内田裕介さんの書評 2018/03/04 1いいね!
杉晴夫氏の「ストレスとは何か」がたいへんおもしろかったので、他の著作にもまとめてあたっています。
本書は、筋肉研究一筋の著者が現役を引退するときにまとめたもの。
40年にわたる知見の集大成を一般向けに分かりやすく解説していています。
なぜ筋肉が動くのか、その動力源となるエネルギーはどのように供給されるのか、筋肉を意のままに制御する神経系はどうなっているのかなどなど、筋肉にまつわる話題が体系的、包括的に学べるのが魅力です。
もっとも興味深かったのは、「まだ解明されていない」とか「40年研究してきたが結局わからなかった」というフレーズがそこここに見られること。
集大成としてまとめた新書のタイトルに「ふしぎ」という言葉が使われている理由がわかった気がします。
研究対象に対する著者の愛というか自然が作った筋肉というしくみへの深い敬意が感じられて好感が持てました。
筋肉疲労の原因は乳酸である、など、現在では古くなってしまった学説も見られますが、それはそれとして、いまでも一読の価値は十分あると思います。
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