目次
第1部 韓国の歴史と文化
第1編 文明の発生と国家の登場
1. 琵琶形銅剣文化圏から韓民族が形成される
2. 古朝鮮を建国し発展する
3. いくつかの国に分立する
第2編 いくつかの国から統一国家へ
第1章 新羅、高句麗、百済、加耶
1. いくつかの国が4国に統合される
2. 4国の社会と文化が発展する
3. 4国が互いに対抗する
第2章 統一新羅と渤海
1. 南北国の時代が開かれる
2. 南北国の社会と経済が発展する
3. 南北国の文化が発展する
4. 海外に出て活発に活動する
5. 新羅が後三国に分裂し高麗が再統一する
第3編 統一国家の発展と伝統文化
第1章 高麗の発展
1. 集権的官僚国家に成長する
2. 契丹の侵入を退けて女真と競う
3. 武臣政権が登場しモンゴルが侵入する
4. 40年間モンゴルと戦争をする
5. 高麗が世界に知られる
6. 高麗社会が動揺する
7. 高麗文化が隆盛になる
8. 高麗の科学技術が発達する
第2章 朝鮮の成立と発展
1. 儒教民本政治をめざす
2. 世宗大王がハングルを創製する
3. 朝鮮文化が大きく花開く
4. 儒教両班社会が成立する
5. 朝鮮性理学が発展する
6. ‘倭乱’と‘胡乱’の国難を克服する
7. 平和と信義を守り外交活動を繰り広げる
8. 国家中興のために努力する
9. 郷村生活が変化し庶民文化が成長する
10. 実用的学問がおこる
11. 国学の花が開く
12. 科学と技術を研究する
13. 天主教会が創設され試練を経験する
14. 朝鮮社会が混乱する
第4編 世界との出会いと近代社会
第1章 近代化の試練と主権守護運動
1. 西洋勢力の侵入を防ぐ
2. 西洋文物を受け入れて制度を改革する
3. 東学を広めて百姓を救おうとする
4. 日清戦争に勝利した日本が内政に干渉する
5. 大韓帝国が樹立されて民衆運動が起こる
6. 日本が日露戦争を起こして統監支配を強行する
7. 国権回復のために抗日闘争を展開する
8. 近代文物が受容され社会生活が変わる
第2章 日本の支配政策と民族解放運動
1. 朝鮮総督が‘武断統治’をする
2. 3・1運動を起こす
3.‘文化政治’を標榜して韓国人を分裂させる
4. 韓半島を兵站基地にする
5. 皇国臣民を育成して戦争に動員する
6. 日本人が入ってきて朝鮮人は追い出される
7. 韓国の文化と精神を守ろう
8. 民族解放運動の炎が燃え上がる
第5編 南北分断と大韓民国の発展
1. 光復を迎えたが南北に分断される
2. ‘漢江の奇跡’を成しとげる
3. 自由民主主義が発展する
4. 大家族が減り都市人口が増える
5. 文化力量が増大する
6. 南北韓が交流と和解を増進する
第2部 韓国と日本の文化交流
1. 文化交流の歴史を正しく理解しよう
2. 陸と海を越えて文化交流が進展する
3. 先史文化が交流して稲作を伝える
4. 韓半島と‘倭’が交流する
5. 日本列島に集団で移住する
6. 大和が渡航移住民の文化を受容する
7. 知的な文化を伝える
8. 日本が遣隋使・遣唐使を派遣し、百済遺民を受け入れる
9. 統一新羅と日本の文化交流が行われる
10. 渤海と日本の交流が活性化する
11. 高麗と日本の外交関係が疎遠になる
12. 倭寇をめぐって対立が深まる
13. 朝鮮文化が日本に流れる
14. 日朝間の貿易活動が活発に展開される
15. 日本の使臣が朝鮮の文物を求める
16. 戦争中でも文化は伝わる
17. 通信使が文化交流に貢献する
18. 通信使が途絶えて文化交流が少なくなる
19. 近代の西洋文明が東洋に押しよせる
20. 韓国が近代文化を受容しようと努力する
21. 日本文化が韓半島に伝えられる
22. 韓国人と一緒に生きようとした日本人もいた
23. 国境を越えて文化が互いに影響を与えている 現代
終わりに−未来世代に願う交流の姿勢
前書きなど
翻訳者あとがき 今、日本では「韓流」現象が起こっています。NHKが放送した韓国のドラマ「冬のソナタ」をきっかけにした韓国ブームです。「韓国」や「朝鮮」という言葉は、差別や偏見が伴っていたことがありました。今の「韓流」には憧れの気持ちが含まれています。日本の中で差別や偏見が全く解消されたとは思いませんが、今までとは違う雰囲気が広がっています。 こんな中で、この本を多くの人に読んで欲しいと思います。その理由は、まず第1に、「韓流」に歴史認識をプラスして欲しいと思うからです。韓国をもっと良く知るためにも、韓国人の歴史認識を知ることは重要です。第2に、この本は、韓国人研究者が、日本人に読んでもらうことを目的に書いた韓国史の本だからです。韓国史の本は、入門書も含めてたくさんあります。ですが、多くは日本人が書いたものであり、韓国人のために書いたものを翻訳したものです。ところがこの本は、最初から日本の高校生や一般の市民の方々に読んでもらうことを目的に書かれたのです。今までになかった本です。第3に、手軽に読めることを考慮して、簡潔に、要を得て書かれているからです。小さな本ですから、細かな事実は書かれていません。というよりも、事件名や人名、地名などは、なるべく避けられているのです。韓国と日韓文化交流の歴史について大きな流れを把握して欲しいというのが著者の願いです。 この本は、日本と韓国のカトリック司教交流会に触発されて作られたものです。両国のカトリック首脳は、両国の長い過去の歴史を踏まえて、これからの歴史認識と歴史教育の問題を一緒に考えてきました。その中で、この本は韓国側の企画によって作られたものです。そんなわけで、未来志向的発想で書かれています。韓国語版の改訂版(第2版)を底本に翻訳したのは、印刷上の簡単なミスが原因ですが、改訂版を出す際に本のタイトルが『韓国と日本でともに読む開かれた韓国史』となりました。第1版のタイトルは『近くて近い国に−韓国と日本』でした。この2つのタイトルが示すように、韓国の司教会や著者の願いは、日本と韓国が「近くて近い国に」なることであり、「開かれた韓国史」を理解して欲しいということなのです。 これらを踏まえて、翻訳では、読みやすく分かりやすい本を目指しました。そのために、単なる直訳的翻訳になっていません。分かりにくい歴史用語には簡単な説明をつけたり、カッコで説明をつけました。韓国語独特の漢字語的表現は簡単な日本語に直しました。読みやすさを重視したからです。しかし、これらは翻訳者だけの判断で行ったのではなく、韓国の筆者の了解を得ました。筆者は、日本語で本を出版し、日本語で講義ができるほど、日本語の上手な先生方です。適切な追加になっているか、適切な用語説明かを判断して頂きました。 私たち翻訳者は、韓国人の考え方、歴史認識を知って欲しいと思っています。韓国の3人の筆者は、韓国のかなり多くの人々の考え方を代弁していると思います。この本に書かれていることが、多くの韓国人の歴史的思考様式なのだと理解して欲しいと思います。 韓国の先生方は、精一杯未来志向的発想でこの本を書いています。私たちも同じ思考方法でこの本を読んで、一緒に考えてみようではありませんか。この本が、韓国をより深く知る素材になれば幸いです。ご批判は韓国の先生方にお伝えし、一緒に考えてみます。(後略)