紹介
幾度も戦乱の地となり、貧困、内乱、難民、人口・環境問題、宗教対立等に悩むアフガニスタンとパキスタンで、ハンセン病治療に全力を尽くす中村医師。氏と支援団体による現地に根ざした実践から、真の国際協力のあり方が見えてくる。テロをなくすために。戦乱の地での医師の実践。
解説=阿部謹也 「アフガニスタンと日本」
今、内外を見渡すと、信ずべき既成の「正義」や「進歩」に対する信頼が失われ、出口のない閉塞感や絶望に覆われているように思える。十年前、漠然と予感していた「世界的破局の始まり」が現実のものとして感ぜられ、一つの時代の終焉の時を、私たちは生きているように思えてならない。
強調したかったのは、人が人である限り、失ってはならぬものを守る限り、破局を恐れて「不安の運動」に惑わされる必要はないということである。人が守らねばならぬものは、そう多くはない。そして、人間の希望は観念の中で捏造できるものではない。本書が少しでもこの事実を伝えうるなら、幸いである。
(「文庫版あとがき」より)
「本書によって私たちはアフガニスタンの状況だけでなく、私たち自身の姿を見ることが出来るだろう。」――阿部謹也 (「解説」より)
目次
帰郷―カイバル峠にて
縁―アフガニスタンとのかかわり
アフガニスタン―闘争の歴史と風土
人びととともに―らい病棟の改善と患者たちとのふれあい
戦乱の中で―「アフガニスタン計画」の発足
希望を求めて―アフガニスタン国内活動へ
平和を力へ―ダラエ・ヌール診療所
支援の輪の静かな拡大―協力者たちの苦闘
そして日本は…