目次
はじめに
——プログラム〈感情を見つけにいこう〉について
なぜ認知行動療法か
従来の認知行動療法(CBT)との違い
情動教育
認知的再体制化
コミック会話
感情の道具箱
道具箱に入れる付加的な道具
ソーシャルストーリー(TM)
〈感情を見つけにいこう〉の有効性に関する研究結果
参考文献
セッション1 自己紹介と自分を知ること
セッション2 なぜ怒りを感じるのでしょうか?
セッション3 感情の道具箱
セッション4 「道具箱」を使いこなす練習
セッション5 ソーシャルストーリー(TM)
セッション6 対処法を学び合う
指導者のためのガイド
プログラム〈感情を見つけにいこう〉について——監訳者から
前書きなど
はじめに
プログラム〈感情を見つけにいこう〉について
私は、非常に体系的に興味をかき立て、認知によって感情をコントロールできるようなプログラムを念頭に置き、認知行動療法のプログラム〈感情を見つけにいこう〉を開発しました。プログラムに参加する子どもは全員、1回2時間、全6回のセッションにおいて「うれしい」「リラックスしている」「不安」「怒り」という特定の感情を深く探るための演習や情報が盛り込まれたワークブックを使います。ワークブックには感想や意見、質問への答えを書き込む項目があります。毎回のセッションの最後に、「やってみよう」課題について説明します。これは次回のセッションまでに仕上げるものです。次回のセッションのはじめに、仕上げてきた「やってみよう」課題について、プログラムを実施する担当者やプログラムの参加者たちで話し合います。プログラム〈感情を見つけにいこう〉は、科学的な視点から心の世界を探究することを目的として作られています。このプログラムには2つの種類があり、1つは不安について深く知り、不安をコントロールするプログラムで、もう1つは怒りについて深く知り、怒りをコントロールするプログラムです。
プログラムはもともと、9歳から12歳までの子どもによる2〜5人の少人数のグループに、大人2人が進行役として付くことを想定して作られています。しかしこのプログラムは、子ども1人だけに対しても活用できるよう、内容の一部を簡単に変更することができます。また演習の一部を、もっと年長の子どもや大人に適したように変更することもできます。このプログラムはアスペルガー症候群のある子どもに見られる不安障害、あるいは怒りのコントロールという問題を改善するために考案されましたが、高機能自閉症や特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)のある子どもに対しても、同じように用いることができます。また、資格をもった心理学の専門家以外でも実践できるよう配慮しました。親や教師、言語療法士、作業療法士は、認知行動療法の訓練を受けていなくてもプログラムを実施することができます。
(…後略…)