Noneさんの書評 2021/08/29 3いいね!
この著書は、日本国が日本国内の圧倒的少数派である沖縄に対してどのような扱いをしてきたかという基本的認識が欠落している。
1.沖縄県は、薩摩支配時代以降も、明治・大正・昭和初期に渡って、全国一の貧乏県であり、所得は全国平均の三分の一以下、にもかかわらず国税は全国平均の二倍以上の比率というとてつもない貧困な状況が続いていた。
2.太平洋戦争で日本の国民7000万人中350万人が亡くなったが、沖縄戦では県民50万人中15万人が亡くなった。これは日本の国民7000万人中2100万人が亡くなったのと同等の比率であり、戦後の沖縄県民は孤児、片親の子供の割合が全国平均の十倍近い割合で貧困状態だった。
3.戦後、奄美などから米軍相手の仕事に10万以上が移住して来たが、その人達も元々貧困だった。
4.戦後30年、米軍統治下で、日本政府によるインフラ支援などはなかった。
5.沖縄返還で、日本統治下になったが、「沖縄振興費」は他府県の地方交付税交付金と同じで、
上乗せされているわけでなく、他府県よりも特別多いというわけではない。
以上の理由で「貧困の連鎖」が続き、沖縄の貧困が継続されているわけだが、この本にはそういった事情が一切書かれていないように思う。只々残念な著作だと思う。
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