目次
はじめに
日本語版への序
序文
第1章 ADHD Rating Scale-IVの概要
本書の目的
ADHD Rating Scale-IVの背景と解説
実施方法と採点方法
第2章 因子分析
標本および方法:家庭版の因子分析
標本および方法:学校版の因子分析
探索的因子分析
検証的因子分析
考察および結論
第3章 標準化および標準データ
標準データの作成:標本および方法
標準データの作成:結果
性別,年齢,人種による差
ADHDのサブタイプについての疫学
第4章 信頼性と妥当性
標本および方法:信頼性および基準関連妥当性
内部一貫性,信頼性,観察者間一致率
教師によるADHDの評価と判定基準尺度の関係
親によるADHDの評価と判定基準尺度の関係
標本および方法:判別的妥当性
親および教師の評価の判別的妥当性
予測妥当性
考察および結論
第5章 診断およびスクリーニングを目的としたスケールの解釈および使用
ADHDの診断
ADHDのスクリーニング
最適なカットオフスコアの選択
ADHD Rating Scale-IVの臨床的有用性の調査
臨床現場における予測
学校現場における予測
事例
第6章 治療成績の評価を目的としたスケールの解釈および使用
治療成績の臨床的有意性の評価
事例
付録 評価スケールとスコアシート
ADHD 評価スケール:家庭版
ADHD 評価スケール:家庭版——男児用スコアシート
ADHD 評価スケール:家庭版——女児用スコアシート
ADHD 評価スケール:学校版
ADHD 評価スケール:学校版——男児用スコアシート
ADHD 評価スケール:学校版——女児用スコアシート
参考文献
あとがき
前書きなど
序文
注意欠陥/多動性障害(ADHD)は,小児期に認められる最も一般的な行動障害の1つであるが,メンタルヘルスや教育現場の専門家の間では,ADHDの可能性のある子どもや青少年をアセスメントするうえでの難しさに直面することが増えている。『DSM-IV 精神疾患の診断・統計マニュアル』(アメリカ精神医学会,1994)が出版された後,私たちは,臨床医がADHD症状の程度を速やかに判断できる簡便な質問票の作成に着手した。本書はその後3年におよぶ私たちの努力の成果であり,ADHD Rating Scale-IVは,スクリーニング,アセスメント,治療成果の評価といった臨床医の多方面の実務において有益なものになると考えている。
この質問票は,前著である『ADHD Rating Scale』(DuPaul, 1991)を大幅に改訂したものであることを強調しておく。変更箇所としては,まずDSM-IVの基準に即して項目を改正した。また,行動度数を示す回答の選択肢に若干の変更を加えた(回答の範囲を「ない,もしくはほとんどない」から「非常にしばしばある」とした)。さらに,地域,人種,社会経済的な状況において米国人口を的確に反映する規範的な標本から広範なデータを収集した。最後に,スクリーニング,診断,治療の評価を目的とするこのスケールの臨床的有用性についての包括的なデータを提示している。
(…後略…)