内田裕介さんの書評 2018/03/03
ヒートショックプロテインがなぜ効くのかに興味があって何冊かしらべてみたなかの一冊です。
著者は薬学・生化学が専門でHSPを研究して20何年とのことで、分子レベルでタンパク質の構造から読み解きつつ、HSPがどのようにタンパク質の変性を防ぎ、さらに壊れたタンパク質を修復していくのか、微に入り細を穿つ非常に詳しく解説されています。
単なる専門バカの研究者、というより、生命現象を俯瞰するなにか思想のような軸が一本通っていて、自身の研究を冗談めかして「ノーベル賞もの」などと書いていますが、筆致にはほんとうにノーベル賞でもとりそうな勢いがあり、たいへん興味深く読みました。
チューリップエキスが皮膚のHSPを増やし、コラーゲンを修復するという話があったので、ためしに製造元の化粧品会社に問い合わせてみました。
が、あくまで試験管のなかでの話で、ヒトの身体ではまだわからないとのことでした。
仮説もまだたくさん残っているのでしょうが、ひととおり納得のいく説明は得られたので満足です。
おもしろかったので、この著者の他の著作があれば、あたってみたいと思います。
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