料3.A2 欧州経済圏における販売承認
第4章 保健医療政策の目標達成に対する医薬品価格政策の影響
第1節 はじめに
第2節 公衆衛生の促進
第3節 価格水準に対する価格設定・償還政策の影響
第4節 医薬品コストの抑制
第5節 医薬品支出における価格に見合う価値(VFM)の追求
第6節 まとめ
付属資料4.A1 OECD諸国における医薬品小売価格と経済全体の物価水準の関係
第5章 国の価格設定・償還の実施方法が他国における医薬品価格と利用可能性に及ぼす影響
第1節 はじめに
第2節 国の価格設定政策は外国における医薬品利用と価格に影響を及ぼし得る
第3節 製薬企業は世界市場での総収益を最大にし、国の政策の波及効果に対抗するために、様々な戦略を駆使する
第4節 OECD諸国で市場参入価格が収束しているエビデンスがいくらか存在する
第5節 まとめ
第6章 医薬品価格政策が医薬品のイノベーションに与える影響
第1節 はじめに
第2節 医薬品の研究開発投資
第3節 価格設定と償還はイノベーションの傾向にどのように寄与するのか
第4節 まとめ
結論
用語解説
略語一覧
訳者あとがき
Box1.1 医薬品支出??定義、例外、情報源
Box1.2 医薬品の購買力平価(PPP)と相対価格水準
Box1.3 医薬品の相対価格を説明する小売価格の構成要素
Box2.1 製造から上市まで
Box2.2 競争市場における価格戦略
Box3.1 米国の退役軍人保健局(VHA)におけるフォーミュラリー管理
Box3.2 償還額の決定における参照価格制の利用
Box3.3 医師の処方行動に働きかけるために採用されたアプローチ
Box3.4 米国のメディケイド制度における価格設定
Box3.5 薬剤経済学的評価で使われるアプローチ
Box3.6 医薬品のリスクシェアリング
Box3.7 英国の医薬品価格規制制度
Box3.8 フランス政府と業界の契約
Box3.9 知的所有権(IPR)の消滅
Box4.1 消費者の医薬品需要の価格弾力性及びコストシェアリングの増加から生じると思われる結果
Box4.2 医薬品のコスト抑制と産業政策——政策目標の衝突
Box5.1 市場が分割可能である場合の製薬企業の戦略
Box6.1 医薬品が市場に出るまで
Box6.2 医薬品研究開発への民間投資は公的な支援から利益を得る
表1.1 1986〜1992年に最初に上市された122点の新薬に関する発売の遅れ
表1.2 保健医療機能別に見た民間財源と窓口負担(OOP)の支出総額に対する割合、2005年
表1.A1.1 OECD諸国における医薬品の流通マークアップと付加価値税、2007年あるいは最新年
表2.1 1975〜2002年の間に発売された新規化学物質(NCE)のイノベーションレベル
表2.2 世界の地域別医薬品売上、メーカー出荷価格、2006年
表2.A1.1 メーカー出荷価格の二国間比較——最新調査のレビュー
表3.1 OECD諸国の外部価格ベンチマーキングの利用状況、2007年時点
表3.2 当局が価格設定に当たり採用している治療価値による医薬品の差別化カテゴリー
表4.A1.1 経済全体の物価水準と医薬品小売価格の水準、2005年
図1.1 総医薬品支出、2005年
図1.2 1人当たり医薬品支出、2005年
図1.3 1人当たり医薬品支出と1人当たりGDP、2005年
図1.4 総医薬品支出に占める処方せん薬とOTC医薬品の割合、2005年
図1.5 総保健医療支出とGDPに占める医薬品支出の割合、2005年
図1.6 医薬品支出と総保健医療支出(医薬品支出を除く)の実質年間増加率、1997〜2005年
図1.7 OECD15か国の医薬品支出・総保健医療支出の増加傾向とGDP、1980〜2005年
図1.8 OECD諸国における医薬品の相対小売価格水準、2005年
図1.9 医薬品小売価格の構成要素、主要OECD諸国、2004年
図1.10 医薬品小売価格水準と1人当たりGDP、2005年
図1.11 1人当たり実質医薬品支出、2005年
図1.12 1人当たり実質医薬品支出と1人当たりGDP、2005年
図1.13 医薬品支出と総保健医療支出に占める公的支出の割合、2005年
図1.14 OECD諸国における医薬品産業の貿易収支、2003年
図2.1 新規化学物質の発売時に見られる世界的な傾向、1982〜2006年
図2.2 メーカー出荷価格による世界の医薬品売上高の増加、1998〜2006年
図2.3 メーカー出荷価格による世界の売上高の全体的増加への寄与、地域別、2001年及び2006年
図2.4 メーカー出荷価格による世界売上高で見たトップ10薬効分類、2006年
図2.5 金額及び数量で見たジェネリック医薬品のマーケットシェア、2004年
図2.6 仮定上の医薬品キャッシュフロー状況
図2.7 世界で最初の販売承認申請から市場投入までの平均期間、1999〜2003年
図3.1 販売承認申請から承認までの平均期間、1999〜2003年
図4.1 価格設定・償還申請から決定までの平均日数、1997〜2001年
図4.2 世界で最初の販売承認申請から国内での発売までの平均月数、1999〜2003年
図4.3 医薬品の小売価格水準と経済全体の物価水準、2005年
図4.4 新医薬品の価格水準と経済全体の物価水準、2005年
図4.5 ジェネリック医薬品の価格水準と経済全体の物価水準、2005年
図4.6 医薬品支出の対GDP比と1人当たり所得、2005年
図4.7 医療費(医薬品への純支出)の対GDP比と1人当たり所得、2005年
図4.A1.1 小売価格——先発医薬品とジェネリック医薬品の経済全体の価格水準格差、2005年
図5.1 英国の医薬品価格と比較対象国の価格との多面的な比較、1992〜2004年
図5.2 特許医薬品のメーカー出荷価格に関するカナダとの二国間比較、1997年及び1999〜2006年
図5.3 EU諸国における市場参入価格の収束性
図6.1 医薬品産業における研究開発支出と売上高、2006年
図6.2 研究開発投資の決定
図6.3 医薬品小売価格水準と1人当たり実質医薬品支出、2005年
前書きなど
医薬品価格政策は政策決定当該国の目標を念頭にデザインされているが、国を超えた国際的な相互作用についてどの程度考慮されているであろうか?
医薬品政策は、有効な新薬に対する支払い可能性に関する財政的な影響、あるいは国内の産業育成をはじめとする保健以外の重要な政策を考慮することで、保健政策の主要目標と他の政策との調和という困難な課題に直面している。保健政策問題においては、国際的に考慮しなければならないより複雑な意思決定も生じ、とりわけこうした意思決定の実体や範囲については十分に理解されているわけではない。ある国での価格政策の決定は医薬品セクターのイノベーションにどのような影響を及ぼすであろうか? その意思決定は、他の国々への医薬品の支払い可能性や利用可能性にどのような影響を及ぼすであろうか?
本書は、医薬品の価格・償還政策が保健政策目標の達成にどのように貢献しているかを評価するものである。医薬品の利用可能性や価格、イノベーションなどの政策が当該国及び国を超えた国際的な相互作用に及ぼす効果を検証している。
本書は、現時点において最も包括的なOECD医薬品価格指標データベースを使用することによって医薬品の価格水準の国際的な比較分析を提示している。また、医薬品の価格・償還政策がヘルスシステムの成果に及ぼす影響を検討したOECD加盟6か国の事例をケース・スタディとして用いている。