紹介
主だった古典作品の中でどの単語が何回ずつ使われているか。意味とともに一覧できる、至便の書。
本書は、宮島達夫『古典対照語い表』(1971年、笠間書院発行)の改訂増補版である。
『古典対照語い表』は、主だった古典作品の中でどの単語が何回ずつ使われているかを表にし、かつ漢語・和語を峻別したものであったが、今回のものはそれに加え、すべての単語に国立国語研究所編『分類語彙表』(増補改訂版、2004年)の分類番号を追記して、個々の単語がもつ性格も即座に識別できるようにした。
また旧版の『古典対照語い表』は徒然草・方丈記・大鏡・更級日記・紫式部日記・源氏物語・枕草子・蜻蛉日記・後撰和歌集・土左日記・古今和歌集・伊勢物語・竹取物語・万葉集の14作品を対象としていたが、これに平家物語・宇治拾遺物語・新古今和歌集の3作品を追加して17作品とし、平安作品と徒然草とのあいだの空白を埋める。
今回の本には、本書に印刷されたすべてを、エクセル・ファイルでも提供する。これに加えて、簡単な集計をした出現頻度配列語彙表・意味分類配列語彙表などのファイルも提供する。『分類語彙表』の意味分類項目の一覧もCDに収録している。
別冊には宮島達夫「古典の統計と意味」と小木曽智信「Excelによる『日本古典対照分類語彙表』データの活用」を収載。
前者は、語種や頻度などを統計した結果を示す。また、今回新たに加えた「意味分類」について特にとりあげ、古典における意味のありかたを見る。後者は、エクセルでデータをあつかう初歩を記している。
目次
・凡例
・あ〜を
○別冊
『古典語の統計と意味(宮島達夫)/ Excel による『日本古典対照分類語彙表』データの活用(小木曽智信)』
○付録CD
・日本古典対照分類語彙表.xls
・日本古典対照分類語彙表.xlsx
・凡例.奥付.pdf
・古典語の統計と意味.pdf
・Excelによる『日本古典対照分類語彙表』データの活用.pdf
・解説.pdf
・古典語彙表.csv
・古典語彙表.accdb
・古典語彙表.tbl
・古典語彙表.xlsx
・古典語彙表.かな反転配列.xlsx
・古典語彙表.出現頻度配列.xlsx
・古典語彙表.意味分類配列.xlsx
・古典語彙表.比率.xlsx
・古典語彙表.順位.xlsx
・古典語彙表.範囲.xlsx
・古典分類語彙表.現代語彙追記.pdf
・古典分類語彙表.現代語彙追記.古典原稿.xlsx
・古典分類語彙表.pdf
・古典語彙表.漢字一覧.xlsx
・古典語彙表.基本集計.xlsx
・古典語彙表.出現頻度分布.xlsx
・古典語彙表.意味分類分布.xlsx
前書きなど
作品本文およびその用語の意味解釈は、おおむね、次の索引が採用したものを尊重し、独自の方針によって調整した。
古典索引刊行会『万葉集索引』(2003年、塙書房刊)
山田忠雄『竹取物語総索引』(1958年、武蔵野書院刊)
伴 久美「伊勢物語に就きての研究 索引篇」(大津有一編『伊勢物語に就きての研究』所収)(1961年、有精堂出版刊)
西下経一・滝沢貞夫『古今集総索引』(1958年、明治書院刊)
日本大学文理学部国文学研究室『土左日記総索引』(1967年、桜楓社刊)
大阪女子大学国文学研究室『後撰和歌集総索引』(1965年、大阪女子大学刊)
佐伯梅友・伊牟田経久『かげろふ日記総索引』(1963年、風間書房刊)
榊原邦彦・武山隆昭・塚原清・藤掛和美『枕草子総索引』(1967年、右文書院刊)
池田亀鑑『源氏物語大成 索引篇』(1953年、中央公論社刊)
東京教育大学中古文学研究部会『紫式部日記用語索引』(1956年、日本学術振興会刊)
東節夫・塚原鉄雄・前田欣吾『更級日記総索引』(1956年、武蔵野書院刊)
秋葉安太郎「校本大鏡総索引」(『大鏡の研究 上巻 本文篇』所収)(1960年、桜楓社刊)
滝沢貞夫『新古今集総索引』(1970年、明治書院刊)
青木伶子『方丈記総索引』(1965年、武蔵野書院刊)
増田繁夫・長野照子『宇治拾遺物語総索引』(1975年、清文堂出版刊)
近藤政美・武山隆昭・近藤三佐子『平家物語語彙用例総索引』(1996年、勉誠社刊)
時枝誠記『徒然草総索引』(1955年、至文堂刊)
このうち万葉集だけは旧版では正宗敦夫『万葉集総索引』によったが新版では古典索引刊行会の索引に切りかえた。
【分類番号について】
すべての単語に国立国語研究所編『分類語彙表』(増補改訂版、2004年)の分類番号を記した。
『分類語彙表』は品詞と意味分野とを組み合わせた形になっている。
品詞としては体の類(名詞)・用の類(動詞)・相の類(形容詞・副詞)・その他の類(接続詞・感動詞など)があり、これに意味分野として
抽象的関係
人間関係の主体
人間活動−精神および行為
生産物および用具
自然物および自然現象
が組み合わさる。
分類番号については、CDにて分類番号順語彙一覧を見ることができる。分類項目・番号の全体については、その凡例を参照されたい。一つ一つの項目・番号に古典のどのような語句が属し、また現代のどのような語句が属するかということを、その一覧によって知ることができる。分類番号順語彙表も添えてあるので、それによって具体的なことを承知してほしい。
たとえば「菓子」の番号は1.4340である。[1.]は「名詞」、[1.4]は「生産物および用具」、[1.43]は「食料」をあらわす。14340を検索すると(表では検索をかんたんにするためにピリオドを略してある)、「あをざし(青插)」「かさなりちまき(重粽)」「つばいもちひ(椿餅)」「ふずく(粉熟)」「へいだん(餅餤)」がえられる。(単独の「ちまき」は用例がなく、「かいもちひ」「もちひ」は「料理」にある。)